2019年12月25日

◆ 日産の EV は失敗

 日産が EV の充電について、定額充電の格安プランを廃止した。日産の EV は根本的に失敗したようだ。

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 日産が EV(電気自動車)の充電について、定額充電の格安プランを廃止した。これまでは月額 2000円で充電のし放題だったが、今後はものすごく高額に変更される。これまでは超格安の電気を使えたが、今後はガソリン車並み( or それ以上)の高額の支払いを要求される。詳細は下記。
  → 【速報】日産リーフ『旅ホーダイ』終了
  → 日産がユーザーの反発承知でEVの「充電定額制」を突如廃止した理由

 こんなに高額になるのでは、もはや EV を使う理由はなくなった、と言えるだろう。もともと車両本体価格も高いし、充電時間は長いし、航続距離は短い。何もいいところはないのだが、ただ一つ、電気代だけは格安だった。ところが、そのたった一つの美点が消えてしまう。こうなると、もう、EV を使う理由はなくなった、と言えるだろう。
 世間では「これからは EV の時代だ」と言われているが、日産の方針を見る限りでは、その逆で、「 EV の時代はまだ来ない」( or EV の時代はもう終わった)と言えそうだ。

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 では、どうしてか? その理由は、上の二番目のリンクのページに説明してある。要するに、もともとコストが高いのだ。これまでは馬鹿高いコストがかかるのを、赤字覚悟で安値提供していた。それをやめて、今後は赤字を出さないように料金設定をしたら、馬鹿高い値段になってしまった……ということだ。
 では、急速充電の料金はどのくらいが適切なのだろうか。まず、今日浸透している30分550円といった水準では、急速充電器は全拠点赤字にならざるを得ない。
 設備投資に見合う利益を上げるためには1台1000円でも採算は厳しいところで、さらに高額の料金を取れるようにならなければ、充電スポットへの投資など進むわけがない。
( → 日産がユーザーの反発承知でEVの「充電定額制」を突如廃止した理由

 では、解決策はないのか? ある。充電時間を縮めて、短時間での急速充電を実現することで、ユーザーの回転率を高めることだ。
 メリットを出すためにはどうすればいいのか。これはもう、できるだけ短い時間でできるだけ多くの充電を可能にするための技術革新を、インフラとクルマの両方で追求していくしかないであろう。
 例えば200キロ走行ぶんのエネルギーを3分で入れられるようになれば、1時間あたり10台ないしそれ以上を軽くさばけるようになるだろう。
 充電される電気料金以外の基本料金、保守点検料、設備投資費を割り勘する台数を増やすことが、唯一にして絶対の特効薬。

 では、急速充電の設備を広く展開すればいいか? そうも行かない。
 そもそも、大半の充電所は、小規模で低電圧の充電器しか付いていないので、ものすごく時間がかかる。急速充電のできる充電所も、かなり多くあるが、それも 44kW しかないので、急速充電といってもたかが知れている。(これを利用する限りは、ガソリン車よりもコスト高になる。)
 最新型の急速充電器だと、90kW の急速充電ができるが、それに対応している EV は、日産の リーフe+ だけだ。他の車種は対応していない。
 これはあくまで最新のリーフe+のケース。古いモデルは最新の 90kW充電器を使ってもクルマのほうが充電速度を制限してしまうし、電池自体の充電受け入れ能力も低いため、ペースはもっと遅い。

 ならばリーフe+ を使えばいいかというと、そうも行かない。各地に配備されているのは、44kW型の急速充電器だけだ。最新の 90kW充電器を使いたくても、それは現時点ではほとんど配備されていないのだ。

 結局、EV 本体も、急速充電器も、そのどちらも 90kW には対応していないことが多いので、片方だけがうまく対応したところで、どうにもならないのだ。これはもう、根本的に方針を誤ったというしかない。
 かくて「日産の EV 路線は根本的に失敗した」と言えるだろう。

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 では、EV には未来はないのか? いや、ある。それは、テスラの取っている道だ。
  ・ テスラの EV は 120kW に対応する。
  ・ テスラの充電所は、120kW で、小型版でも 72kW ある。
  ・ それらの急速充電所が多数配備されつつある。
  ・ 充電速度は、12分以内で50%の充電完了。


  → スーパーチャージャー | テスラ ジャパン
  → 東京ベイにテスラ「スーパーチャージャー」オープンで浮き彫りになる日本国内急速充電の切ない現状
  → テスラ モデル3をスーパーチャージャーV3に繋いでみたら、12分以内で50%の充電完了!グ

