芸能人の麻薬使用が話題となったが、「麻薬使用をタブーとせずに解禁するべきだ」という説が成立する。
──
「麻薬使用なんか絶対に駄目だ」と思う人が多いだろう。だが、論理で考える限りは、「麻薬を解禁しても構わない」という理屈も十分に成立する。
・ 麻薬は使う本人に害があるだけだ。
(他人には害を及ぼさない。)
・ 麻薬の影響での犯罪は、麻薬そのものの直接的な結果ではない。
(間接的に悪影響があるだけだ。無視してもいい。)
・ 麻薬に高額課税すれば、国や自治体の税収が増える。
(売人のかわりに、国や自治体が儲かる。)
これはまあ、「国が麻薬の売人になる」というのと同様のことだ。そして、私人が麻薬の売人になるのは許されないが、国が麻薬の売人になるのは許される。だから、国が麻薬の売人みたいになればいい。そうすれば、国がガッポリ儲けることができて、ウハウハだ。国にとってはこれほどありがたいことはないだろう。(自治体も同様だ。)
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以上の話を聞くと、こう思う人が多いだろう。
「何を馬鹿なことを言っているんだ。頭が狂ったのか? 国が麻薬の売人みたいになるなんて、許されるはずがないだろう。誰が儲かるかが問題なんじゃない。麻薬の被害者が発生するということが問題なんだ。本人も被害を受けるし、家族も被害を受けるし、麻薬がらみの犯罪で社会に暗黒犯罪が増える。強盗や殺人も増える。そんなのを許せるはずがない」
それは、ごもっとも。しかし、そこまでは想定の範囲だ。
私が本当に言いたいことは、別にある。こうだ。
「以上の論点のすべては、カジノにも当てはまる」
具体的にはこうだ。
・ カジノは、やる本人に害があるだけだ。
(他人には害を及ぼさない。)
・ カジノの影響での犯罪は、カジノそのものの直接的な結果ではない。
(間接的に悪影響があるだけだ。無視してもいい。)
・ カジノに高額課税すれば、国や自治体の税収が増える。
(賭場のかわりに、国や自治体が儲かる。)
ほら。麻薬とカジノは、そっくりだ。そして、麻薬を批判する理屈は、そっくりそのままカジノにも当てはまる。
「何を馬鹿なことを言っているんだ。頭が狂ったのか? 国が博打で儲けるなんて、許されるはずがないだろう。誰が儲かるかが問題なんじゃない。博打の被害者が発生するということが問題なんだ。本人も被害を受けるし、家族も被害を受けるし、博打がらみの犯罪で社会に暗黒犯罪が増える。強盗や殺人も増える。そんなのを許せるはずがない」
ほら。麻薬とカジノは、そっくりだ。こうして、麻薬を批判する理屈は、そっくりそのままカジノにも当てはまるわけだ。
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にもかかわらず、自民党政府や、横浜市長や、大阪府知事などは、カジノの誘致に熱心だ。これはつまり、麻薬をはびこらせようとするのと同様のことだ、ということになる。
「何を馬鹿なことを言っているんだ。頭が狂ったのか?」
と言いたくなるね。
[ 付記1 ]
本項は、比喩と対比で、共通点を見ることで、物事の本質を探る……という話だ。
なお、本項のテーマは、麻薬ではなく、カジノである。
タイトルの「麻薬」は、テーマではなく、「話のつかみ」である。
[ 付記2 ]
「競馬や競輪や競艇はどうなんだ」
という反論も出るだろう。だが、競馬や競輪や競艇は、毎日ずっとやっているわけじゃない。開催日は限定されている。
カジノも同様だ。カジノを週にいっぺんぐらい開催するのならば、許容される。しかし、毎日、のべつ幕なしにやっているのなら、許容されない。現実には、「毎日、のべつ幕なしにやる」のでなければ、カジノは採算が取れない。ゆえに、通常のカジノは許されない。
( ※ 週一ならば許される。カジノを許可するなら、週一を義務づけるべきだ。)
2019年12月10日
この記事へのコメント
すでにパチンコがこれだけ蔓延っているからね。何とも思っていないのでしょう。
Posted by とーりすがり at 2019年12月11日 09:45
わざわざ新たにカジノの大きい施設を作らなくても、現在あるパチンコ(最近のマシンはエンタメ演出が強いらしい)をクールジャパンと銘打ってそちらに海外観光客を誘導すればそのものへの課税だけでなく地域の振興にもなっていいんじゃね、と思います
Posted by アラ環オヤジ at 2019年12月11日 10:32
たまにしかやらなくても問題はある。
Posted by 名無し at 2019年12月11日 12:23
大麻の問題は働かない人が増えることでは?
Posted by かーくん at 2019年12月13日 08:38
麻薬とカジノが同じだというのは言い得て妙です。面白い比喩を楽しみました。実際カジノは麻薬のように作用するのでしょう。資金洗浄のようなビジネスでもない限り。
Posted by SM at 2019年12月14日 21:13
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