2020年01月13日

◆ 日米安保の意義

 日米安保の意義は、何か? 日本にとっては安全保障だが、米国にとっては何か? (トランプ大統領への反論)

 ──

 この件は本日の朝日新聞で特集されている。
 話の発端は、トランプ大統領の発言だ。
 「米国が攻撃されても日本は我々をまったく助ける必要がない。彼らができるのはソニーのテレビでその攻撃を見ることだ」。昨年6月、G20大阪サミット直前にあった米メディアのインタビューで、トランプ氏は日米安保条約への不満を口にした。
( → (日米安保の現在地)同盟軽視、見返り求める米:朝日新聞

 これに対して、安倍首相はどう答えたか? 記事の続きには、こうある。
 
 しかし、日米首脳会談で安倍晋三首相は、トランプ氏の発言の真意をただすことはなかった。代わりに、「わずか1カ月で五つの追加投資をした」と書かれた1枚紙を手渡した。全米の地図に日本の企業がいくら投資したかが記され、日本の米国経済への貢献をアピール。

 つまり、まともに答えることができていない。安倍首相は「日米安保とは何か」を理解できていないようだ。

 では、防衛省の人々はどうか? 五百旗頭真・元防衛大学校長は、インタビューで次のように答えている。
 ――トランプ氏は、日米安保条約は「不公平だ」と不満を口にしています。

(五百旗頭)「日本は守ってもらうばかりで米国に利益がない、全部カネを出さないと米軍を引き揚げると言わんばかりだ。しかし、米国は中ロが好きにするのを達観できるか。米国の利害は世界に広がり、米国益のため、世界への関与と秩序が必要で、日本の基地はその最重要インフラの一つだ。同盟が日本のためだけにあり、米国には負担でしかないというのはウソだ」
 「日米同盟は、両国の異なるニーズを支え、アジア太平洋の安定という共通の利益を守るものだ」
( → 「同盟は米国にとって負担、はウソ」 五百旗頭氏の指摘:朝日新聞

 「米国益のため、世界への関与と秩序が必要で、日本の基地はその最重要インフラの一つだ」
 と述べている。これは、間違いというわけではないのだが、表現が曖昧すぎる。「世界への関与と秩序」なんて、あまりにも抽象的すぎる。これじゃまるで、「米国は世界の警察官ないし統治者である」と言っているようなものだ。話がピンボケすぎる。

 ──

 そこで私がはっきりと正解を示しておこう。こうだ。
 「米国益のため、中国やロシアや北朝鮮への最前線基地が必要で、日本の基地はその最重要インフラの一つだ」


 わかりやすく言えば、(中曽根・元首相が語ったように)「不沈空母」である。
 在日米軍基地を提供する日本は、米国本土を直接的に守るためにあるのではない。米国本土を間接的に守るために、敵の攻撃力をそぐ。そのために、(敵が軍事力を防衛に回す必要が生じるように)、敵への攻撃力を確保するのである。

 日本という不沈空母から部隊が出発して、敵国を攻撃すれば、敵国は自国を守るのに大わらわとなり、米国を攻撃する力がそがれる。こうして日本は米国本土を守ることに貢献しているのである。
 つまり、「攻撃は最大の防御なり」という発想だ。ミサイル防衛網なんかで米国本土を守るよりは、在日米軍基地から戦略爆撃機を飛ばす方がよほど有効なのだ。

 ──

 なお、日本以外に米軍基地を置くのは、いろいろと難点がある。

 (1) グアム …… グアムは中国やロシアから、あまりにも遠すぎる。

 (2) 台湾 …… 台湾は中国に近いので、中国への出撃基地としては最適だ。しかしあまりにも近すぎるので、いざというときには中国から総攻撃を受けて、全滅しかねない。リスクが高すぎる。

 (3) フィリピン …… ルソン島あたりは場所としては悪くないが、米軍基地の経費を負担してくれるだけの金がない。また、南方に位置するので、北京や北朝鮮やロシアに対抗するには、場所が遠すぎる。

 (4) 韓国 …… いざというときには北朝鮮経由で中国軍が攻めてきて、全土を支配されかねない。(朝鮮戦争のときのように。) また、近年では米国離れの政権ができているので、国としてまったく信用できない。 さらに、米国に払う金も、日本よりずっと少ない。

 以上のように、いずれも難点がある。

 ──

 一方、日本は理想的だ。南は中国に近く、北はロシアに近く、払う金はとても多い。(直接的な軍事経費以外[駐留費]の全額を支払ってくれる。)
 これほどにも米国にとって好都合な国は、他にはあるまい。米国にとって日本はあまりにも「自国にとって有利」な状況にあるのだ。
 にもかかわらず、米国大統領は、それを理解できていない。だったら、日本としては、事実をきちんと指摘するべきだ。その上で、こう提案するといい。
 「在日米軍が米国にとって負担が大きいというのであれば、お望みのようにします。さっさと出ていってください。とりあえず、在日米軍基地を半減してください。横田・厚木・普天間の基地を返還してください。経費が浮くんだから、それでいいでしょ?」

 ※ この件は、これまでに何度も述べた通り。 
    → サイト内検索
 
 ──

 ともあれ、トランプも、防衛関係者も、「日米安保とは何か」を、まともに理解できていない。だから本項では、正しい知識を示しておいた。このくらいの初歩的知識は、きちんと理解しておいてほしいものだ。

