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トランプ大統領が、わがままのやり放題で、世界は第三次世界大戦の危機にまで陥った。(先のイランへの攻撃。)
→ イランで戦争危機: Open ブログ
このときは、イランが最大限の配慮を見せたことで、戦争へのエスカレーションは回避された。
とはいえ、米国の大統領がこれほどにも喧嘩っ早いと、今後、またも世界大戦の危機が生じるかもしれない。トランプが大統領である限り、人類は存亡の危機に立たされている。
では、どうすればいいか?
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この問題を懸念する記事があった。
→ (時事小言)米・イラン危機の行方 戦争回避、日本も努力を 藤原帰一:朝日新聞
一部抜粋しよう。
束(つか)の間の平和が長続きするとは考えにくい。アメリカ・イラン両国は不拡大方針をとっているが、昨年 12月に見られたようなイラクにおける米国人殺害が相次ぐことになれば、全面戦争の意思はないのに武力行使に訴えざるを得ない状況が再現してしまう。
6カ国核合意は、核開発を制限すれば経済制裁を段階的に解除するという取引だった。合意から撤退したアメリカは、イランがどのような政策に転換すれば制裁を解除するのか明示していない。解除条件を示さない経済制裁が相手の行動を変えることは期待できない。6カ国核合意のような外交の試みを無視する限り、国内の反体制運動によってイラン政府が倒れることを期待するか、イラン本土への攻撃に追い込まれるか、どちらかの選択肢しか残らない。
こうして戦争再発の危険を訴えている。その上で、対策として、「安倍首相はトランプ大統領を説得せよ」というふうに提言している。
だが、米国の犬である安倍首相が、ご主人様に何か意見を出せるはずがない。せいぜいシッポを振るぐらいだろう。
先の日米貿易交渉を見てもわかる。TPP では「日米対等」の条約を結ぶはずだったのに、日米貿易交渉では「米国の完全勝利、日本の完全敗北」(日本は何一つ得ることなく、すべてを与えた)という形で決着した。事実上の「無条件降伏」である。このとき、日本は戦争で負けたわけでもないのに、安倍首相はシッポを振って無条件降伏したのだ。しかも、このときの状況は「日本の方が圧倒的に有利である」という状況だった。
※ すでに TPP が米国抜きで成立していたので、オーストラリアやニュージーランドの農産物が低税率で輸入されていて、米国の農産物は競争上では不利だった。現状のまま放置すれば米国は圧倒的に損するので、米国としては何が何でも早期に日米貿易交渉をまとめる必要があった。そのためには譲歩することが本来は必要だった。それほどにも米国は不利な状況に立たされていた。
※ なのに安倍首相が一方的に譲歩したのは、「さもないと自動車に高率課税するぞ」というブラフにびくついたからだ。こんなブラフには「それなら日本も農産物に高率課税するぞ」とブラフで返せばいいのに、そうする知恵がないせいで、あっさり怯えて、ブラフに負けた。(ポーカーでは大損するタイプだ。)
→ 日米貿易協定が決着: Open ブログ
というわけで、「安倍首相がトランプ大統領を説得せよ」というような提言は、意味をなさない。
では、どうすればいいか?
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ここで、参考となる記事がある。
米国の外交安全保障問題に詳しいケイトー研究所のトレバー・スロール上級研究員は「トランプ氏は外交のすべてを取引と捉えている。同盟関係を歴代政権のように『ウィンウィン(両者が勝つ)』の関係ではなく、『ゼロサムゲーム(誰かが勝てば、誰かが負ける)』として捉えている」と指摘する。
( → 同盟も金次第、国際枠組み離脱 米国に広がるトランプ流:朝日新聞 )
これと同じことは、私も前から思っていたので、書こうかと思っていたが、上記に記事があるので、そのまま引用することにした。
※ 同趣旨の記事は、他の箇所にも見かけたことがある。つまり、多くの人が同じように認識しているわけだ。
トランプ大統領は、常日頃から言っているように、外交を「ゲーム」や「ポーカー」のように考えている。「ブラフを使って、相手に勝つ」ということばかりを考えている。
その一方で、国際的に協調して「全人類で利益を得る」というようなことをまったく考えていない。そもそも、そういう発想がない。(絶対値でなく相対値でのみ考える。全員が貧しくなったとしても、自分が他人よりはマシならばそれでいい、と考える。あくまで、他人と比較した勝ち負けだけが評価基準だ。)
では、こういう人物に対抗するには、どうすればいいか?
