2019年11月30日

◆ 種淘汰は間違いか? 

 「種淘汰」という概念は、進化論として間違っているだろうか?

 ──

 「種淘汰」という概念は、進化論として間違っている……という説がある。

 それを主張するのは、ダーウィニズムの人々だ。彼らの主張によれば、進化とはこうだ。
  ・ 1塩基変異によって小進化が起こる。
  ・ 小進化が蓄積して大進化が起こる。

 しかしこの説は、前項で否定された。だから、
 「ダーウィニズムが正しいから、種淘汰は間違っている」
 という主張は、論理的に成立しないわけだ。なぜなら、ダーウィニズムそのものが間違っているからだ。

 ──

 とはいえ、ダーウィニズムが間違っているからといって、「種淘汰という概念が正しい」ということにはならない。こちらの検証は、また別の観点からなされる必要がある。
 そこで新たに考え直すと、私は次のように結論する。
 「種淘汰は、進化(種の誕生)を説明することはできないが、種の絶滅を説明することはできる」


 実際、「種の絶滅」という点で考えると、「種淘汰」という概念は有益なのである。

 ──

 そもそも、進化と絶滅とは、別のことである。
 ダーウィニズムだと、進化と絶滅は区別しがたい。旧種の絶滅と新種の誕生は、ほぼ一体化されているからだ。
 「旧種と新種がともに併存しているときに、旧種がどんどん減っていって、新種がどんどん増えていく。こうして旧種から新種へと交替する」
 というふうに。

 しかし現実に起こるのは、そうではない。旧種のなかに、あるとき突発的に新種が誕生する。その後、両者は併存するが、あるとき急激に旧種が減少して、ついには絶滅する。
 たとえば、ネアンデルタール人がいたなかに、あるとき突発的にホモ・サピエンスが誕生する。両者はしばらく併存していたが、あると急激にネアンデルタール人が減少して、ついには絶滅した。

 ここで、ホモ・サピエンスの誕生には、進化の理論が必要だ。
 一方、ネアンデルタール人の絶滅には、進化の理論は必要ない。ネアンデルタール人は遺伝子変異によって絶滅したわけではないからだ。ここに必要なのは、絶滅の理論だ。それは「種淘汰」という概念を使うと説明しやすい。
 ※ 具体的には下記。
   → サイト内検索

 ──

 これ以外に、種の絶滅には、「種淘汰」という概念が有益であることが多い。

 たとえば、サンゴ礁が減少していく。これは、地球環境の変化に対する、種レベルの不利さが理由だ。これを、個体レベルの「生存競争で不利だから」という説では説明できないのだ。個体レベルであれば、同じ種内で有利なものと不利なものが生じるだけであり、種レベルで減ることを説明できない。
 種の絶滅については、種レベルの議論が必要だ。すると、特定の種が有利で、特定の種が不利だということはある。
 たとえば、高温への耐性が強い種のサンゴが生き延びて、高温への耐性が弱い種のサンゴが絶滅する。
 同様に、蜂の仲間では、スズメバチへの抵抗力が強い種が生き延びて、スズメバチへの抵抗力が弱い種が絶滅する。ここでも、種レベルで絶滅が決まる。個体レベルで決まるのではない。
 とにかく、種の絶滅は、種単位で起こる。個体のレベルで不利だから個体が減るのではない。種のレベルで不利だから種が個体数を減らして絶滅していく。

 ──

 以上でわかることは、「進化も絶滅も同じ原理で説明するダーウィニズムは正しくない」ということだ。
 たいていの進化論者は、こう考えている。
 「ダーウィニズムは全能である。進化も絶滅も、ともにダーウィニズムで説明できる」
 しかし、そんなことはないのだ。ダーウィニズムは、科学的に証明された「正しい理論」ではなく、いまだに実証されていない「仮説」であるにすぎない。しかも、きわめて疑わしい「仮説」である。そのことを理解するべきだ。



 【 関連項目 】

 本項の話と似た話を、前に述べたことがある。
  → 種の絶滅は不適者絶滅(適者生存)?: Open ブログ

posted by 管理人 at 23:45 | Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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