──
(1) CHAdeMO の進展
テスラは急速充電スタンドが次々と設置されているのに、CHAdeMO は設置されていない。この件は、前に述べたとおり。
→ 日産の EV は失敗: Open ブログ
ただしそこで、「日産や CHAdeMO は、到達すべき未来の計画さえもできていない」と述べたのは妥当でなかった。実は、CHAdeMO は将来の急速充電の計画が進んでいる。中国と規格を統一して、高電圧の急速充電スタンド( 400kW )を設置する計画がある。( 2018年 )
→ 日本と中国が次世代EV急速充電の統一規格を共同開発へ
一方、欧州の規格では、800ボルトという急速充電の規格ができそうだ。
→ EV先進地域EUでは主流の急速充電器は800Vに?フランクフルトより - PHEV ブログ
さらには、欧州と、日本・中国の規格を統合しようという動きもある。
→ 勝者なきEV用急速充電器の規格争い、5年後にはチャデモもコンボもない?
まあ、規格統合の話がいろいろとあるようだが、これらは業界の話なので、私はあまり興味はない。「勝手にやってくれ」という感じだ。
(2) 新型のリチウムイオン電池
新型のリチウムイオン電池の開発が進んでいる。
一つは SCiB 電池だ。これは前に紹介したことがある。「劣化しないで、高性能だが、コストが高い」というふうに。
→ SCiB 電池: Open ブログ
これは 2013年の記事で、技術開発の話。
そいつがすでに実用化され、日産「デイズ」に搭載されているそうだ。日産「デイズ」に東芝電池が採用された深いワケ
ではこれが普及するかというと、高コストであるがゆえに無理らしい。あくまで(小型の)ニッチ市場が狙いであるようだ。
「われわれが狙っているのはロングドライブよりも、カーシェアなど近距離で利用頻度が高い領域」としたうえで、「長い距離はエネルギー密度やコスト面などで東芝製が不得意なのは確かだ。だが、逆にコミューターやコンパクト、シェアカーには合っており、そこで力を発揮できる。(高級EV車でロングドライブする)テスラへの搭載を目指すわけではない」と説明する。
( → 日産「デイズ」に東芝電池が採用された深いワケ )
一方で、SCiB 電池とは別に、ニオブ電池を開発しているそうだ。
現在使用している負極材であるリチウムチタン酸化物(LTO)から高容量な新酸化物負極材としてニオブチタン酸化物(NTO)を開発。
SCiB 電池の負極材である LTO を、NTO に変更することで、さらに大幅に高性能になるという。
→ SCiB の長寿命・急速充電性能の特長を保ちつつ エネルギー密度を1.5倍に
これは順調に開発が進んでいるそうだ。
東芝は26日、急速充電が可能で、長寿命の新型リチウムイオン電池を開発したと明らかにした。小型の電気自動車(EV)の場合、6分の充電で従来に比べ約3倍の320キロを走行できるという。2020年代前半の量産を目指す。充放電を5000回繰り返しても、電池の容量を9割以上維持することを確認。長寿命化により中古EVの価値も大幅には低下しなくなり、担当者は「利便性と経済性を両立する電池だ」とアピールしている。
レアメタル(希少金属)の「ニオブ」を材料の一つとする酸化物を電池の負極に使い、高容量化を実現した。
( → 6分充電でEV320キロ走行! 東芝が新型リチウム電池を開発 )
「これはすごい」と思えそうだが、ほぼ同レベルのことは、テスラではとっくに実現済みだ。電池は従来の技術だが、「温度管理をしっかりとやる」ということで、劣化を防いでいるからだ。急速充電も、すでに十分なレベルに達しているので、これ以上急速にしても、あまり意味がない。
充電速度は、12分以内で50%の充電完了。
( → 日産の EV は失敗: Open ブログ )
テスラの 12分を 6分に短縮したところで、大きな効果はない。どうせ一休みして、缶飲料でも飲んでいれば、10分間ぐらいの時間はすぐに過ぎる。
まあ、少しはマシにはなるが、大差はないと見なしていいだろう。
問題はやはりコストだが、どうも LTO も NTO も、コストが結構かかりそうなので、そこが問題となる。
ただ、冷却装置が不要となるかどうかは、ポイントとなるだろう。もし冷却装置が不要となるなら、その分のコストダウンができるので、有利となる。
(3) 全固体電池
全固体電池の開発が進んでいる、という話は前に紹介した。
[ 付記 ]
ただし、日本勢にも明るい希望がある。それは「全固体電池」だ。既存のリチウム電池を圧倒的に上回る性能を持つ。しかも、実用化にかなり近づいているそうだ。(基本技術はできていて、あとは量産化のための小さな障害を越えるだけ……というような状態らしい。といっても、そこが大変なのだが。)
詳しい話は、NHK のサイエンスゼロで開発者本人が解説していた。
( → 日産の EV は失敗: Open ブログ )
→ 「全固体電池」開発にしのぎ 次世代「本命」、近づく実用化:時事
だが、実用化はできるとしても、私の予想では「コスト的に高額になりすぎる」と思える。小型の電子機器に使うぐらいならばいいが、EV 用に大容量で使うには、コスト的に無理だと思える。
そう想像して、コスト面の情報をネットで調べてみたが、何の情報もなかった。いまだに量産化されていないので、コストを考えるまでもないらしい。
一方で、「実用化は無理」という否定的な見解がいくつか見つかった。
→ 電気自動車の進化に必須といわれる「全固体電池」は実用化できない?