 これは、車両本体も、充電所も、どちらも最初から正しい方向を採っていたことになる。これならば、「 EV には明るい未来がある」と言えるだろう。
 また、配備拠点も十分にたくさんある。

 一方、対比すると、テスラ以外はこんな感じだ。
 日本国内に設置されている公共の急速充電施設に目を転じてみると、テスラの専用充電設備に比べて「なんでそうなるの?」という点が目に付きます。
 まず、出力とスポット当たりの設置台数です。CHAdeMOの急速充電器は最大出力が50kW。最近、新電元の90kW器が登場していますが、設置されているのはまだ全国で10数カ所程度だけ。
 さらに、利用頻度の高い首都圏の主要高速道路SAですら、CHAdeMOの急速充電器が複数台設置されているのは、東名の海老名、足柄、中央の談合坂などの2台がやっと。1台だけのSAPAはもちろんのこと、2台設置のSAでも休日の午後などには充電待ちが発生するのは当たり前といった状況になってきています。
 テスラが単独で整備しているスーパーチャージャーは4〜8台の複数台設置をしているのに、より利用ニーズが高いはずの主要高速道路SAPAで1台、せいぜい2台しか急速充電器が設置されないのは、今後の電気自動車普及を考えると「まったく足りない」としか言いようがありません。
( → 東京ベイにテスラ「スーパーチャージャー」オープンで浮き彫りになる日本国内急速充電の切ない現状 | EVsmartブログ

 日産や CHAdeMO(日本勢)は、低性能のシステムを使っているので、低電圧で長時間で高料金という、悪いところずくめのシステムとなっている。これは、根本的に誤った路線を取っているというしかない。
 テスラは、高性能のシステムを使っているので、高電圧で短時間で低料金という、良いところずくめのシステムとなっている。日産や CHAdeMO がめざすべき未来が、ここではすでに実現しているのだ。一方で、日産や CHAdeMO は、到達すべき未来の計画さえもできていない。「やがてはテスラに追いつける」のではなく、「テスラに追いつこう」という目標すらも持っていないありさまだ。
 これはもう、根本的な問題なので、あとは自滅するしか道は残されていないだろう。
 日産は、現時点では、テスラに続く最大の EV メーカーと言えるかもしれないが、古いシステムを使っているがゆえに、現状のシステムがすべて重荷になってしまっている。この古いシステムを、さっさと捨てるべきなのだが、それもできないようだ。最終的には、倒産するしかないのかもね。



 [ 付記 ]
 ただし、日本勢にも明るい希望がある。それは「全固体電池」だ。既存のリチウム電池を圧倒的に上回る性能を持つ。しかも、実用化にかなり近づいているそうだ。(基本技術はできていて、あとは量産化のための小さな障害を越えるだけ……というような状態らしい。といっても、そこが大変なのだが。)
 詳しい話は、NHK のサイエンスゼロで開発者本人が解説していた。放送内容は下記。
  → 夢の全固体電池|サイエンスZERO
  → 【反響要約】サイエンスZERO「次世代のリチウムイオン電池?
  → 夢の全個体電池(NHKサイエンスZERO)



 [ 余談 ]
 話は変わるが、EV でなく自動ブレーキの話。
 テスラの充電池の方針はいいのだが、テスラの自動ブレーキにはちょっと問題がある。「距離を測るのは(単眼カメラと)ミリ波レーダーだけ」という立場だから、対人の検出は不十分となる。対車両はミリ波レーダーでできるし、近距離は単眼カメラでできるが、対人で遠距離だと検出が不十分となる。
 ま、高速道路上を歩行者が歩いている可能性は低いが、それでも、ステレオカメラには性能的には及ばないはずだ。

 私としては、ステレオカメラを推奨しているのだが、コスト的に不利であることがネックであるらしく、採用している自動車会社が少ないのが残念だ。(スバルと日立は、頑張ってほしいところだ。)

posted by 管理人 at 23:59| Comment(9) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スバルと日立はもうアイサイトの開発をしてませんよ。
スバルも新型アイサイトは海外サプライヤからカメラを買うようです。
Posted by namazu at 2019年12月26日 21:46
 情報ありがとうございました。調べたら、次の通り。

