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双子を保育することは非常に厳しい状況にある。そのことが朝日新聞の特集で紹介されていた。(全文を無料で読める。)
→ 双子・三つ子育児の負担感 100人に1人の母親が出産:朝日新聞
たとえば、こういう声がある。
次女が産まれた時は「1人だとこんなに楽なのか」と驚きました。多胎児の育児がこれほど大変だと、出産前は知りませんでした。行政には、妊娠中から母親を支援して欲しいです。
他にもいろいろと苦労する状況が紹介されている。
では、これへの支援は? 記事では次のことが提案されている。(うつ状態になった母親の声。職業は保育士。)
保健師さんに手続きに同行してもらい、一時保育も利用し始めました。自分だけの時間が持てるようになり、少し楽になりました。
今から双子育児をする人には、一時保育やファミリー・サポート・センター事業の利用をためらわないでほしい。ママが倒れては本末転倒。ワンオペで双子を育てるのは不可能です。うつを予防するためにも、誰かの助けを借りることは重要です。また、そうしたサポートを無料にするなど、利用のハードルを下げることも必要だと思います。
「一時保育やファミリー・サポート・センター事業の利用」とのことだ。だが、これで負担は軽減されるとしても、「他の母親の2倍の負担」という圧倒的に過多な負担がある以上は、「いくらかマシになる」という程度であって、根本的には解決策にならないだろう。
では、どうすればいい? 「保育所に優先的に入園させればいい」という案が思い浮かぶが、その分、他の子供があぶれてしまうので、特にうまい案ではない。何か、もっとうまい方法はないか?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「双子を保育所に入園させるかわりに、ベビーシッターを派遣する。これならば、保育所の建設費はかからない上に、人件費は半分で済む。(ベビーシッター1人で2人の子供の面倒を見るからだ。)」
このことは、コスト的に計算すると、はっきりする。
まず、保育所の公的負担は、次のようになる。
朝日新聞が東京23区に取材したところ、6区が2015年度の決算を元に認可保育所の年齢別1人当たりの運営コストを試算していた。自治体ごとに計算方法が違い単純比較できないが、0歳児は月約45万〜37万7千円。
公・私立の認可保育所、認定こども園、小規模保育所を対象に試算した江東区の0歳児のコストは月39万1千円。保護者が支払う保育料は平均3万1千円で、36万円は国と都、区が負担している。
( → コスト高いから育休延長論? 待機児童対策、労使は反発:朝日新聞 )
2015年度の時点で、月 36万円が公的負担だ。5年後の現在では、月 40万円ほどだろう。そして、双子の場合には、その2倍になるので、月 80万円となる。……これが、双子を保育園に入れた場合の公的負担だ。
とすれば、ベビーシッター代として月 80万円を払っても、費用は増えないことになる。むしろ、ベビーシッター代として月 40万円を払うことにすれば、かかる費用は半額で済むことになる。(保育園に入れた場合に比べて。)
ベビーシッターにかかる費用を1時間 2000円(給与・社保・事務費込み)とすると、1日6時間で 1.2万円。月 30日で 36万円。
昼休みを1時間とすると、1日に7時間(うち1時間は昼休み)をベビーシッターに任せることができる。それでいて、かかる費用は保育所のコストの半分以下で済む。
費用が半分以下で、双子の親が救われるのだから、これこそ「うまい方法」と言えるだろう。
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ただし、育休手当てとして払う分の金が、別途、コストとしてかかる。(保育所を使う場合には、育休手当を払わずに済むが。)
とすると、育休手当をいっぱい払わないで済むように、なるべく低所得の女性を優先して、この対処(ベビーシッター派遣)をするといいだろう。
一方、育休手当をいっぱい払う必要があるような高所得の女性については、ベビーシッター派遣のかわりに、双子を保育所に入れた方がいいこともあるだろう。高所得の女性については、優先的に保育所に入れる方がいいだろう。(ただし保育料は高額になる。)
[ 付記 ]
以上は、経済学的な損得計算で、最も効率的な運用を考えている。すると、「もっと福祉的視点を取れ」という声も出そうだ。とはいえ、そこは政治に任せよう。
本サイトとしては、あくまで科学的に、合理的な政策を探すだけだ。そのあとどうするかは、本サイトの役割ではない。
なるほど、「住民向けを狙って、あくまで非効率な金の使い方をする。選挙対策で」という政策も考えられる。そういう非効率な政策で国民を買収しようとしているのが、安倍首相の政策だ。
一方、私の提案は、その真逆だ。