2019年12月30日

◆ 京都の巨椋池を復活させよ

 京都の巨椋池(おぐらいけ)は、日本最大級の池だったが、干拓されて、農地となった。これを復旧して、池に戻すべきだ。

 ──

 京都の宇治のあたりにはかつて巨椋池(おぐらいけ)という池があった。日本最大級の池。
 当時の地図が公開されたが、そこにもこの池が掲載されている。



 伏見・宇治・淀の三地点に囲まれたところに、大きな池があるのがわかる。これがそうだ。
 Wikipedia にはこうある。
 巨椋池(おぐらいけ)は、京都府の南部、現在の京都市伏見区・宇治市・久御山町にまたがる場所にかつて存在した池。規模からいえば池よりも「湖」と呼ぶ方がふさわしく、現在「池」と呼んでいる最大の湖沼である湖山池よりも広かった。
 豊臣秀吉による伏見城築城期の築堤をはじめとする土木工事などにより時代によって姿を変え、最終的には1933年(昭和8年)から1941年(昭和16年)にかけて行われた干拓事業によって農地に姿を変えた。干拓前の巨椋池は周囲約16キロメートル、水域面積約8平方キロメートルで、当時京都府で最大の面積を持つ淡水湖であった。
( → 巨椋池 - Wikipedia


 この場所は、干拓されたので、現在では農地となっている。





 周辺部は市街地なのに、中央の広い部分は農地になっているのがわかる。駅や高速インターチェンジに近いので、開発されてもよさそうだが、今のところはほとんどが農地となっているようだ。

 ──

 そこで提案だが、この広い農地を、ふたたび池に戻すといいだろう。干拓するのも簡単だったので、池に戻すのも簡単であるはずだ。
 国営干拓事業は1933年(昭和8年)から1941年(昭和16年)にかけて行われ、巨椋池は干拓され、農地になった。干拓後の農地における用水利用を考慮し、池の底部を小倉堤や池に点在した島で埋めた程度で、ほとんどがポンプを用いた排水によって干拓された。
( → 巨椋池 - Wikipedia

 「ポンプを用いた排水によって干拓された」とある。ならば、水を戻すだけで、ふたたび池になるはずだ。

 池に戻すと、どうなるか? 豊かな自然が回復する。
巨椋池干拓前の概況
巨椋池は多様な動植物の生息地として、豊かな環境を育み多くの人に恩恵を与えてきた。
鳥類では鴨の群れが多く、狩猟場として利用されてきた。 生息する魚類は漁業に恵みをもたらした。
( → 巨椋池 - Wikipedia

 上記の他にも記述があるが、干拓前には豊かな自然があったことがわかる。

 さらに、次のことが大切だ。
 巨椋池は、その周辺の洪水調整機能を引き受けたため、洪水時には湖岸約数千ヘクタールが長期に渡り浸水した。
( → 巨椋池 - Wikipedia

 つまり、遊水池としての機能があったわけだ。このことが最も大切だ。
 ここを干拓したあとで、洪水調節の目的で、新たにダムを巨額で建設した。天ヶ瀬ダムである。しかし、たいして価値のない農地を作る一方で、国民の金を莫大に投じてダムを作るというのでは、あまりにもバカげている。特定個人に 1000万円の富を与えるために、国民全体で何十億円もかける、というようなものだ。

 いや、何十億円ならば、まだマシだ。現状でははるかに巨額の金が追加で投じられる。
 関西の淀川水系で国土交通省が工事を進めている天ケ瀬ダム再開発の事業費がまた増額されると報道されています。660億円へと倍増されることになりました。
 天ヶ瀬ダム再開発事業は、これまでも「想定外の地質(破砕帯が広く出現)に遭遇したこと」を理由に、計画策定時の330億円から約590億円に増額されています。今回の増額で事業費は当初の倍額となります。
( → 天ヶ瀬ダム再開発、増額繰り返し倍増660億円(2019年12月27日) )

 淀川系で洪水調節機能が必要だ、というのは、事実である。去年の台風 21号では、淀川が氾濫しそうになったからだ。
  → 【大阪被害状況】台風21号(2018)直撃で淀川の水位上昇!氾濫・決壊危険も

 しかし、対策の目的(洪水防止)はいいが、手段がまずい。巨額のダム再開発は、あまりにもバカげている。
 それよりは、巨椋池を遊水池として復活する方が、ずっといい。費用はずっと小額で済むからだ。最も簡単なのは、ここを単に遊水池とすることだが、もうちょっと手を加えて、この農地の周囲に土堤を作れば、立派な遊水池となる。ちょうど、渡良瀬遊水地のように。

