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本日の朝日新聞が論じている。
政府は日米貿易協定で「米国の自動車関税撤廃」が約束されたものだと強調し、次の交渉で撤廃時期などを詰めると説明する。だが、米国側の説明とは食い違いがあり、実は日米とも次の交渉に向けた機運は乏しい。自動車関税が撤廃されるかは不透明で、日本にとって「不平等協定」となる恐れが出てきた。
( → 「不平等協定」に現実味 車関税撤廃、日米とも及び腰:朝日新聞、日米貿易協定、日本著しく不利か 車関税撤廃なしで試算:朝日新聞 )
実は、この件は、本サイトでも前に論じたことがある。そちらに詳しい。
《 日米貿易協定が決着 》
日米貿易協定が決着した。日本側の「完敗」という形。どうしてこうなった?
TPP に比べると、
・ 日本側は TPP と同等の譲歩。さらに輸入枠は追加。
・ 米国側は自動車でまったく譲歩しない。
という形である。つまり、日本側は、「与えるだけ与えて、何も得られない」という形だ。give and take ならぬ give and give だ。両者は win-win ならぬ win-lose の形となり、日本は一方的な敗者となった。馬鹿丸出し、というふうだ。
どうしてこうなった?
この謎は、ゲーム理論の考えを取り入れれば、簡単にわかる。つまり、日本は「ブラフに屈した」のである。
( → Open ブログ )
理由な上記項目で詳しく記したとおり。ただ、結果については、本日の朝日記事に詳しい。
要するに、こうだ。
・ 米国政府は、自動車の関税減を認めなかったので、米国の圧勝と宣伝する。
・ 日本政府は、自動車の関税減で、日本の側が2倍の得だと宣伝する。
・ 現実には、今回で交渉打ち切りなので、米国の宣伝の通り。
・ つまり、安倍首相は、負けたのに「勝ったと大嘘をついている。
まるで大本営発表だ。ミッドウェーでも何でも惨敗して壊滅的打撃を受けているのに、「我が軍の勝利」と発表する。嘘つきにもほどがある。
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もう少し詳細を見よう。
《 関税削減、車撤廃ないと1割 日米貿易協定、日本不利な可能性 》
日米貿易協定で先送りとなった日本から米国への輸出時にかかる自動車関連の関税撤廃が実現しない場合、米国に納める関税の削減額はどうなるのか。朝日新聞と民間シンクタンクが公表資料をもとに独自に試算したところ、260億円前後との結果が出た。政府が説明する全体の削減額の1割ほどに減り、米国からの輸出時の削減額とする約1千億円を大きく下回る。
( → 朝日新聞、日米貿易協定、日本著しく不利か 車関税撤廃なしで試算:朝日新聞 )
今回の協定で米国の得する額は 1030億円。日本の側はたったの 260億円。日本側の大損だ。なのに、日本政府は(ありもしない)自動車の削減額を計上する。砂上の楼閣だね。で、それを根拠に、「2128億円の得だ」と言い張る。とんでもない嘘つきだ。
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まったく、ひどいものだ。
「桜を見る会」の嘘ならば、たいして実害はない。国庫の金がいくらか盗まれて、安倍首相が私腹を肥やした(国費を後援会費に流用した)ことになるが、その額は国家規模では無視できるほどだ。
しかるに、日米貿易協定となると、話のレベルが異なる。自動車の関税減の有無ということで、巨額の差が生じる。
こんな首相は、「売国奴」と言ってもいいくらいだ。
ついでに言えば、北方領土では、「これは(ロシア領であり日本領ではないから)北方領土と呼ぶな」というふうに言い出した。
→ 政府、「北方領土と言わないで」 ロシアとのトラブル懸念 | 共同通信
これを受けて、はてなブックマークでは「売国奴!」という批判の嵐だ。
→ はてなブックマーク
「桜を見る会」で嘘ばかりをついているような首相は、国家の損益に関わる大事でも、やはり嘘をついて、国民をだますのである。
「桜を見る会なんて、些事にすぎないから、そんなことは放置しろ」なんて言う人もいるが、そういうところを放置するから、嘘つき首相をのさばらせて、国家の大事になるのだ。「一事が万事」だ。