 (1) スバルの首脳部は「コストカット」を最優先として、コストのかかる自社開発をやめて、外部から単眼カメラ方式の調達に切り替える、という方針を示した。
  https://www.carsensor.net/contents/editor/category_849/_63163.html

 (2) 社内の技術者は、首脳部の方針に呆れて、次々と退職した。もははスバルにはアイサイトの担当技術者がろくにいないようだ。
   https://mag-x.jp/2017/12/28/9322/

 (3) 退職した技術者は、独自に新会社を設立して、ステレオカメラ方式の技術を開発しているという。
 このステレオカメラ方式は、単眼カメラ方式に比べると、コストはかかるが、性能が上だ。だから、高価格の LiDAR に替わる性能の機器を、LiDAR よりもずっと低価格で提供できる。今後の自動運転の時代には有望である。
   https://jp.techcrunch.com/2019/02/05/itd-lab-fundrasing/

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 まとめて比較すると、こうだ。
  ・ 単眼カメラ …… 低性能・低コスト
  ・ ステレオカメラ …… 高性能・準低コスト
  ・ LiDAR …… 高性能・超高価格

 多くの会社は「単眼カメラと LiDAR の組み合わせ」という方式を選ぶ。
 上記の新会社はステレオカメラという方式だ。
 別の方式として、「単眼カメラだけで、 LiDARなし」というのもあるが、今のところ、その方式はテスラと日産などだ。テスラ以外は、自動運転の性能が低い。
  → http://openblog.seesaa.net/article/472788168.html

 ──

 私は思うんだけど、トヨタやホンダは、この会社を買収する方がいいね。たいして金をかけずに、これまでの自社開発を大幅に上回る技術を入手できる。現状ではひどいレベルなのに、一挙に日産を追い越すレベルになれるだろう。コスパがすごくいいはずだ。数年後には、投資利益が莫大になりそうだ。


Posted by 管理人 at 2019年12月26日 22:28
 「チャデモ規格を捨てよ」という記事を前に書いたことがある。
  → http://openblog.seesaa.net/article/435850767.html (2014年08月16日)

 この時点ですでに、「チャデモはは駄目だ」と指摘していたわけだ。
Posted by 管理人 at 2019年12月27日 11:55
余談の方の話ですが、ホンダも次のフィットからミリ波レーダー外して単眼カメラのみにするそうですよ。
フュージョンセンサーより性能がいいそうな。
Posted by しかし at 2019年12月27日 13:21
 情報ありがとうございました。これですね。
  https://www.aba-j.or.jp/info/industry/11464/

 コストダウンが狙いだが、夜間や雨天での性能は明らかに劣る。また、遠距離(高速走行時)も劣るはず。
 広角カメラにするというが、広角には対応しても、他の面では負けそうだ。日産みたいに三眼カメラにするならともかく。
 やっぱり、高速での性能をチェックしない国の制度が影響しているね。
 私の予想では、たぶん、欧州で売る分には、ミリ波レーダーを搭載するだろう。高速走行時の安全性が大事なので。

 ──

 別途調べたところ、このカメラは、モービルアイ製の三眼カメラである可能性が高い。
  → https://news.biglobe.ne.jp/economy/0130/jbp_190130_1050451297.html

 そうなると、事情が変わる。詳細情報待ち。
Posted by 管理人 at 2019年12月27日 17:05
単眼カメラとわざわざ書いてあるし、東京モーターショーの展示車両みてもカメラ1個なんで単眼カメラだとは思います。
流石にミリ波レーダー既に使ってるホンダが同等性能以上でると言ってるので高速含め性能確認はしてると思いますけどね。
Posted by しかし at 2019年12月27日 19:45
 単眼カメラというのは、カメラの個数を言っているのではなく、測距方式のことです。対比はステレオカメラ。
 日産のは、単眼カメラが三つある、三眼の単眼カメラ。
 フィットもその可能性が高い。けれど、詳細は不明。
Posted by 管理人 at 2019年12月27日 21:02
すでに公開されている実車画像を見る限り、フィットのカメラは普通の単眼カメラですね。
前モデルと比べて広角みたいですが。
Posted by namazu at 2019年12月29日 00:08
やはり、広角化した通常の単眼カメラです。
ヴァレオは3眼カメラを作ってないはずですし。
https://www.aba-j.or.jp/info/industry/11464/

日産スカイラインの3眼カメラはZF製です。
Posted by namazu at 2019年12月29日 09:12
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