 ストリートビューで見ると、渡良瀬遊水地の堤防は、高さ5メートル弱ぐらいだと思える。土堤なので、コストは格安だろう。





 参考:
  → 渡良瀬遊水地の堤防 - Google 画像検索

 ──

 というわけで、洪水防止・自然回復・費用削減という一石三鳥の名案として、「巨椋池を復活させる」というアイデアを提案しておこう。

 ただし、実現性は非常に低い。なぜなら、低コストであるがゆえに、利権をもたらさないからだ。国民の金を食い物にして、自分たちが袖の下をもらおう……というのが、安倍自民の方針である。それゆえ、利権をもたらさない名案は、たいていボツになるのである。


oguraike.jpg
在りし日の巨椋池 → Wikipedia





 [ 付記 ]
 京都府民や大阪府民が頑張ればいいのだが、彼らは自然環境よりは「儲かりまっか」とか、「ぶぶ漬けは?」なんてことばかり言っているので、自然回復をめざすことはなさそうだ。



 [ 余談 ]
 悪口ばかり言ってごめんなさい。「京都は素敵なところだ」という番組が、年末にあった。
  → ちょこっと京都に住んでみた

 これを見たら、京都はあまりにも素敵なところなので、住んでみたくなった。外国人観光客だらけ、というようなこともなく、閑静な土地であるようだ。ほんのちょっと郊外に行くだけで。





 このあたり、創業 100年以上の古い店がいっぱいあって、和菓子、油揚げ、ウナギのカバ焼き……といった手作りの商品をいろいろと買えるそうだ。
 写真を見ればわかるように、人通りは少ない。外国人観光客があふれているわけでもない。観光地ではない普通の街中では、古い都市ゆえの魅力にあふれているわけだ。建物はちっとも古くないのだが。(昭和のものが多いようだ。)
 なお、戦前から続いて住んでいる人もいるらしい。(戦前とは、応仁の乱以前という意味。京都では第二次大戦はなかったので、戦争といえば応仁の乱だ。)



  ※ 以下は読まなくてもいい。ただの参考だ。


 【 追記 】
 あとで思い直したが、この場所は、私が前に「京都ランドを作れ」と提案した場所だ。
  → 京都ランドを作れ: Open ブログ

 この提案を書いたときには、「何でこんなところに広大な農地があるんだろう」と不思議に思っていたが、昭和になってからできた比較的新しい土地であるせいで、あまり開発されないできたのだろう。

 ともあれ、この場所には、二つの(新規)利用案がある。
  ・ 遊水地
  ・ 京都ランド

 あちらが立てば、こちらが立たず。これを見て、「二律背反だ、自己矛盾だ」と文句を付ける人が出てきそうだが、大丈夫。ここは、困ったときの Openブログ。うまい案がある。
 「巨椋池は、そのまま遊水地にしていい。一方、巨椋池の少し南西に、大部分が農地である(一部は住宅である)場所がある。ここを、京都ランドとして開発すればいい」
 
 最近では、観光客は奈良や金沢など、日本各地に足を延ばすようになってきたので、京都への一極集中も緩和されそうだ。また、京都郊外で買い物を楽しむという新たな需要も出そうだ。京都の中心部での混雑は、だんだん緩和されるかもしれない。それだったら、京都ランドは特別に大規模でなくてもいいので、上記の案のように、やや小さめな規模でも足りるだろう。
 


 【 関連項目 】

 遊水地がダムに比べてコスパがいいということについては、これまで何度も説明してきた。そちらを参照。
  → サイト内検索
 
 なお、遊水地はコスパはいいのだが、コスパ以外の理由で、地元民の反対で廃止に追い込まれることある。
  → 遊水池 - Wikipedia
 
 この結果、地元の人々は満足するわけだが、そのあげく、台風のときには下流部の大都市では大いなる被害を受けることになる。
 その事例が、先の台風における千曲川や阿武隈川の氾濫による大被害だ。これらの川に遊水地があれば救われたはずだ……という話は、前に詳しく述べた。
  → 千曲川・阿武隈川の決壊を防ぐには?: Open ブログ
 
posted by 管理人 at 23:23 | Comment(3) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素晴らしいご提案だと思います。私の住む埼玉県川口市も先般の台風の時、無策なら氾濫して酷いことになっていたと思います。綾瀬川に巨大な遊水池、大門上池と下池が作られて余裕で氾濫を防ぎました。川と自然に非常に力を入れた前上田清司知事のおかげです。”科学の勝利!綾瀬川”と題して、来年3月の埼玉県「川の再生交流会」でポスター発表の予定です。
Posted by SM at 2019年12月31日 13:15
 昭和28年(1953年)に,この地で台風による大洪水があって、巨椋池が一時的に復活したことがあったそうだ。当時の記録がある。

  https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/kyotofushimi/fushimi/fushimi08.html
  https://hb3.seikyou.ne.jp/home/miyamoto-s/28saigai/syasinn1.html
Posted by 管理人 at 2020年01月02日 09:18
 【 関連項目 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2020年01月02日 11:27
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