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「JDI は、救いようがないので、倒産させるしかない」
ということなら、これまでに何度も述べてきた。
それとはまったく別の話になるが、
「JDI は、どうしてこういうひどい状況になったのか」
という原因分析が考えられる。
この話は、私が述べたことはなかったが、朝日新聞に良い解説記事があったので、紹介する。
→ (取材考記)企業統治ガイドライン、まとめたが JDI介入、経産省の自己矛盾 笹井継夫:朝日新聞
一部抜粋すると、下記だ。
「経営トップが2年ごとに交代し、会社の方針も変わるので、社員は面従腹背だった」。元社員は社内の雰囲気をこう評する。
JDI は2012年、日立製作所、ソニー、東芝の液晶パネル部門が統合し、「日の丸液晶」メーカーとして生まれた。経済産業省と同省所管の産業革新機構(現 INCJ)が、液晶パネル産業の競争力強化を目的に誕生を後押しした「国策企業」だ。
この間、経産省とINCJはJDIの経営に介入してきた。
経営者に政府(経産省)が介入したのが失敗の理由だ、という趣旨だ。
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そこで、さらに調べると、歴代社長はみな無能だった、ということが確認される。
→ 血税3千億円投入のジャパンディスプレイ、“経営破綻”を招いた歴代経営陣の敵前逃亡 (2019年5月16日)
→ 「日の丸」液晶会社JDI、存亡の危機…今期業績算定困難、サムスンに全然歯立たず
記事の一部には、こうある。
シャープの鴻海グループ入りが決まった時、本間氏はJDIの決算会見で「“日本連合”で闘うべきだと思う」と悔しさを滲ませた。しかし、民間のことは民間でやるのが筋で、シャープの経営陣とメインバンクが鴻海に身売りすると決めたのだから、外野が口を挟む余地はない。経産省は「液晶技術の海外流出阻止」を錦の御旗のように掲げていたが、シャープの技術者は、すでに散り散りになっている。シャープの液晶技術など、とっくの昔に韓国や中国に流出しているのだ。
( → JDIは歴代経営者に成功体験がない:日の丸液晶会社JDI、存亡の危機 )
シャープも JDI も、似た経緯をたどった。
「国内純血の会社」にこだわったあげく、何度もリストラを繰り返して、大量の技術者を放出して、中国や韓国に渡してしまった。資本だけは国内純血を保ったが、肝心の人材をすっかり手放してしまった。そのあげく、大赤字を積み重ねて、最後には倒産しそうだ。
一方で、シャープは途中で方針を変更した。倒産寸前になるまでは、リストラを繰り返したが、鴻海に吸収されたあとは、業績を立て直して、縮小一途から回復しつつある。従業員の雇用も持ち直しつつある。
( ※ ただし完全回復ではない。液晶部門では縮小が続く。JDI と合併して生き残る、という道も[昔ならば]あるにはあったが、それを実行するには、すでに手遅れであった。)
ともあれ、「資本を純血に」という経産省の方針が決定的に駄目だった。そのせいで、技術者を次々と手放したあげく、最終的には会社そのものを解消するしかなさそうだ。ちょうど、超新星が爆発するように。
[ 余談 ]
45億光年向こうの宇宙から来た過去最高エネルギーのガンマ線を観測することに東京大などの国際研究チームが成功した。太陽系が誕生したころに最期の瞬間を迎えた巨大な星が超新星爆発を起こし、ブラックホールになった際の断末魔の叫びが届いたとみられる。
( → 45億光年先から星の遺言 宇宙で最も激しい爆発を観測:朝日新聞 )