 ※ 本サイトの独自見解ではありません。ただの初歩的知識です。
 ※ だけど、朝日の記事も、このくらいのことを示していない。
posted by 管理人 at 14:14| Comment(8) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
南堂さんの主張は非常に明確でとてもわかりやすいです。メディアはこれくらい明確に書くべきだと私も思います。立脚点を明確にしないと、何の議論をしているのかわからなくなります。あれこれ考えることが全くの無駄になります。
この考え方であると、中国やロシアは日本の敵国ということになります。ロシアが北方領土を米国の基地を置く可能性があるとして返さないのは当たり前ということになります。必要であれば(米国が必要と判断すれば)、当然そこにロシア向けのミサイルを置きます。ロシアがその地を返すはずがないのも当然です。習近平総書記が何のために敵国の日本に来るのか、何のために呼ぶのか、もうわけがわからなくなります。
日本は米国の最前線の基地になります。日本が金を払う必要はなく、米国の兵器は全て無料で配備すべきだと私は思います。日本は中国、ロシアの第一標的として、そこの住人は生命の危険にさらされますから、日本に住む総ての人にそれに見合う大きなメリット、生命への危険手当が支払われるべきと私は思います。
Posted by SM at 2020年01月14日 08:56
首相はプーチンを地元の山口に呼び歓待した。戦争で勝負して負けた結果取られた。しかしそれから長い時がたった。別国のソ連とではあるが、返還に関する歴史的な経緯もある。これからは経済的協力で相互の発展も見込める。だから北方領土を返してくれないか・・。
このような交渉ができるのは、相互が友好国であればこそでしょう。国のリーダー同士が相互に立派な人として認め合い、お互いを尊重できる。そこに譲り合いの素地が生まれるのです。敵国同士で、腹のなかではお互い滅ぼそうとしていて・・。

接待してくれる、〇〇をくれるというならいくらでももらいますよ。でも、自国を害するミサイルを置く可能性を持つ地を返せと言っても無理なのは当たり前ですよ。なぜこのような論理矛盾の行為をするのでしょうか?
Posted by SM at 2020年01月14日 09:20
>これほどにも米国にとって好都合な国は、他にはあるまい。米国にとって日本はあまりにも「自国にとって有利」な状況にあるのだ。
 にもかかわらず、米国大統領は、それを理解できていない。

→理解の有無は関係ないですね。トランプにはそんなへ理屈は通用しないのです。自分たちほど血を流す覚悟がないなら、用心棒代はベラボーに高くすべきだと思っているのがトランプ。異常なトランプにかつてないほど媚びる気満々なのが安倍ちゃんなだけです。堕落した自民党のなれの果て。
Posted by ポール at 2020年01月17日 21:26
 理解していないと、「だったら日本を守ってやらないぞ」と言い張って、米軍基地を全部引き払うことになる。その結果、グアムなどで基地経費を自分で全額払うハメになり、かえって損してしまう。得しようとして、かえって大損だ。
 理解しないと、大損するだけでしょ。自殺行為。だから、ちゃんと理解するべき。……そういう趣旨。

 トランプは常に、「自分と相手の損得」ということばかりを見ているから、「ともに得する」とか「ともに損する」とかいう認識ができない。ここが肝心。
Posted by 管理人 at 2020年01月17日 21:42
管理人の言いたいことは良く分かる。
ただ、それ以前の問題。
米軍基地のない日本を夢見ている自民党議員は一人もいない。戦う気のない人間のブラフを恐れる者はいない。撤退決議が出たら、24時間で米軍は日本から出ていくだろう。日本の与野党に武装独立を志向する者はいません。その点では悲しいかな、頭のおかしい韓国人のほうがまともです。
警察のいない世界でカタギとヤクザがポーカーゲームをしているわけです。ヤクザになる覚悟は1ミリもない安倍さんのブラフには何の力もありません。トランプは頭がおかしい平均点以下の大統領であるがゆえに、皮肉なことに日本の本質を偉い人より見抜いているわけです。
時に馬鹿ほど怖い者はないのです。
Posted by ポール at 2020年01月18日 00:07
> 米軍基地のない

 完全撤退はもともと想定されていません。多すぎるから一部を削減する、というだけの話。
 文中に「横田・厚木・普天間の基地を返還して」と書いてある通り。この程度を削減するだけで足りる。
Posted by 管理人 at 2020年01月18日 07:13
イラク議会が駐留米軍に出ていけと今年の1月に議決したら、トランプ大統領はイラクにある基地には莫大な費用がかかっていてそれをイラクが返済しないかぎりでていかないと言いましたから、出ていけといったところで金払わなきゃ出ていかないんじゃないでしょうか
Posted by 通りすがり at 2020年01月18日 11:07
 金を払おうが払うまいが、どっちみち、出て行ってくれればありがたい。
 これまでは「出ていかない」と言っていたのだから、トランプの時代に出ていってもらえば、好都合。
 他のまともな頭のある大統領の時代では、アメリカの言い分が通って、出ていかない。トランプ時代だからこそ、本人の言葉を逆手にとって、追い出すことができそうだ。
Posted by 管理人 at 2020年01月18日 11:39
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