2020年02月24日

◆ トラック業界で人手不足?

 トラック業界で人手不足だ、という。だが、単に賃金が低いだけだ。
 
 ──
 
 トラック業界で人手不足がひどいので、このままでは物流が崩壊する、という記事があった。
 《 トラック運転手が大量定年、迫る“物流崩壊” 》
 トラック運転手不足による“物流崩壊”が迫っている。
 2027〜28年になると必要な運転手の人数に対して25%の人材不足が生じるとの試算がある。単純に考えると企業は4回に1回は商品の輸送をあきらめる計算だ。
 高齢化による大量定年が迫っており、27〜28年に24万〜28万人が足りなくなり、必要な運転手の人数に対して24〜25%の不足が生じると試算される。国交省自動車局総務課の星明彦企画室長は「あらゆる業態の企業経営の根幹にかかわる問題」と警鐘を鳴らす。「25%不足」が現実になると商品を運べない企業が続出し、日本経済に影響が出る。
 荷主企業に期待するのが、商習慣から生まれた「無理、無駄、ムラ」の解消だ。荷物の積み降ろしが先着順であるため、トラック運転手は無駄な待機を強いられて長時間労働が日常化している。トラック運転手による荷下ろしや荷積みも習慣化し、肉体的な負担も大きい。指定通りに届けても、発注者の都合で受け取ってもらえずに荷物を積んで引き返す無駄も発生している。
( → ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 政府は物流崩壊を懸念しているらしいが、馬鹿馬鹿しい。これは単に「賃金が低いから」という問題であるにすぎない。

 はてなブックマークでは、こういう疑問もある。
求人倍率3倍でなんで給料が他業種より低いのかて経済学的に説明つく現象なのかな?
( → qt_fbのコメント / はてなブックマーク

 しかし、これは話が逆だ。給料が低すぎるから、求人倍率が高い倍率になっているだけのことだ。
( ※ 倍率が高いということは、単に応募者が少ないというだけのことだ。安月給ならば当然だ。)
 これと同様のことは、保育士や介護士でも起こっている。いずれも、極端に給料が低いので、応募者が少なくて、求人はとても高倍率になっている。トラックの運転手もまた同じ。……何の不思議もない。

 政府は、物流の崩壊を懸念している。だが、崩壊してしまって、何ら差し支えない。
 なぜか? 物流に金を払えない会社は、非効率な劣悪企業なのだから、どんどんつぶれてしまっていいのだ。そして、物流にまともな金を払える企業だけが、生き残ればいい。
 仮に、トヨタが物流に金を払えないとしたら、トヨタがつぶれてしまってもいい。現実には、トヨタは莫大な黒字を出していて、莫大な内部留保を持っているのだから、「金を払えない」ということはない。なのに金を払わないとしたら、自分で自分の首を絞めているだけだ。そんな馬鹿企業は、勝手に自殺すればいいだけだ。政府がいちいち救う必要はない。

 要するに、「物流の改善」を政府が推進する必要などはない。「さっさと給料を上げよ。イヤなら、つぶれろ」と言うだけでいい。
 政府がやるべきことは、劣悪な悪徳企業を、どんどんつぶすことだ。それにともなって、賃金も(否応なしに)上がっていく。労働市場が適正化されていくわけだ。(不均衡状態から均衡状態へ。)
 政府がやるべきことは、賃金の是正メカニズムが働かないという「市場の歪み」を、是正することだけでいい。そのためには「馬鹿な企業はつぶれろ」というふうに推進するだけでいい。

 なのに今の政府は、「低賃金状態を維持したまま、労働環境を改善する」とする。これではあまりにも企業寄りである。馬鹿馬鹿しい。
 市場の歪みを放置したまま、労働者の低賃金を維持しようという方針は、まったくの間違いなのだ。
 正しい方針は、「賃金を上げて、この労働市場に多くの労働者が参入するようにすること」である。決して「低賃金状態を維持すること」ではないのだ。
 政府はやるべきことを完全に間違えている。



