リンゴを剥くための果物用ナイフを車内に備えておいたら、職質を受けて逮捕された、という事例がある。
──
その事例は、朝日新聞の投書欄(声欄)2019-12-15 に記してある。(ネットにはない。)
(名前からするとアフリカ人らしい)外国人の例だが、外国人であることで疑われたらしく、職質を受けた。すると、リンゴを剥くための果物用ナイフを車内に備えておいたのが見つかって、逮捕された。刑罰として、罰金 10万円。これでれっきとした犯罪者だ。
※ 刃渡り6cm 以下は軽犯罪法違反。6cm 超は銃刀法違反。
どっちにしろ、法律違反となる。
──
しかし、これだと、普通の人がキャンプ用に刃物を持つだけで逮捕されるのでは? キャンプ場にいる人たちはみんな犯罪者として逮捕されるのでは? ……と思って調べてみたら、そういうことはないようだ。
キャンプ用品を持っている場合には、キャンプ用であることが明らかなので、「正当な理由」があると見なされ、逮捕されないそうだ。
→ キャンプにナイフを持って行ったら銃刀法違反? 刃渡り何センチなら逮捕される?
とはいえ、キャンプの人はいいとしても、普通の人が家族ドライブをする場合には、「リンゴ用の果物ナイフを持っていた」という理由で逮捕される。冒頭に示した通り。
関連記事は下記にある。
→ 銃刀法違反の容疑で捕まりました - 知恵袋(★)
→ 本の虫: 警察官に職務質問をされた話
→ 十徳ナイフの所持は軽犯罪法・銃刀法違反で前科一犯?
さらには、マイナスドライバーを持っていただけで逮捕される、という例もあるそうだ。
→ マイナスドライバーを1本持っていただけで現行犯逮捕 そのワケとは?
→ 「マイナスドライバー」の所持で自衛官逮捕…プラスならOK、何がダメなの? - 弁護士ドットコム
──
いろいろ見ると、どうも、この「ナイフの所持で逮捕」というのは、法律が過剰に厳しすぎるようだ。あるいは、言葉が曖昧であるせいで、普通の日常用途が「正当な目的のある所持」と見なされなくなってしまっている。
どうしてこういうことになってしまったかというと、警察が犯人の検挙率を高めようとして、数字のアップを狙っているせいらしい。[ 上記の (★) という記事による。]
しかも、特に外国人が狙われるようだ。それも、白人以外の外国人が。……これは一種の人種差別だね。ひどいものだ。
何とか是正するべきだが、外国人だと、選挙権を有していないことが多いので、うまく解決できにくいようだ。
このままだと、東京五輪のときに、大勢の観光客が逮捕されて、日本は世界で非民主的な警察国家みたいに扱われかねない。リアル 1984 みたいな感じで。
困ったことだ。
( ※ 逆に言えば、東京五輪のときには、「日本では容易に逮捕されますよ。特に黒人は」と大々的に告知するとよさそうだ。 twitter で話題にするのでもいい。……そのことで、法律改正が進むかも。)
[ 付記1 ]
うまく言い逃れができるよ、という見解がある。
→ 職務質問30回以上受けてるのでスルーのコツを教える
自分から進んで鞄の中身を見せれば、安心されるので、すぐに解放される……とのことだ。
しかし、そこで果物ナイフやマイナスドライバーが見つかったら、即、逮捕だぞ。考えが甘すぎるね。
ただの BONナイフや安全剃刀だって、軽犯罪法違反と見なされかねない。
あと、買い物帰りであっても、領収証がないと、買い物帰りだと証明できないせいで、逮捕されるだろう。領収証の有無で、犯罪者となるか否かが決まるわけだ。なければ、警察に連行されて、指紋を取られて、最後は罰金 10万円。
[ 付記2 ]
警察の方針がおかしいことは、これが「犯罪阻止」を狙いとしていないことからわかる。
冒頭の事例で言えばこうだ。
・ 27歳の女性らしい
・ 薄っぺらな果物ナイフである
・ いっしょにリンゴを持っている
・ 車内の普通の置き場所にある
以上の点からして、犯罪目的のはずがない。犯罪目的であれば、こうだからだ。
・ 使う人は男
・ 厚さのある包丁かナイフを使う
・ いっしょに果物を持たない
・ 見つかりにくいところに隠す
結局、警察の目的は、犯罪を阻止することではなく、善良な市民を犯罪者に仕立て上げて、犯人逮捕の実績を上げることだ。
冤罪をあえてめざすのだから、警察自体が違法組織になってしまっている。
警察が逮捕するべきは、警察組織そのものだろう。自分を逮捕しろ。
2019年12月16日
この記事へのコメント
コメントを書く
過去ログ