嘘つきのせいで大被害が生じてから騒ぐよりは、嘘つきを放逐して大被害を生じさせないようにするべきだろう。嘘つきをのさばらせるようなことは、あってはならないのだ。特に、「首相が国家の金を盗む」というような事件では。
※ その点では、ゴーン事件に似ている。
[ 付記1 ]
「じゃ、どうすればいいの? 困ったときには何とかしてくれ」
という要求が出そうだ。
ま、私一人の力ではどうにもならないが、国民が気持ちを固めれば、対策は取れる。
・ 安倍首相を放逐する。
・ 日米貿易協定は、今のうちに国会承認を拒否する。
ただし現実には、自民と公明が衆院で賛成していて、来週には衆院を通過する見込み。
日米の新たな貿易協定の国会承認を求める議案は、15日衆議院外務委員会で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決されました。承認案は、来週、衆議院本会議でも可決され、参議院に送られる見通しです。
( → 日米 新貿易協定の議案 衆院外務委で可決 自公などの賛成多数 )
[ 付記2 ]
実は、この問題の背景には、自動車業界の要請がある。トランプが「大幅な課徴金を新たに課するぞ」とブラフをかけたら、自動車業界はブルってしまって、「何とかして、新規の課徴金だけは避けてくれ」と頼み込んだ。
そこで日本の経産省は、「課徴金の回避」を最優先にした。で、それが実現したら、「目的を達した」と大喜び。「マイナス 100になると思ったら、マイナス 10 で済んだ。大成功」と。
あまりにも馬鹿げている。自動車業界は、「関税の撤廃」とう目的を、自分自身で放棄してしまったのだ。「相手が攻撃をしたら、目には目を、歯には歯を、で報復できる」という外交の基本原理を理解しないから、ブラフには一方的に屈服したわけだ。
外交音痴の自動車業界が国の政策に口を出すから、自動車業界は得られるすべてを失ってしまった。馬鹿丸出し。
もっと馬鹿なのは、それを追認する自民と公明だ。ほとんど売国奴と言っていい。自動車産業に携わる莫大な国民に、大損失をもたらしている。
[ 付記3 ]
「野党は何をしていたんだ」
との批判も上がりそうだが、別にサボっていたわけではない。記事にはこうある。
野党は、自動車関連を除いた関税削減額を示すよう求めてきたが、政府・与党は「撤廃することになっているので交渉結果に反する」との理由で拒否。
( → 朝日新聞、日米貿易協定、日本著しく不利か 車関税撤廃なしで試算:朝日新聞 )
野党が情報公開を求めたが、政府が拒否した。それでいて、法案の審議を進めて、数にものを言わせて法案を成立させる。
……これはもう、民主主義ではないね。ただの独裁政治だ。国会はもはや存在していないのも同然となっている。中国の独裁政権にもてあそばれる香港と同様だ。
ただ、香港では民衆が中国の独裁政治にたてついているのに、日本ではなぜか国民が安倍自民の独裁政府を支持している。
→ 安倍内閣支持率、4ポイント増の48% 時事世論調査:時事
政治情勢よりも、国民の痴呆ぶりが心配だね。高齢化のせいで、国民も痴呆状態になってしまったようだ。
( ※ なお、政府が情報公開を拒否すると、そのあとは調べにくいので、そこで朝日新聞が独自調査で、政府の隠した数字を推計したわけだ。偉い。……野党がそれをやれるといいのだが、実力的には無理だろう。ここは新聞社や学者のような知性のある人の出番だ。朝日はよくやった。)
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朝日新聞の記者は詐欺師に騙される馬鹿だと言ってみたり、逆に今度みたく知性があると言ってみたり。
安倍首相のことだって、別に嫌いだから批判しているわけじゃない。良いことをすれば、ちゃんと褒めてあげます。
様々な評論家やブロガーが大いに警鐘を鳴らしてますが、一ミリも効果なし。
(黙するより何億倍もマシですが)
日本人の殆どは、現実から目を逸らし、安い快楽を貪って人生誤魔化してるように思えます。
そのうち中国に丸呑みされそうですね。本気で。
というか、何で政治家が売国してるのか分かりません。理解に苦しみます。