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朝日新聞みたいな書生っぽい人は、何か理想論を唱えるときに、コストというものをまったく考えないで理想論を唱える。そこで実現しようとすると、莫大な金がかかるのだが、そういうことにはまったく頭が働いていないので、その理想論はとうてい実現性がない。(例:移民導入)
あるいは、実現性はあるのだが、莫大な金がかかる金食い虫となる。結果は、小さな効果のために莫大な金を浪費するという無駄遣いとなる。(例:太陽光発電)
それでも、大金を費やしているので、「おれは善行をしている」というつもりになる。ただの自己満足であることに気づかないまま。(例:菅直人の新提案)
※ 以上はいずれも愚行の例。
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一方、それとは対極的な例がある。コストを十分に考えているので、小さなコストで大きな効果を得る。同じ金を使うのであれば、非常に大きな効果を得る。その事例が、朝日新聞で報道された。
トヨタ自動車系の部品大手・デンソーが、アジアの障がい者支援を続けている。……タイなど3カ国の子どもたちを、車いすの寄贈や奨学金で支えてきた。
タイでは現地団体が運営する車いす工場を設立から支援。デンソーのタイ法人の技術者が通って生産を指導し、できた車いすを買い上げて足が不自由な子どもたちに寄贈した。
車いすの寄贈台数は19年度までの累計で5882台、奨学金の提供人数はのべ2538人になる。
( → アジアの障がい者に車いす20年 デンソーNPOが寄贈:朝日新聞 )
20年で 5882台。素晴らしい数だ。「 24時間テレビ」というキャンペーンがあるが、あれは日本中でやっているのだが、たいした額にはならない。一方、デンソーはたったの1社だけで 6000台近くの量だ。すばらしい量だ。
では、どうしてこういうすばらしいことができ来たのか? コストダウンに成功したからだ。
・ 日本で生産するのではなく、現地で生産した。
・ 現地で生産するために技術供与・資本提供した。
こういう取り組みがあったからだ。
「魚を与えるよりも釣り竿を与えよ」
という教訓があるが、それに似ている。日本で生産した高額の車椅子を贈るのではなく、現地で生産して、現地の雇用を高めながら、低コストの製品を与えた。
※ 生産する工場をデンソーが作って、そこで技術供与して、生産させて、生産したものをデンソーが購入して、身障者に無償で寄贈する……という形らしい。
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なお、こういうことができるのは、デンソーには車椅子を作るだけの技術力がもともとあるからだ。(自動車部品を作れるので、車椅子ぐらいは簡単に作れる。)
ならば、他の会社も、似たようなことができるはずだ。自分の会社の特性を生かす形で、自社の技術力で世界に貢献することができるはずだ。そういうことが望ましい。
[ 付記 ]
デンソーの車椅子の場合、コスト面ではちょっと安くなるぐらいだが、効果がとても大きい。
・ 技術移転
・ 産業推進
・ 雇用促進
・ 教育向上(子供の身障者に贈るから)
・ 税収増
など、多重の効果がある。一石五鳥みたいな効果だ。この意味で、コスパがとてもいいと言える。
[ 余談 ]
ちなみに、日本の企業が世界に貢献する件については、先日、世界的に有名な賞が贈られた。「化石賞」というやつ。自国のエゴで、自分の利益(発電コストの低さ)を優先して、地球環境を悪化させる(温暖化を推進する)ということで、先進国のなかでは例を見ない「温暖化推進政策」と見なされて、見事に受賞した。
プラスの貢献はひどいものだが、マイナスの貢献だけは抜群であり、断然トップを走って、受賞できるようだ。いかにも安倍政権だね。小泉進次郎・環境相も鼻高々だろう。「石炭発電を推進する日本は、マッチョだから、セクシーだろ」とか言って。