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新型肺炎の患者が激増している。(ウィルス名は、新型コロナウイルス。2019-nCoV )
中国で新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、中国政府は25日、死者が41人に達したと発表した。発症が相次ぐ湖北省武漢市で新たに15人の死者が確認されたという。感染者もほぼ全土の29省市区に及び、計1287人になった。
( → 死者41人、感染1287人に 中国・新型肺炎:朝日新聞 )
中国だけでなく、世界各地に飛び火しつつある。
中国湖北省武漢市などで新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、フランスでは24日に3人、オーストラリアでも25日に1人の感染者がそれぞれ、確認された。
( → 新型肺炎、仏で3人感染 欧州で初確認、豪州でも:朝日新聞 )
対岸の火事ではなく、日本にも飛び火した。
厚生労働省は25日、旅行でやってきた武漢市在住の30代女性の感染を確認したと発表した。国内で感染が確認されたのは3人目。
( → 新型肺炎、国内3人目の感染確認 武漢市の30代女性:朝日新聞 )
このままだと、下手をすると、パンデミック(大流行)になりかねない。そうなると、とんでもないことになりかねない。10年前の豚インフルエンザ( 2009 H1N1 )のときは、インフルエンザであるだけマシであった(軽度だった)が、肺炎となると、致死率が高い。今回もすでに多くの死者が発生した。非常に危険である。
そこで、何とかするべきなのだが、「中国政府は 1000人を収容する病院を 10日で建てる」ということが話題になっているくらいだ。
→ 中国・武漢に1000床の新病院、10日間で建設 新型肺炎治療に特化
→ 【隔離施設】中国・武漢で巨大病院の建設を開始 2月2日に完成予定 1000人を収容可能
これは、急造するすることからして明らかなように、プレハブの簡易建築だろう。まともな設備が充実しているはずもない。「治療のためにあるのではなく、ただの隔離施設だろう」とも言われている。
これでは、十分な治療をすることもできないし、感染を止めることもできない。単に拡大の速度を遅くするだけだ。
では、どうするべきか?
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困った。そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「インフルエンザ用に開発された抗ウイルス剤を転用する。さまざまな抗ウイルス剤のうち、有効なものを見出して、それを処方する」
これは、実は、私の独創ではない。同様の発想は、すでになされているし、とりあえず抗ウイルス剤を処方する、という案も浮かんでいる。
この新しいウイルスに対する特定の治療法は現在利用できないが、既存の抗ウイルス薬を流用することはできる。
( → 2019新型コロナウイルス - Wikipedia )
There is no specific treatment for the new virus, but anti-virals are being considered and could be “re-purposed”, Van Kerkhove said.
この新しいウイルスに特異的な治療法はないが、抗ウイルス薬が検討されており、「再目的の」可能性があると、バン・カーホーブ氏は述べた。 ( 《 みらい翻訳 》 )
( → WHO says new China coronavirus could spread, warns hospitals worldwide - Reuters )
しかしこれは、「よくわからないまま、手探り状態で使う」ということであり、暗闇のなかで手を伸ばすようなものだ。効率は悪いし、患者はモルモットにされるも同然だろう。下手をすると、効果がないまま、副作用だけがある、というふうになりかねない。(というか、その確率が最も高い。)……だったら、やらない方がマシだ、というものだ。
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すると、読者から反発の声が出そうだ。
「そんなことじゃ、うまい方法だとは言えないだろ! うまい方法があるといったのは、嘘だったのか?」
いやいや。嘘じゃありません。こうすればいい。
「いきなり抗ウイルス剤を処方するのではなく、ウイルスをシャーレに入れて(培養して)から、そこに薬剤を滴下することで、薬剤の効能を実験的に調べる」
この方法ならば、患者で人体実験するわけではないので、副作用の問題は生じない。
また、多数の薬剤を使って、大量に実験ができるので、薬剤メーカーに用意されている大量の薬剤(発売には至らなかったもの。試験だけに用いてボツにしたもの)を、改めて使うことができる。この新型コロナウイルスに対して。
こうやって、大量の薬剤を試してチェックすれば、それらの薬剤のなかから、新型コロナウイルスに有効なものが見つかるかもしれない。
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そう聞くと、読者は疑うかもしれない。
「そんなことは、いちいち言うまでもない。製薬会社がとっくに考えている。だから、すでに実験済みだろう。 Openブログがいちいち指摘するまでもない」
いやいや。そうではない。そんなことは私も考えたが、実はそうではないのだ。
なぜか? その方法はすでに考慮済みだろうが、肝心の新型コロナウイルスを入手することが困難だからだ。わざわざ中国の武漢まで行って、そのウイルスを採取しに行くとは思えない。(そこに入ることはできても、出られない。通行止めだ。)