 [ 付記 ]
 このようなひどい状況が続くと、弊害も生じる。その例を二つ掲げる。

 (1) 自殺

 長時間労働で、精神を病んだあげく、自殺する……という例がある。本日の朝日新聞で大きく取り上げられている。
 運送会社に勤める男性(当時42)が自ら命を絶ちました。直前1カ月の時間外労働は203時間にのぼったといい、遺族はそんな過酷な勤務がうつ病を発症させ、男性を追い詰めたと訴えています。運輸業界の人手不足とも、無縁ではなさそうです。

 「いってらっしゃい。気をつけてね」。それが生前にかけた最後の言葉になった。 その日の午前6時半ごろ、男性は神奈川県内の高速道路の路側帯に車を止め、高架下に身を投げた。
 車の中に残された会社用のノートには、妻へのメッセージがあった。「今までありがとう。何も出来なくてごめんね」。切羽詰まった、ぐちゃぐちゃの字だった。
( → 運輸業、ひとりの仕事量増えた末 時間外 203時間、希望語った直後自死:朝日新聞デジタル

 (2) 大型トラックの事故の続発

 軽井沢のスキーバス事故は、ひどい労働環境による過労が理由であったようだが、同様の事故は、大型トラックでも続発していそうだ。……そう思って調べたら、やはりそうだと判明した。
  → Google 検索
 
 動画もある。













 【 補説 】
 物流では、別の問題が生じている。

 (1) ヤマト運輸が赤字化

 ヤマト運輸は、運賃を値上げして、賃金を上げた。そうしたら、アマゾンや楽天などの業者が離れて、自前で配達するようになった。そのせいで、ヤマト運輸は赤字化したそうだ。
  → 大幅赤字に苦しむヤマト運輸 顧客へのコスト転嫁で「自滅した」
  → 値上げ敢行でも61億円の赤字に陥った「ヤマト運輸」の悪循環 (2019年8月19日) ス

 (2) Amazon でクレーム続発

 自前で低コストな配達網を構築した Amazon は勝者か……というと、そうでもない。低コストだが、サービスが劣悪であるので、ユーザーからは「届かない」「荷物を放置された」というようなクレームが続発しているそうだ。まともに配達してもらえないと思った方がいいらしい。
  → デリバリープロバイダにクレームの嵐…Amazon終わりの始まりか
  → 【激怒】不満爆発! Amazonの配送業者「デリバリープロバイダ」をできるだけ避ける方法

 ユーザーはどうしたらいいか? Amazonの場合は、宅配ではなく、「ヤマトの営業所または(コンビニ配達で)ファミリーマートに配達する」ということで、ヤマト運輸に業者を指定することができるそうだ。これなら、トラブルなしで済む。

 結局、サービス低下を覚悟した上で、ヤマト運輸をなるべく選ぶ……ということぐらいしか、対策はないらしい。
 
posted by 管理人 at 11:57| Comment(4) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一般的に、応募者が少なければ倍率は下がると認識していますが、
>給料が低すぎるから、求人倍率が高い倍率になっているだけのことだ。
この部分がどうしても理解できませんでした。
10人の求人に対し、30人の応募があれば倍率は3倍ですよね。
給料が低く、10人の求人に対し3人の応募しかなければ、
倍率は0.3倍となり、倍率は低くなるというのが一般的な入試などでの倍率の考え方です。まさか、10人の求人に対して3人の応募があるから3.33倍、という算出の仕方なのでしょうか?流石にそれは一般常識から乖離しすぎだと思われますが、なぜそうなるのか、いま少し詳しくご教示願えますと幸いです。
Posted by na at 2020年02月24日 16:32
ここを読めば宜しいのでは?

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%80%8D%E7%8E%87

> 求人倍率(きゅうじんばいりつ)とは、経済指標のひとつ。求職者(仕事を探している人)1人あたり何件の求人があるかを示すものである。
Posted by 大学教員 at 2020年02月24日 17:12
> 10人の求人に対し、30人の応募があれば倍率は3倍ですよね。

 それは、求人倍率でなく、求職倍率。

  https://kids.gakken.co.jp/jiten/dictionary02200469/
Posted by 管理人 at 2020年02月24日 18:31
入試の倍率とは分子と分母の考え方が逆なのですね
求人に関する常識的な知識がないのはこちらの方で、失礼いたしました
Posted by na at 2020年02月24日 21:39
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