2020年01月07日

◆ イランは核攻撃をするか?

 イランは司令官殺害のあとで、報復を告げると同時に、核開発を声明した。では、核攻撃による核戦争は起こるか?

 ──

 イランは司令官殺害のあとで、無制限の核開発を声明した。
  → イラン「もはや核開発に制限ない」ウラン高濃縮も示唆:朝日新聞
  → イラン「無制限でウラン濃縮」 核合意瀬戸際、米との緊張高まる 米「攻撃なら大規模反撃」- 産経

 それに先だって、司令官殺害への報復を告げた。
 イランは革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官殺害を受け、3日、米国への報復を警告した。核合意を段階的に逸脱するイランは6日にも第5弾の措置に踏み切る構えで、これまで以上に挑発的な対抗策となる恐れがある。核開発拡大に加え、革命防衛隊は代理勢力を使った駐留米軍への軍事的圧迫や米軍高官らの暗殺、近隣諸国の石油施設攻撃など軍事力行使の選択肢の精査に入った。
( → イラン、核開発拡大へ 対米報復、軍事力行使も 代理攻撃、暗殺も選択肢 狭まる外交解決の道 - 産経

 上の「第5弾」というのが、核の無制限開発であるそうだ。
  → イラン、無制限でウラン濃縮へ 核合意逸脱第5弾 :日本経済新聞

 ──

 ともあれ、イランは核の無制限開発に踏み切った。このあと、核兵器の開発をするのは、そう難しくはないだろう。
 広島型の原爆は、爆弾が大きくなるが、容易に作れる。
 長崎型の原爆は、多数のウランを1箇所に集めるという「爆縮」の技術が必要なので、何回かの核実験を含めて、やや高度な技術が必要となるが、イランぐらいの大国が国家レベルでやれば、実現は困難ではあるまい。遠からず、実現されるだろう。結果的に、小型化された原爆を所有するようになる。

 問題は、それを使用するかどうかだ。イランは核を使うだろうか?

 ──

 常識的には、「使わない」となる。使えば、双方が大被害を受けることになるので、使うとすれば、国家滅亡を覚悟する必要があるからだ。
 特に、中国やロシアならば、通常兵器で米国と対抗できるので、核を使う(そして双方が滅亡する)という道を選択するとは思えない。

 しかし、イランは別だ。米国と対抗できるだけの通常兵器がない。とすれば、次の選択肢しかない。
  ・ 米国の攻撃を受けて、一方的に敗北する。
  ・ 核攻撃をして、双方が滅亡する。


 合理的に考えれば、後者を取るしかあるまい。とすれば、イランが取る最も合理的な策は、こうだ。
 「米国がイランに本格的な攻撃をしてきたら、イランは核攻撃に踏み切る……ということを、事前警告する」
 
 つまり、トランプ大統領が「52箇所の攻撃」を通告したように、イランもまた「核攻撃」を通告するわけだ。
 で、そのあとは、次のいずれかとなる。
  ・ トランプ大統領は自省して、何もしない。
  ・ トランプ大統領は 52箇所の攻撃を実行して、イランは核攻撃に踏み切る。

 
 常識的に言えば前者を取るが、そもそも常識的な発想をする人物であれば、「司令官殺害」なんかをするはずがない。「司令官殺害」なんかをするのは、戦争をしたがる頭のイカレた大統領だけだ。当然、「自省して、何もしない」ということはありえない。ゆえに、 52箇所の攻撃を実行する。それにともなって、イランは核攻撃を実行する。
 これが論理的な必然だ。

 ──

 ただし、である。イランが核攻撃をするにしても、イランには長距離ミサイルがないらしい。北朝鮮の技術を受けて開発しているらしいが、北朝鮮の技術もまだ長距離ミサイルを開発するには至っていないようだから、イランに長距離ミサイルの技術があるとは思えない。
  → シャハブ6 (ミサイル) - Wikipedia

 となると、当面は、航空機に搭載して、核爆弾を落とすという形になりそうだ。しかし、航空機に搭載するのであれば、途中で撃墜される可能性がある。米国としても、イランから見慣れぬ航空機が飛んできたら、撃墜しようとするだろう。