また、そんなところに入ったら、死んでしまうかもしれない。おっかない。怖い。
さらに、別の理由もある。製薬会社は、今はまだ治療方法を開発しない方がいいのだ。今の段階で治療方法を確立したら、新型コロナウイルスが撲滅されてしまう。それでは、薬剤の売上げが増えない。それよりは、こいつがパンデミックになって、世界中で何億人もの患者が発生したあとで、遅ればせに治療薬を発売すればいい。そうすれば、何億人もの患者が薬を欲しがるので、ボロ儲けできる。病気がひどくなればなるほど、製薬会社は儲かるのだ。(悪魔の商法。)
だから、今のところは、製薬会社は新薬の開発をサボっている方がいいのだ。
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すると読者は文句を言うだろう。
「それじゃ、みんなが困るだろ。困ったときの Openブログというのは、どうなった? 看板に偽りありだろ!」
いやいや。大丈夫。ここでようやく、うまい方法を具体的に示そう。
そもそも、抗ウイルス薬といっても、インフルエンザ以外にまで適用可能と思えるものは、ほとんどない。たいていの抗ウイルス薬(インフルエンザ用)は、複雑な化学構造をもっているので、特定のインフルエンザにしか効果がない。具体的には、(A型、B型というぐらいの差ならばともかく)人間でない鳥インフルエンザにまで効果があるような抗ウイルス薬は、ほとんどないのだ。
だから、既存の抗ウイルス薬のほとんどは、(鳥インフルエンザにさえも無効なのだから)肺炎のウイルスには効果があるはずがないのだ。試す前から「効果なし」と強く推定できる。
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しかし、である。「ほとんど」は、「すべて」とは違う。ほとんどの薬は無効でも、たった一つだけ有効らしい薬がある。それは、とても単純な化学構造をもつ薬だ。
その薬の開発コードは T−705 だ。物質名はファビピラビルで、商品名はアビガンだ。こいつだけは、新型コロナウイルスに有効である可能性がある。(最後に残る、たった一つの、頼みの綱だ。人類存亡のカギを握る、たった一つの、頼みの綱というと、SFアニメみたいだが。)
ファビピラビルについては、前に紹介したことがある。そちらを参照。
→ T-705(ファビピラビル)が販売へ: Open ブログ(2014年01月09日)
この薬が新型コロナウイルスに有効であるかどうかは、はっきりとしていない。実験もされていないだろう。
ただし、MERSコロナウイルスについては、ファビピラビルをお使うことが考慮されたこともあるようだ。
日本に備蓄されている抗RNAウイルス薬のファビピラビル(商品名アビガン)は、ウイルス性肺炎の主要原因の一部であるインフルエンザウイルスやRSウイルスには対しては効果があるものの、MERSコロナウイルスに対しては情報が無いため効果は不明である。
( → MERSコロナウイルス - Wikipedia )
不明ではあるが、化学構造からすると、有望であるようだ。Favipiravir(ファビピラビル)について、こう論じている記事がある。
・抗ウイルス薬、Favipiravir(6-fluoro-3-hydroxy-2-pyrazinecarboxamide)16)
抗インフルエンザウイルス薬として承認を受けていますが、抗エボラウイルス活性も有しているのではと昨今話題になっています。更に、インフルエンザ、エボラに限らず、多種の1本鎖RNAウイルスに効果を示すのではとの推測もなされています。
細胞内でfavipiravir-ribofuranosyl-50-triphosphate(favipiravir-RTP)に変換されたFavipiravir は、RNAポリメラーゼにプリン塩基と誤認されRNA の素材として使用されますが、誤認された偽の素材なのでRNA は複製されず、結果としてRNAポリメラーゼ活性、及び対象ウイルスの増殖も阻害されることになります。
このような作用機序に鑑みると、やはりかなり広範囲の抗ウイルス活性を期待できるのではないか、そしてMERSCoVもその範疇に入るのではないかと考えられます。
抗MERS-CoVに関する情報はありませんが、抗MERSCoV薬の候補として期待をするのは、私だけではないように思います。
( → I's eye: 中東呼吸器症候群コロナウイルス ?| 日本BD )
ここでも紹介されているが、ファビピラビルは、エボラ出血熱およびその他への効果がある。下記の記事もある。
ウイルスRNA合成を阻止する。本来は抗インフルエンザウイルス薬で、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を防ぐことで増殖を防ぐ仕組み。そのためインフルエンザウイルスの種類を問わず抗ウイルス作用が期待できる。またインフルエンザウイルスのみならず、エボラ出血熱ウイルス(後述)やノロウイルスなどへの適用性に関する試験・研究も行われており、ケンブリッジ大学教授のイアン・グッドフェローらの研究チームは2014年10月21日、マウスを使った実験でノロウイルスの減少・消失を確認したとの発表を行った。さらにウエストナイル熱ウイルス、黄熱ウイルスなどのRNAウイルスにも効果があると考えられており、同研究チームは「治療だけでなく感染予防にも効果的である可能性がある」とコメントしている。
( → ファビピラビル - Wikipedia )
こういう事情があるので、ファビピラビルが新型コロナウイルスに有効である可能性は、かなり高いのだ。大いに期待を持てる。
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では、このあと楽観できるかというと、そうでもない。科学的真実とは別に、人間的な阻害要因がある。
