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牛に縞模様を描いたら、牛に虫が付かなくなった……ということが実証されたそうだ。
→ ウシにシマウマのシマ模様を描くと「吸血ハエの数が半分になる」と判明 - GIGAZINE
まったく虫が付かなくなったわけではなく、半減しただけだが、それでも十分な効果があったことになる。
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さて。このことは、「シマウマはなぜ縞があるのか?」という話題と関連する。
→ シマウマはなぜ縞がある?: Open ブログ
「シマウマに縞があるのは、虫が付かなくなるようにするためだ」
という仮説だ。
では、今回の実験結果は、上記の仮説を支持するか?
一見、「支持する」というように見える。まさしく「縞があることが有利だ」ということが証明されたからだ。
しかし、その仮説が成立するとしたら、牛もまた縞模様を持っていていいはずだ。牛は「シマウマ」ならぬ「シマウシ」になっていたはずだ。……しかし、現実にはそうなっていない。
では、正しくは? こうだ。
「シマウマに縞があると、虫が付かなくなるという効果があるが、それは、種の生存を作用するような、特別に大きな問題ではない。多少の有利・不利はあるだろうが、生存率に大きく関与するほどではない」
そのことが、今回の実験で証明されたと言えるだろう。
つまり、「シマウマに縞があるのは、虫が付かなくなるようにするためだ」という仮説は、今回の実験によって「不成立」というふうに推定されるわけだ。(「効果はたいしたことがない」と判明したから。なぜ効果がたいしたことがないかと言えば、牛は縞がなくても十分に生きられるから。)
[ 付記 ]
縞があると虫が付かないというのは、どうしてだろうか? 何らかの理由があるはずだが、その理由は何か?
私の推定(想像)では、こうだ。
縞があると、虫は対象を認知しにくいのだ。というか、対象との距離感をつかみにくいのだ。
虫の視覚は、立体視をしない。単眼のかわりに複眼があって、自分が位置を変えるときに対象の角度が変化するのを感知することで、距離を知る。(単眼カメラと同様の原理だ。)
ここで、複眼だと、蜂の巣状に分散した小さなレンズ部分で外界を見る。通常ならば、複眼の各部分で検知される量は、自分が位置を変えるにつれて、なだらかに漸進的に変化するはずだ。ところが、対象が縞模様を持つと、複眼の各部分で検知される量が、高まったり下がったり、波状に急激に変化する。これは、通常の場合とは違う。そのせいで、情報の処理量が増えすぎて、虫の貧弱な神経回路ではうまく処理できなくなってしまうのだ。かくて、距離感をうまくつかめなくなる。どこに到達するべきか、わからなくなって、混乱する。
こういうわけで、虫は、縞ものようなる物体には、近づかないし、付くこともないのだろう。
【 関連項目 】
「シマウマにはなぜ縞があるのか?」という肝心の話題については、先の項目で説明済みである。
→ シマウマはなぜ縞がある?: Open ブログ
簡単に言えば、こうだ。
「シマウマが1匹だけでいれば、すごく目立つので、生存に不利である。しかしシマウマが集団でいれば、特定の1匹を認知しにくいので、特定の1匹をつかまえにくくなる。ライオンは、目くらましを食らったような感じになり、集団状態のシマウマをつかまえにくくなる」