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大病院の初診料を引き上げる……という方針が決まった。(紹介状なしの場合。)
政府が定める医療サービスの価格「診療報酬」の来年度改定案の大枠が15日、中央社会保険医療協議会(中医協)で了承された。
▽「紹介状なし受診」で追加料金を取る対象病院の拡大
( → 救急医の環境改善に126億円 中医協、増税分から:朝日新聞 )
これを朝日の社説でも論じている。
医療機関や薬局が、治療や薬の対価として受け取る診療報酬の改定内容が決まった。 紹介状なしで大きな病院を受診すると、1〜3割の窓口負担とは別に、初診で5千円以上、再診で 2500円以上の追加料金が必要となる制度の対象は、今の 400床以上から 200床以上に広げる。大病院への患者集中の是正は長年の懸案だ。
だが、いくら負担を増やしても、「大きな病院の方が安心」という心理を払拭できなければ、患者の行動はなかなか変わらないだろう。
( → (社説)診療報酬改定 負担に見合う質向上を:朝日新聞 )
では、このような方針は、効果があるか? 実は、上で懸念されていうように、「効果はない」ということが判明している。
今もまだ大病院の通院患者のうち6〜8割は紹介状を持たずに受診している。
( → 紹介状なしの大病院受診で「5000円以上」上乗せが決まった理由 | 知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴 | ダイヤモンド・オンライン )
では、どうしてこういう問題が生じるのか? 私の考えでは、次の二点だ。
(1) 初診時
初診で5千円という自己負担(全額自費)という金額は、あまり高くない。よそで受診して、紹介状を書いてもらうと、それだけでかなりの出費となる。
大病院を受診したいと思った際には、まずは近くの診療所を受診して、紹介状を作成してもらってから受診した方が料金は安く済みます。「診察代2820円+紹介状料金2500円=5320円」の自己負担金額は3割でも1600円だからです。
( → 本当の狙いは?「大病院で再診2500円」のインパクト 大病院と診療所の役割分担は進むのか| JBpress(Japan Business Press) )
5000円と 1600円の差額は、3400円だ。無駄に足を運ぶ手間がかからないとすれば、3400円というのは払えない額ではない。「無駄足を運ばないで済むために、最初から大病院に行こう」と考える人がいてもおかしくない。
実は、紹介状がないと順番で後回しにされたりして、いろいろと不利な点も生じる。逆に、紹介状があれば、受診も早くて安くて済む。だから、真の差額は、もっと大きくなる。しかし、素人はそこまで頭が回らないから、「最初から大病院の方が気楽でいいや」と思いがちなのである。
(2) 再診時
再診で 2500円というのは、べらぼうに高い額だ。なぜなら、毎度毎度、その金が加算されるからだ。4回で1万円になる。8回で2万円だ。
こんなに高い金を追徴されるくらいなら、最初から町医者にかかっておけば良かった……と思う患者も出てくるだろう。しかし、そう思っても、後の祭り。再診時に高い金が取られるということは、再診時になるまでわからないのだ。そして、すでに初診で 5000円も余計に取られたからには、今さら「町医者に行きます」というふうに引き返すわけには行かないのだ。
つまり、「再診で 2500円」というのは、たしかに効果的な方策なのだが、それが知らされるのはすでに受診したあとでのことなので、実効性がないのだ。(手遅れだ、ということ。)
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以上の問題を解決するには、どうすればいいか? 基本的には、次のことがよさそうだ。
「再診で 2500円というのを、廃止する。かわりに、初診の料金を、5000円から1万円または2万円に引き上げる」
これならば、最初に受診する段階で、特別加算金として1万円〜2万円を徴収できる。払った人だけが受診できて、払えない人は門前払いとなる。
といわけで、これはこれで、有効となるだろう。
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しかし、ここは Openブログ。もっとうまい方法を出そう。こうだ。
「初診料と治療費をひっくるめて、初回最低料金を設定する。金額は2万円」
これは次のことを意味する。(下記の合計で2万円)
・ 初診時の加算金は( 5000円のかわりに)1万円。
・ 診察や検査にかかる費用は、最低でも1万円。
(1万円未満の場合には1万円に切り上げる。)
その核心は、次のことだ。
「簡単な病気であればあるほど、払うべき金額は安上がりで済むのだが、それにもかかわらず1万円も取られてしまう。したがって、簡単な病気であればあるほど、損をする」
「治療費が1万円以上になるような大きな病気であるならば、どっちみち1万円以上を払うはずだから、最低額の1万円というのは、有名無実となって、何の損害もない」
というわけで、
「簡単な病気の人は大損するが、大きな病気の人はまったく損しない」
というふうになる。このことで、
「簡単な病気の人は来院しなくなるが、大きな病気の人は来院するようになる」
というふうになる。つまり、患者の最適配分がなされるようになる。これぞ、うまい案だ。
[ 付記 ]
定額制には、副次的な効果もある。
「どっちみち定額の収入があるのならば、病院は無駄な検査をしなくなる。検査をしてもしなくても、1万円という治療費が入るのならば、無駄にレントゲンや CT などの検査をしないで、さっさと患者を追い出すようになる」
明らかに軽症だとわかるような患者に対しては、こうやってどんどん追い出すといいだろう。患者が「検査をしてくれ」と言っても、要求を拒めばいい。
どうしても要求する患者がいたら、お尻にデカい注射をしてやればいい。あるいは、太い針の注射を腕に刺してやればいい。なるべく悲鳴を上げるような奴を。
( ※ ただし……子供のころは注射が怖かったけど、年を食うと、注射の痛みなんて、感じなくなるんだよね。)