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記事を引用しよう。
《 政府、マイナンバーにポイント付与 1人最大5000円 》
政府はマイナンバーカードの保有者に対し、民間事業者のキャッシュレス決済を通じて買い物に使えるポイントを付与する制度を2020年9月をメドに始める。1人当たりの上限を最大5千円分とし、2万円を払えば2万5千円分のポイントを受け取れる案を軸に調整する。消費増税や20年夏の東京五輪・パラリンピック後の個人消費の落ち込みを防ぐねらいだ。
マイナンバーカードを使ってIDを取得した人が対象。既存の「自治体ポイント」は自治体が指定した店舗でしか使えないため、普及率は低迷している。新制度ではポイント事業に参画する民間事業者の決済システムを活用し、地域を限定せず全国のキャッシュレス決済できる店舗で利用できるように仕組みを抜本的に見直す。
マイナンバーカードを保有し、電子マネーやスマートフォン向けの決済サービスなどの制度に参加するキャッシュレス決済のポイントとして使う人が対象になる。年齢や所得による制限はつけない。ポイントの付与は21年3月までとする。
参加する決済事業者を今後募集する。Suica(スイカ)やnanaco(ナナコ)などの電子マネーのほか、楽天ペイやPayPayといったQRコード決済の対応を見込む。現時点で12種類の決済サービスで使えることになりそうだ。
( → 日本経済新聞 )
政府の狙いはこうだ。
・ マイナンバーカードの取得促進
・ キャッシュレスの促進
・ 消費の落ち込みを防ぐ
・ バラマキによる国民受け
一つの政策で四つの効果を得る。「一粒で四度おいしい」とか、「一石四鳥」とか思っているのだろう。「何とすばらしいアイデアか」と自画自賛していそうだ。
しかし、はてなブックマークでは、総スカンの状態だ。
→ はてなブックマーク
「馬鹿にするな」といった口調のものが多い。では、どこが問題か?
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個別に言うなら、こうだ。
・ マイナンバーカードの取得促進
…… カードの取得の手間がものすごく面倒だ、という根本問題を解決するべきだ。
→ http://j.mp/32QLsqP ,http://j.mp/2XkmhMr
・ キャッシュレスの促進
…… クレジットカードはともかく、国産 QR コードや Suica は、日本国内限定のガラパゴス規格なので、外国人に使えない。どうせなら、外国人にも使えるような、世界標準みたいな NFC を推進するべきだ。推進するものを間違えている。
→ キャッシュレスは何がいいか?: Open ブログ
でないと、あまり有効でない。ガラパゴス。
・ 消費の落ち込みを防ぐ
…… だったらもっと公平な減税にしろ。(キャッシュレスではお年寄りが使えず、金をもらえない。不公平。弱者虐待だ。)
・ バラマキによる国民受け
…… 国民の金を何だと思っている。
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最後の点が一番よろしくない。
政府は国の金を「自分たちが勝手に使える金だ」と思い違いしているようだ。とんでもないことだ。その金は、国民から預かった金であり、国民の委託を受けて、有用に使うためのものだ。政府が勝手に散財していいものではない。特に、「キャッシュレスの促進」なんていう、ただの趣味みたいなことのために、勝手に浪費していいはずがない。
世の中には、金がなくて困っている困窮者がたくさんいる。なのに、その人たちには金を回さず、政府の趣味の「キャッシュレス」なんてことのために散財しようというのだから、道楽息子の浪費にもほどがあるというものだ。
「キャッシュレスの促進」などは、まったく不要なのである。放っておけば、日本でも自然にキャッシュレスは進んでいく。それはゆっくりした速度でなされるだろうが、それで十分だ。自然に任せればいい。日本は社会主義経済ではないのだから、国が計画経済なんかを実行する必要はないのだ。特に、計画経済というのはろくな結果をもたらさないということは、日本でもすでに実証済みだ。
・ 地デジ TV の促進をしたら、補助金の期間終了後は生産が激減して、メーカーは大損失。
・ 太陽光発電の促進をしたら、消費者の負担が超高額になった。
そのいずれにおいても、何もしないで放置する(自由放任にする)のが最善だった。そうすれば、無駄なコストがかからなかった。
現実には、地デジ TV や太陽光発電を促進することで、普及の時間を数年間はやめた。しかし、そのために非常に莫大な金が浪費されたのである。あげく、あちこちで保育園不足が起こって、少子化がどんどん進んでしまった。これじゃ、亡国制作と言ってもいいくらいだ。金の使い方を完全に間違えている。(いわば、スマホの機種を最新型にするのに金を使ったら、赤ん坊のミルク代をケチって赤ん坊を死なせてしまった、というようなものだ。)
ともあれ、キャッシュレスの促進というのは、急いでやる必要はなく、時間をかけてゆっくりでいいのだ。当然、そのために莫大な血税を投入する必要などはない。そんな金があったら、国民に一律で還元するべきだろう。国民の金を政府のオモチャにするべきではない。……それが本質だ。
【 関連サイト 】
急いでやる必要はない、ということは、サイゼリヤ が示している。
→ 現金決済にこだわる「サイゼリヤ」、社長が真意を明かす:日経
これを読めば、キャッシュレスをやたらと急ぐ政府が、いかに愚かであるかを、理解できるだろう。
[ 付記 ]
政府の投入予算は 2500億円だ。
→ 東京新聞:マイナンバーカードで来年9月から25%還元 政府、2500億円予算化へ調整:経済(TOKYO Web)
1人 5000円で 1億人なら、5000億円になるはずなのに、予算は 2500億円だ。これはつまり、「残りの半分は金をもらえない」ということを意味する。実に不公平だ。
特に、「キャッシュレスの店なんて、そばにコンビニ以外にはないよ」という田舎の僻地の高齢者は、完全に置き去りにされる。かわいそうに。無慈悲というしかない。
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ついでだが、この政策のためにかかる事務的経費は、数百億円になりそうだ。2500億円をばらまくために、数百億円を無駄にする、という愚。
なお、数字の根拠は下記だ。プレミアム商品券での例。
《 消費税増税対策のプレミアム商品券は経費がかかりすぎる 》
プレミアム付き商品券は経費がかかりすぎていると思います。長久手市では 2億5,000万円分を発行するために、経費が 1億1,130万円もかかります。
( → 長久手市議会議員さとうゆみオフィシャルブログ )
※ プレミアム商品券は、紙なので事務経費がやたらとかかったようだ。キャッシュレスにすれば、電子で済むので、費用はいくらか減りそうだ。しかし、それでもやはり、無駄な費用が多額にかかりそうだ。そもそも、キャッシュレスも1通りでなく、12通りもあるそうだ。