 となると、イランが実行する可能性が最も高いのは、これだ。
 「米国の攻撃への報復として、イスラエルに核爆弾を落とす」

 これを1発だけ、実行するだろう。広島や長崎の再現だ。
 このあと、米国が報復として核ミサイルを多数、イランにぶち込むことも可能だが、そうすれば、核ミサイルが届く前に、イスラエルに多数の核ミサイルがぶち込まれるだろう。
 また、イランがあらかじめ船舶に搭載していた中距離核ミサイルから、米国に向けて多数の核ミサイルが発射されるだろう。米国の多数の都市もまた、核ミサイルで被害を受けるだろう。

 ──

 というわけで、核戦争は不可避となる。ただし、それが起こるのは、今すぐではない。次の3点のために、かなりの時間がかかるからだ。
  ・ イランがウランの各濃縮の技術をもつ。
  ・ イランが爆縮の技術をもつ。数回の核開発と核実験。
  ・ イランが(核搭載できる)中距離ミサイルを開発する。


 このすべてを実現するには、数年間の時間が必要となるだろう。
 そこで、当面は、戦争には踏み切らずに、上記の3点の技術開発に専念するだろう。そして、数年間をかけて、上記の3点の技術を開発完了したら、そのとき、イランは核攻撃に踏み切るだろう。

 ただし、である。その前に、米国の大統領選がある。そこでトランプが再選されなければ、核戦争もありえない。しかし、もしトランプが再選されれば、核戦争はほぼ必然的に起こりそうだ。

 核戦争が起こるかどうかは、米国民がトランプを再選させるかどうかにかかっているだろう。



 【 追記 】
 長崎型は、ウランではなくプルトニウムを使う……という趣旨のコメントが寄せられた。
 たしかにその通り。ここで加筆・訂正しておきます。

 《 加筆 》

 実はプルトニウムでなくウランでも大丈夫……というコメントが新たに寄せられた。とすると、話は元に戻ることになる。
 どうも、右往左往してしまったようだ。(私は原爆の作り方には詳しくないので。)
 
posted by 管理人 at 07:59| Comment(4) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>トランプが再選されれば、核戦争はほぼ必然的に起こりそうだ。

数年後の答えあわせが楽しみですね。
再選させる可能性も結構高いし。
Posted by 名無し at 2020年01月07日 12:36
長崎型はウランでなくてプルトニウムが材料ですね。
ウラン濃縮で出来るのは広島型の原爆で、長崎型を作るには、ウランを原子炉で燃やしてプルトニウムを生成するプロセスが必要です。
Posted by 見物人 at 2020年01月07日 13:40
恐ろしいイメージです。
この恐ろしさは、映画や読みもののお話ではなく人類の直面した現実であり、米国とイランの現状から論理的に導かれたこの帰趨を、我々が否定できないところにあります。これが既に人類の現実であること、そこから目をそむけないで明文化した南堂さんの勇気に感謝します。これに現代人類の誰もが向き合わねばならない。
プルトニウムを弾頭としたミサイルの開発は難しいでしょう。南堂さんのご指摘のように実験が必要だし、開発には時間がかかります。世界中が見ています。たとえ非道に司令官が殺されても、世界はそれを許さないでしょう。
プルトニウムは、コソボやイラクで白血病や奇形児が増えた原因とされる劣化ウラン(ほぼウラン238)の19万倍の力価(比放射能)です。ウラン235の3万倍の力価です。つまり気中を漂うプルトニウム微粒1粒を鼻から吸い込むのと、劣化ウラン微粒19万粒を吸い込むのと同じです。春先、高尾山から飛んできて多くの人を悩ます杉の花粉は10ミクロンです。1ミクロンに挽いた微粒100gをニューヨーク、ワシントン、東京の空で撒けば、その地は死の地となります。撒かれたらお終いです。プルトニウムは移動中に探知ができません。放射線は空気中で5cmしか飛ばないので探知ができないのです。加工も容易です。
1週間後に撒かれるように自動設定すれば、誰がやったかわかりません。こういうアイディアはすでに世界中に知られています。Dirty Bombと言います。オバマがその恐ろしさについて、核セキュリティーサミットで演説しています。
こういう視点も持つべきだと思います。
Posted by SM at 2020年01月07日 19:23
広島型(ガンバレル方式)では、プルトニウムだと臨界に達しないので、ウランを使うしかありませんが、長崎型(爆縮方式)なら、ウランでもプルトニウムでも臨界に達しますので、ウランを使用した長崎型というのは、可能です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E7%88%86%E5%BC%BE
Posted by ゴリポン先生 at 2020年01月13日 15:18
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