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この件については、私は前に次のように論じた。
英語民間試験の狙いは、「聞く・話す」という能力を高めることだ。しかし、そのためには、英語教育において「聞く・話す」という能力を高めるような教育をなす必要がある。
ところが、政府は、英語力を高めるために、教育で高めるのではなく、試験で高めようとしている。これでは順序が逆である。
( → 英語民間試験の混迷: Open ブログ )
なすべきことは、試験ではなく、教育なのである。
ただし、その教育というのが、具体的にはどういうことであるか……という細論については言及しなかった。
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さて。本日の朝日新聞に、英語民間試験の記事が出た。英語教育の専門家の話だ。その趣旨は、私と同様であるが、ここでは具体的な細論についても言及されている。
その根本にあるのは「『読む、聞く、書く、話す』の4技能を測るテストを導入すれば問題はすべて解決する」との「切り札」思考です。
それはシンプルな解決策がどこかにあるはずだという幻想でしかありません。テストを入れれば4技能が伸びることは他国にも事例がなく、何ら実証されていません。
英語力を伸ばす確実な処方箋は、既にわかっています。クラスの規模を小さくする、4技能指導になじみのない教師に研修機会や授業準備の時間を与える、教員養成の段階で指導力を育てる、などです。いずれもお金と時間のかかる政策ですが、問題点を一つひとつ地道に潰していくことこそが、いま求められている姿勢です。
( → (揺れる大学入試)英語民間試験見送り 英語力向上に「切り札」はない 寺沢拓敬さん:朝日新聞 )
なるほど。さすがに専門家だけあって、細かな話もしている。有益であるので、本項で紹介しておいた。