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まず、通説はこうだ。
「太平洋ブレートが西に沈み込み、そのとき日本列島を引きずり込むので、列島を圧縮して山脈を作る。同時に、地殻の歪みが生じて、地震の原因となる」
画像出典:Wikipedia
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しかし、これだと話がおかしいそうだ。朝日新聞の記事。
とはいえ、日本海が拡大して列島が引っ張られていた 1500万年前も、太平洋プレートは沈みこんでいた。
「おかしいでしょう?」
( → 地震予測に迫る:5 日本海溝が動く?続く謎解き:朝日新聞 )
そこで、これを解決する新説があるそうだ。記事の続きにはこういうふうに紹介されている。
もとは北に進んでいたフィリピン海プレートが、陸のプレートと太平洋プレートの壁に阻まれ、北西に方向を変えた。この動きによって陸のプレートを押し、つられて日本海溝も西に動くようになった――。
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それが300万年前だと考えると、列島の東西圧縮が300万年前から始まることが説明できる。東西圧縮の原因は太平洋プレートではなく、フィリピン海プレートの進む向きにある。つられて日本海溝が西に動き、陸を押し、列島を圧縮して山脈を作った。
( → 地震予測に迫る:5 日本海溝が動く?続く謎解き:朝日新聞 )
へえ。なるほど。
で、この新説を出した根拠は、頭のなかで考えたのではなく、模型を使ったシミュレーションだという。それも、コンピュータを使ってのことではなく、アナログで紙の模型を使ったそうだ。
紙に何度も図を描いたが、すっきりしない。思いついて、ホームセンターで材料を買って模型を作ることにした。
板に地図をはる。その上に、陸のプレート、東北日本に沈む太平洋プレート、西日本に沈むフィリピン海プレートをそれぞれ厚紙で作って重ね、試行錯誤で動かしてみた。
おもしろい。こういうのは好きだ。
ただし、すぐには認められなかったそうだ。
論文を書いたが、門前払いの扱いを受けた。地震学会で発表しても反応はなかった。「墓場までもっていくのか」と落ち込んだ。
それでもあちこちで話をするうちに、理解者が少しずつ現れ、 17年には論文も発表できた。
これほどまでに学界で嫌われてきたとなると、逆に、真実である可能性が高いと言える。ジンクスみたいなもので。
※ そもそも、プレートテクトニクスという学説自体が、ウェーゲナーによるもので、当時はトンデモ扱いされていた。……本項の人は、その正統な後継者みたいだ。ウェーゲナーの再来ふうで。