2020年01月14日

◆ 24時間営業で弊害

 コンビニの24時間営業やスーパーの深夜営業には、意外な弊害があった。食品の衛生が損なわれるのだ。

 ──

 これは朝日新聞・朝刊・投書欄( 2020-01-13 )に投稿されていた話。ネットにはなく、紙の新聞にあるのだが、一部抜粋しよう。食肉製造の現場で働いてきた人の体験談。
 食品製造現場では機械類の洗浄、床などの水分除去・乾燥、原材料から製造現場までの温度管理を徹底する。細菌などが国の基準に収まっているか確認するため出荷前には細菌検査もする。
 しかし、コンビニが広がり、スーパーの営業時間も長くなると、欠品を恐れる店側の求めに応じて、われわれの製造・出荷も 365日稼働を強いられた。洗浄や乾燥などが万全にできないまま製造したり、細菌検査の結果を待たず出荷したりするようになった。

 衛生上の管理が不徹底なまま出荷されるようになったわけだ。
 これでは、業者がいくら HACCP を謳っていても、有名無実化してしまうことになる。

 最近では、スーパーなどが「 HACCP 認証」などを店頭で PR していることもある。しかし、意外なところに、盲点があったわけだ。
 コンビニ 24時間営業は、その店だけの問題に留まらず、社会全体の衛生レベルを引き下げてしまうのである。

 ※ 「コンビニは社会の病原菌」と言ってもいい。



 [ 付記1 ]
 こういう問題が起こるのはどうしてかというと、原理は次のことによる。
 「食品ロスの負担が全額、店の側に押しつけられるので、コンビニ本社の方は、食品ロスの増大の恐れがない。だから、機会ロスの減少だけを気にして、機会ロスをなくすために、24時間営業を店に強いる」

 この結果、深夜営業のせいで食品ロスや労働コストによる損失が多大に発生しても、たとえ1品で 100円の売上げが出れば、コンビニ本社の側は利益が増えることになる。「負担は店に、利益は本社に」という構造だ。
 これはもちろん「優越的地位の濫用」に当たるので、独禁法違反だ。公取委も 24時間営業の強制については、以前から取り締まろうとしている。
  → 公取委/コンビニ24時間営業で独占禁止法適用の可能性に言及 | 流通ニュース

 なのに、いつまでたっても、公取委は実際には何も取り締まらない。 24時間営業も取り締まらないし、食品ロスの全額負担も取り締まらない。値引きの禁止もほとんど取り締まらない。こういう公取委のサボタージュは、たぶん、コンビニ会社が自民党に圧力をかけているせいだろう。
 かくて日本中で、食品の衛生は劣化する。

  ※ 比喩的に言えば、コレラ菌をぶちまける食品テロみたいなものだ。

 [ 付記2 ]
 食品ロスの発生は、「値引きの禁止」によって起こるが、これは、部分的には緩和しているものの、大部分は緩和していないようだ。
  → セブンイレブン、消費期限迫った商品に5%のポイント付与
 
 賞味期限切れ間近の商品を、5%引きにするという。ただし、現金で引くのではなく、ポイントを付けるだけ。
 5%という額の小ささもさることながら、ポイントをもっていない人には値引きしないわけだ。これでは、平均的には、2%ぐらいの値引きにしかなるまい。こんなレベルでは「焼け石に水」みたいな効果しかあるまい。呆れる。
 ついでだが、セブンのポイント還元は、1%から 0.5% に減額された。差し引きしたら、会員はかえって損している計算になりそうだ。

 [ 付記3 ]
 食品ロスを完璧になくしている料理店の話がある。ステーキ丼の店。
  → 「100食限定」で働き方改革 売り上げを減らす選択:朝日新聞

 ランチのみで、1日 100食限定。売り切れたら、閉店。毎日 100食をすべて売り切るので、食品ロスはない。メニューも1種類だけだから、余るものはない。
   ※ 最近ではメニューが3種類に増えた。

 「それで売れるのか?」と思いそうだが、無駄がないので、原価率がとても高い。通常の店は 30%なのに、この店は 50% だ。税抜きで1千円というが、原価は 500円。通常なら 1700円になるステーキ丼が、1000円で食べられる。これなら大人気になって、毎日完売になって当然だろう。
 オーナーの言い分がふるっている。
 「私たちは機会ロスよりも食品ロスの方が損失額が大きいと考えます。機会ロスは人々の購買意欲をかりたてます。ほしいと思っていたものがないとき、人は怒るのではなく、もっとほしくなる。だから、あえて毎日、機会ロスをつくりだしています。機会ロスをどうビジネスチャンスととらえるかは、今後の日本にとって非常に重要なポイントです」

 なるほど。一方、この逆が、いきなりステーキだ。やたらと多くの出店をしたせいで、人々は渇望することがなくなり、飽きてしまった。そのあげく、大量閉店だ。
  → 「いきなり!ステーキ」大量閉店 急な拡大が裏目に





 [ 付記4 ]
 原価率という点で言うと、都心の広場で見かけるキッチンカーも、原価率が高いそうだ。
 都心で店を出しているレストランが、広場でキッチンカーも出しているが、同じ内容の料理を、ほぼ半額で売っているそうだ。それでも、回転率がすごく高くて人件費がかからないのと、店舗代がかからないのとで、利益はキッチンカーの方がはるかに多額になるそうだ。NHK の番組による。
  → NHK 番組表 | 有吉のお金発見 突撃!カネオくん「いま大人気!最新キッチンカーのお金の秘密( ※ これはただの番組紹介)

 キッチンカーもほぼ売り切ってしまうので、食品ロスが少なくて、利益率が高いのだろう。ほぼ半額で売っても、メチャクチャに儲かるそうだ。無駄をなくすことの効果がわかるというものだ。


 ※ 余談だが、都内でキッチンカーが増えたのは、高層ビルが増えたのが理由。高層ビルには公開広場の設置が義務づけられているので、広場(オープンスペース)が増えた。そこに出店させることで、出店料を取れるので、ビルの側も儲かる。ビルも儲かり、店も儲かり、客も得するという win-win-win。
posted by 管理人 at 22:48| Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
余談のほうで申し訳ありませんが、公開空地は「義務付け」というよりも「規制緩和のための条件」の意味合いがあります。公開空地を設けることによって、より高層のビルを建てられて、キッチンカー出店料も取れて、建物内テナントの客を呼び込む人の流れも作れるとなれば、いいことばかりです。
コンビニカーを出して店舗商品の7割くらいの値段で売れば、大手チェーンと契約しない個人商店でもうまくいくかもしれませんね。学校の購買みたい。
Posted by けろ at 2020年01月16日 21:35
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