そもそも、この薬剤は、日本の企業が開発した薬剤であり、備蓄も日本だけにある。この薬剤を中国のウイルスに結びつける経路が確立されていない。中国はウイルスを渡してくれないし、日本は薬剤を渡して上げない。ウイルスと薬剤とは、離れたところで分離したままであって、薬としての効果を調べる経路もないし、薬として処方する経路もない。(要するに、人間が無為無策だ、ということ。)
この問題を解決するには、中国と日本とが親密な関係を構築することが必要そうに見えるが、それはまず無理だ。となると、国際的な機関である WHO を経由して、ウイルスと薬剤を結びつける経路を構築するべきだろう。
また、各種の臨床家や研究者や製薬会社(特に ファビピラビルを開発した富士フイルム富山化学)が、その経路に参画するように、制度を整える必要もあるだろう。
このようにして「人間的な阻害要因」を解決することこそが、新型肺炎をパンデミックにしないための方策となる。これを目指して、人類は努力するべきだ。それも、早急に。状況は一刻を争う。
そのことを、本項で指摘しておこう。
[ 付記 ]
ただし、本項で正しいことを指摘しても、それが実現するとは限らない。
MRJ の例では、本サイトが 2007年に「 MRJ は駄目だ」と指摘したあとで、13年後の 2020年になって、「 MRJ は駄目だ」と人々が気づくようになった。その間に、三菱は 6000億円もの金を無駄にすることになった。
→ MRJ がまた延期: Open ブログ
同様になるとしたら、人類が新型肺炎に対する対処を取るには、13年ぐらいかかるかもしれない。そのときになって、「 13年前に Openブログに書いてあったな」と思い出すのである。……それまでに、6000億円を失うかわりに、もっと巨額の金と、莫大な人命を失うことになりそうだが。
[ 参考 ]
新型コロナウイルスのニュースに関しては、欧米からとるのが速いですね。ドイツやアメリカから取得しています。WHOはかなり遅く、しかも中国寄りで、使えません。
— ニキータドットコム@新型肺炎コロナウイルス、気をつけて (@StudyHacks81) January 23, 2020
日本は論外。中国では、人民日報の姉妹紙Grobaltimeが、少しましかなと思います。台湾のニュース番組は確かにいいかもしれないですね。
【 関連サイト 】
英語版の速報は、NY Times で。
→ Coronavirus Live Updates: A Somber Holiday as China Reports More Deaths - The New York Times
台湾のニュースは下記で。
→ 最新記事 | 中央社フォーカス台湾
※ 台湾の国内ニュースが多くて、日本人にはあまり役立たない。
【 追記 】
今回のウイルスは相当に危険性の高いものだが、これは中国の研究所で開発中だった生物兵器が流出したものではないか、という噂が出回っているという。
→ 武漢ウイルス研究所の謎…新型肺炎は事故で漏れた生物兵器ではないか? | テレビ業界メモ
→ 「兵器化された病原体が流出したのではないか」という懸念 - In Deep
→ Virus-hit Wuhan has two laboratories linked to Chinese bio-warfare program - Washington Times
この研究所が危険生物を扱っていたことは、前から知られていた。
→ P4実験室が稼働開始、危険ウイルスの研究条件が整う | SciencePortal China
→ Inside the Chinese lab poised to study world's most dangerous pathogens : Nature

生物兵器の流出かも、という話。
エボラウイルスにも効くとの報告があるので、
同じRNAウイルスのコロナウイルスにも効く可能性はあると思いますよ。
あくまでも可能性で、実際のところはやってみないとわからないですが。
ファビピラビルよりも有望な薬剤があれば、
それを優先して検討するのが良いと思います。
それについては、ちゃんと原文を引用して、翻訳を付けています。読めばわかるとおり。
> 流用できる
流用するぐらいは簡単です。それで効果が出るかどうかは不明だけど、処方することだけならばできる。
> なぜインフルエンザ用なのですか?
ファビピラビルの説明をした項目に書いてある。リンク先を読みましょう。
要するに、RNA の増殖の阻害剤だから、個別のウイルスの独自性にかかわらず、RNA の増殖を止める。そのことで、ウイルスを殺す代わりに、ウイルスの増殖を止める。だから汎用性がある。
つまり、特に特定のインフルエンザ・ウイルス用ではなくて、ウイルス一般に使えそうな原理がある。
以下、引用。
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《 インフルとHIV薬混ぜ「新型肺炎の治療薬」 タイ政府 》
治療にあたった医師がインフルエンザ治療薬と、HIV(エイズウイルス)治療薬を混ぜて使ったところ、48時間以内に陰性になったという。
会見した医師2人は、使ったのは、インフルエンザ治療薬の「タミフル(一般名オセルタミビル)」と、抗エイズ薬の「リトナビル」などと説明。「患者は12時間後にはベッドに座ることが出来た」と話した。
https://www.asahi.com/articles/ASN232STPN23UHBI005.html
> 発症者に対し、抗インフルエンザ薬「アビガン」を投与する研究を近く始める意向を明らかにした。有効だったとの報告もあり、中国で臨床試験しているという。
→ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55969760S0A220C2MM0000/
日本がやっているのかと思ったら、中国でやっているんだって。日本は完全に出遅れている。本項を読んでおけばよかったのに。