2019年12月27日

◆ LiDAR とステレオカメラ

 (自動運転のための)LiDAR とステレオカメラは、どちらが有望か?

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 業界の主流は、LiDAR だ。LiDAR は計測精度がいいので、現時点では最も有力なセンサーであると見なされ、研究開発車の多くは屋根に LiDAR を搭載している。(頭に付いている煙突みたいなやつ。)









 しかし、LiDAR には決定的な難点がある。コストが馬鹿高いということだ。現状では 1000万円近く。コストダウンする技術もあるが、それでもまだ高い。
  → BMWが選んだイスラエル発の自動運転センサーには、ほかにはない「強み」がある|WIRED.jp

 こうした点から、テスラ車のイーロン・マスクは「 LiDAR は使わない。カメラだけにする」という方針を出した。
 それはそれで卓見なのだが、代案として出したのが、単眼カメラだ。しかし、単眼カメラは精度が低いという難点がある。
 これを解決するために、3眼カメラ(近距離・中距離・遠距離)という方式を出したのが日産スカイラインだ。しかし、この方式だと、遠距離については画角が狭くなるので、視野が狭いという問題が新たに生じる。あまり良い案ではない。「あちらが立てば、こちらがが立たず」というありさまだ。

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 一方、私が思うのは、次の難点だ。
 「 LiDAR は、アクティブな反射方式なので、対象物体が黒色だったり、低反射率の非金属(人体や衣服)だと、検出漏れが生じる」
 
 この問題については、「 LiDAR の検出感度を高めることで解決する」という案もある。下記記事では、反射率 10%の黒色物体でも検出できるという。
 イノヴィズのLiDARは黒ずくめの服装の人など、光の10パーセントしか反射しないものを200mの距離から見つけられる。キーラフによるとこの性能は、センサーに戻ってくる光線を測定する検知システムを改善して実現した。
( → BMWが選んだイスラエル発の自動運転センサーには、ほかにはない「強み」がある|WIRED.jp

 しかしながら、この方式は「ステルス」という問題への解決とならない。つまり、電磁波を乱反射するのでなく、特定方向に反射する物体だと、LiDAR の発した電波は、元の方向には戻らず、別の方向に反射してしまうので、検出できないのだ。黒色の塗料の自動車だと、検出することはきわめて困難となるだろう。(黒色レザーの衣料品も同様。)

 これへの解決策として、次のような奇抜な提案がなされた。
  → 衝撃! LiDARは黒く暗い塗装の車両を検知しにくいという事実。だがアクサルタのLiDAR反射塗料がそれを解決する!?

 黒色の塗料に LiDAR を反射するような物質を入れる……という案だ。これはこれで一案だが、これを使った自動車が安全になるだけで、これを使わない自動車はあ安全にならない。根本的な解決にはならない。

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 以上のような問題をすべて解決するのが、ステレオカメラだ。
 コストが高いという問題もないし、黒色の物体を検出できないという問題もない。(背景が真っ黒でなければ、背景のなかに浮かぶ黒色の物体として位置を検出できる。物体そのものは光を反射しなくてもいい。)
 ただし、一つだけ問題があった。それは、「検出精度がやや低い」ということだ。LiDAR の分解能はとても高いのだが、ステレオカメラは画像センサーの分解能が低めなので、ある程度以上の精度を出せなかった。非常に遠くの方まで高精度に検出できる LiDAR には及ばなかった。

 ところが、である。最新技術では、億画素センサーが安価に生産できるようになった。
  → 億画素カメラ(センサー): Open ブログ

 この技術を使えば、ステレオカメラでも十分な精度で検出ができるようになる。近い将来には、10億画素ぐらいにもなるだろうから、検出精度の問題はまったくなくなるだろう。

 また、高速道路上の遠距離の検出ならば、遠距離用の望遠カメラを付けて3眼方式にしてもいいし、あるいは、ミリ波レーダーを併用してもいい。
 こういうふうにすれば、LiDAR を使わずとも、十分な高精度を確保できる。しかも、「高価格」「黒色を検出できない」という LiDAR の問題を回避できる。

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 結論。

 自動運転車の検出装置は、LiDAR が現時点では主流である。また、テスラは単眼カメラ方式を使っている。しかし、私としては、ステレオカメラ方式が最有力である、と考える。

  ※ 私見です。



 【 関連サイト 】

 ステレオカメラの優位性

  ※ 同じテーマでの解説記事(PDF、長文)

 超小型EVの“目”はカメラかLiDARか、民生品と車載品が対決 | 日経

  ※ 同じテーマでの解説記事(一部のみ)

 ステレオカメラ|他方式との比較|ミナト・アドバンスト・テクノロジーズ

  ※ ステレオカメラの製造会社による、技術比較。

 ステレオカメラでLiDARに匹敵する検出精度を実現――自動運転車の低コスト化も

  ※ ステレオカメラの技術の開発。

 LiDARの計測欠落の補完

  ※ LiDAR で見えなければ、見えないものとして検知しよう、という方式。
    (単眼カメラ方式にすればいいのに、と私は思うが。)



 【 参考情報 】

 ステレオカメラや単眼カメラの技術情報。

  http://www.catnet.ne.jp/triceps/pub/sample/ws251.pdf
  https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1226547.html
  https://lab.fujiele.co.jp/articles/7051/
  https://www.denso-ten.com/jp/gihou/jp_pdf/62/62-7.pdf
  https://itdlab.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/05/document20180511.pdf
  https://www.zmp.co.jp/knowledge/adas_dev/adas_sensor/adas_camera/adas_stereo
  


posted by 管理人 at 19:00| 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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