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困った。そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「米国を抜きにして、日本と欧州で共同戦線を張る。これまでは、《 米−日 》および《 米−欧 》という関係ばかりがあったが、今後は、《 日−欧 》という関係を築いて、米国に対抗する」
とりあえずは、次の方針を示す。
・ 民間航空会社は、ボーイングの購入をやめて、エアバスにする。
・ 次期戦闘機( F2後継)の開発は、日欧協力で。
参考:ユーロファイター2020 の導入
このような方針は、従来のように「日米親密」という状況では、起こりにくかった。しかし、今や米国自身が「日米親密」や「日欧親密」という方針を捨てて、日本や欧州をブラフで脅している(敵対視している)という状況だ。こんな状況で一方的に屈服ばかりしていれば、国益を大幅に損ねる。(日米貿易交渉のように。)
下記の朝日記事がある。
「この日からアメリカ・ファースト(米国第一)だけとなる」
米国の利益だけを最優先する――。トランプ氏の主張の根底にあるのは「米国は他国からだまし取られてきた」という思いだ。自身が「米国民の利益に反する」と判断すれば、過去の米政権が築き上げた国際的な合意をほごにすることは意に介さない。
( → 衝動的な決断と非協調 かき乱すトランプ流外交3年:朝日新聞 )
トランプ大統領がこのような方針を取る限り、日本や欧州は、屈服する代わりに、対抗するべきなのだ。そして、対抗のために最も強力な方法は、「日欧協力」である。その本質は、「孤立主義である米国を日欧から排除する」ということだ。
ま、現実には排除することは困難だろうが、そのような方針をカードとして見せる(ブラフとして使う)ようにすれば、トランプ大統領の一方的なブラフに対抗する手にはなるだろう。
[ 付記 ]
この方針は、タカ・ハト・ゲームでも理解できる。
これまでは、ハト・ハトの関係だった。それで双方が最善の利益を得た。
ここで米国がトランプ大統領になって、タカ路線を取った。「こっちがタカで、相手がハトなら、たかが一方的に利益を得ることができる」という算段だ。そして、実際、安倍首相は屈服したので、トランプ大統領の思惑通りになった。
しかしここで、日本や欧州が「タカ」の方針を取れば、「双方が傷つけ合う」という形になって、双方が損をする。このときようやく、米国は「タカ」の路線を引っ込めるのだ。
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上のことは、実例がある。先のイランとの紛争だ。
トランプ大統領は、イランが報復を声明すると、「報復したら、52箇所を攻撃するぞ」と言って、ブラフをかけた。
しかし、イラクが実際に報復すると、(人的被害がなかったこともあって)「52箇所を攻撃するぞ」という言葉を反故にした。あっさり撤回したわけだ。(もともと口先だけのブラフだったからだ。)
そして、このように「方針の撤回」をするのを正当化するために、米軍の側の被害を徹底的に隠蔽した。
→ ミサイルで被害があったわけ: Open ブログ
「被害を隠蔽した」というのを指摘したのは、たぶん、本サイトだけだろう。(上記項目)
本サイトだけは、トランプのブラフをきちんと見抜いている。安倍首相のように尻尾を振るだけの犬とは違うのだ。
こうして、犬であることをやめれば、解決への道筋も見えてくる。ただし、それには、トランプのポーカーごっこを見抜く目が必要だ。本項を読んで、そこのところをきちんと理解しよう。
かたや日本は、安倍首相が好き勝手に振る舞っても、本気で制止しようとする人がいません。ゆえに、独裁者気取りでやりたい放題の状態です。
彼自身、強い被害意識が根底にありますね。
それを米国に当てはめています。世界中が米国からむしりとってきた。特に日本は表面は米国に従っているようでも、人のいい米国をたばかって実は米国の富をむしりとってきたんだという被害意識ですね。この被害意識がある限り、日本はいくらでも無限に搾り取られると思います。
またそれに首相がしっかり応えるから・・、まあ最悪のパターンです。
他国に従属する国には当然ながら自律の気概は生まれようがないし、国民においても、それは仕方がないと正当化されています。つまり中国やロシアは悪の国であって、米国がそれらの魔手から日本を守ってくれているんだから、日本の富を米国に渡すのはやむを得ないと考えるんですね。
米国に対し、もう一端に欧州を置いてバランスを取るというやり方は素晴らしいと思いますが、今の首相がそれができるでしょうか。このテーマでは、首相が変わるとかじゃなくて、現状のままでトランプの魔手を避けるさらに優れたアイディアがないか、検討してみたいですね。