→ 「2030年まで全固体電池は商品化しない」、CATLの真意 | 日経
こういう話を見ると、「将来の夢の電池」と思われた全固体電池は、夢のまま終わりそうだ。それよりは、リチウムイオン電池のまま、その(劣化の)問題点である負極材をニオブに変更するという東芝の方針が、最適解であるのかもしれない。
[ 付記1 ]
ニオブを使うのは、将来的には有望だと言える。(当面はコスト高になるかもしれないが。)
というのは、EV用で利用したあとで、据置き蓄電池として再利用が可能だからだ。太陽光発電の充電(タイムシフト)や、災害時用の緊急電源として、大規模に利用できる。
現在でも、日産リーフの電池のうち、劣化のひどいもの( 50%以下まで低下したもの)が利用されているようだが、それで使える期間はそう長くない。しかし、ニオブを使うことで何十年も使えることになれば、中古電池の価値が新品並みにまで上がる。とすれば、新品電池の下取価格が上がるから、期間あたりの単価が大幅に下がる。──つまり、寿命が延びるということは、単価が下がるということなのだ。
また、もともと新車に中古のニオブ電池を使うことも考えられる。それで電池代のコストを大幅に引き下げることも可能だろう。
[ 付記2 ]
ニオブを使う電池はとても有望だが、ただし、難点もある。ニオブはレアメタルで資源量が限られていることだ。さらに、「高級鋼鉄や超合金の素材」として需要がかなり多い。
ニオブは「超伝導の金属の素材」としても需要増が見込まれている。さらにリチウムイオン電池の素材として使うと、需要増で、価格が高騰しそうだ。
となると、先行きは、あまり良く見通せないようだ。このあとさらに紆余曲折があるかもしれない。
[ 付記3 ]
ここまで書き終えたあとで、新たな記事が出た。
「テスラの蓄電池が圧倒的に低価格なので、蓄電池として、系統電力に置き換わる水準に近づいている」
という話。1キロワット時あたり6万円台がその水準だが、テスラはすでに1キロワット時あたり7万円台前半を達成しており、他社を大幅にしのぐ。
→ テスラの蓄電池価格、「普及期」視野 日本に変革迫る :日本経済新聞
すると、系統電力から「太陽光発電 + 蓄電池」というふうに、一国の発電システムが大幅に変わるかもしれない。こうなったら、原子力発電も、石炭発電も、過去の遺物となってしまう。革命的な事態となる。そして、それは、もうすぐ近くにまで迫っているのだ。
どうやら大変革が起こりそうだ。
( ※ さらに言うと、テスラの EV の使用済みの電池を再利用すると、コストは大幅に低下する。だが、もしかしたら、テスラの蓄電池は、こういう再利用タイプのものかもしれない。すでにそうなっているのかもしれない。だからこそ、大幅なコストダウンを実現しているのかもしれない。)
( ※ ただしその場合、蓄電池の供給量は、中古 EV の供給量に制約されることになる。いくらでも大量に生産できる、というわけではない。)
電流が増えれば充電効率は底辺
電圧が高ければ感電危険が桁違い
ニッチもサッチもソッチもです
単純に充電口を数個にして充電すれば
数分の1、充電効率も悪くなりませんが、
口を増やせば、車側も充電側もコスト数倍
そもそも、発電効率がPHV効率より悪いEV
普及させるべきかは、国策次第な感。
議論するだけ無駄ですよ。
再エネの構築、償却コストも実はPHV並み
トヨタが主張するPHV最強論は、現実です。
今の数倍の電池ができれば、当然EVですが。
ただし世界レベルで見ると、テスラが圧倒的に売れている。 e-POWER は日本以外では発売すらされていない。
発電効率は、LNG で 63% に達しているので、PHV ではまず無理でしょう。さらに将来は太陽光発電が増える。