2019年11月11日

◆ 国語の記述式試験

 共通試験(センター試験)で、国語に記述式試験が導入される、という点にも批判が出ている。

 ──

 この問題は、「採点にバラツキが生じる。自己採点と一致しない」という難点が指摘されている。
 それも問題だが、もっと根本的な問題も筑駒生によって指摘されている。
 設問条件をガチガチに固めておいて、与えられた文章、資料から必要な情報、キーワードを抜き出せるように誘導して、採点するわけです。これのどこが思考力を問う問題なのでしょうか。文科省は資料を読み取り、読解力を試すと言っていますが、しょせん、ことばの抜き出しにすぎません。このプレテストを見て、ある国語教師は「全文を読まず、斜め読みでも解答できる」と指導しているぐらいです。センター試験の選択問題を記述式にしただけの問題であり、採点はこちらのほうがかえって難しくなります。
( → 筑駒生、大学入学共通テスト中止を訴える 「ぼくたちに入試を受けさせてください」 |AERA dot. (アエラドット)

 記述式試験のポイントである「自分の言葉で書く」という点をなくして、文中からの抜き出しという「他人の言葉で書く」ことを強いる。これでは記述式試験の長所はなく、「採点にバラツキが生じる」という短所ばかりが出ることになる。まったくのナンセンスだ……というわけ。
 ごもっとも。

 こんな試験だったら、
 「それに当てはまる 20字以上 30字以下の文章を文中から抜き出して、その文頭5字と文末5字を抜き出せ」
 という平凡な問題の方が、ずっと有益だろう。(これなら客観性が保たれる。)
 つまり、いちいち記述式にこだわる必要がないのであって、下手に記述式を導入することは、害だけがあって益がない。(百害あって一利なし、とまでは言わないが。そこまでひどくはない。)

 ──

 では、記述式試験を廃止するとして、かわりにどうすればいい? 代案はどうする?
 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
  ・ 記述式試験のかわりに、長文の小論文試験を課する。
  ・ 小論文試験は、各大学の二次試験でのみ行う。
  ・ 採点の手間を軽減するため、採点対象は一部のみとする。


 最後の点がポイントだ。採点対象は一部のみとするとして、どのような一部にするか? こうだ。
 「採点対象は、ボーダーライン付近の受験生のみとする」


 この件は、前に述べたとおりだ。
  → 共通テストに記述式: Open ブログ
 一部抜粋しよう。
 「合否のボーダーラインの受験生についてのみ、小論文を採点する。それ以外の受験生については、すでに合否が決まっているので、小論文を採点しない

 たとえば、こうだ。
 
 ボーダーラインよりも上の1割とボーダーラインよりも下の1割を対象として、(合格者の)2割にあたる受験生を採点する。採点したら、他の得点とあわせて、受験生の総得点とする。
 2割のうち、上位の1割(つまり半分)を合格させ、残りの1割(半分)を不合格とする。


 この場合、採点対象となる人々(合格者の2割にあたる受験生)以外は、小論文の採点を待たずに、合否が決まる。
  ・ 採点対象より上位にいる9割(0.9倍)の人々は、小論文の採点を待たずに、合格とする。(小論文の採点対象外)
  ・ 採点対象より下位にいる人々(倍率が4倍ならば、1.1倍を引いた残りである 2.9倍にあたる数の人々)は、小論文の採点を待たずに、不合格とする。


 ──

 結局、小論文の採点対象は、合格者の2割にあたる数だけだ。倍率が4倍なら、40割のうちの2割だから、受験生全体の5%を採点するだけで済む。(それ以外は採点されないわけだ。)

 ※ もうちょっと範囲を広げてもいい。受験生全体の 10%を採点するようにしてもいい。
 ※ 本項の方式は、合格者全体のうちの 10% が採点されているわけだ。ならば、これでも十分だと言える。



 [ 付記 ]
 合否の結果発表を早めるために、他科目の採点結果を待たずに、あらかじめ見当をつけて、「ボーダーラインに来そうな受験生」の予測をして、早めに採点してもいい。
 どうやって? それには、共通一次の点数だけを見ればいい。共通一次の順位でボーダーラインになる受験生は、最終得点でもボーダーラインになる可能性が高い。たとえば、共通一次の点数で全体の3割に来る受験生は、最終的な得点でも全体の3割に来る可能性が高い。必ずそうなるとは限らないが、そうなる可能性が高い。そこで、あらかじめ見当をつけて、このあたりの集団を先に採点しておけば、合否の結果発表を早めることができる。(無駄な採点をする量も増えるが。)
 
 ともあれ、あれやこれやと工夫することで、二次試験に小論文試験を導入することは可能なのだ。たとえ東大のように1万人規模の受験生が来るとしても、だ。
( ※ 本項の方式なら、受験生が1万人でも、小論文試験の採点対象はその1割に当たる1千人ぐらいで済む。これならば丁寧な採点も可能だ。)



 【 関連項目 】
 別の問題もある。下記項目で述べた。
 → 高校の国語改革の倒錯: Open ブログ
 一部抜粋。
 高校の国語改革が、おかしなことになっている。「論理国語」と「文学国語」に分けてしまうというのだ。

 入試では、論説文だけを使うべきだ。
 ここで、「入試では、論説文だけ」ということから、「それなら国語学習も、論説文だけ」というふうになったのだろう。そう推察できる。

 しかし、これは非論理的な考え方だ。入試においては論説文だけでいいが、教育においては文学作品も扱うべきなのだ。
 比喩的に言えば、陸上競技の試合は、競技形式でいいが、競技のトレーニングは、筋トレなどで基礎体力の向上をめざすトレーニングをする。試合が競技形式だからといって、練習も競技形式にする必要はないのだ。

 ここでは、前項の英語民間試験の問題と同様の問題がある、とわかる。
 英語民間試験では、ろくに教育をしないまま、試験だけを導入することで、会話能力が向上すると思い込んだ。
 論理国語では、ろくに国語教育をしないまま、論説文の試験だけを導入することで、論理国語の能力が向上すると思い込んだ。
 いずれも試験ばかりを過度に重視している。「教育とは何か」ということを忘れて、「試験さえ導入すれば、生徒が自分で努力をするから、生徒の学力が向上する」と思い込む。学校や教師の側では何も教えず、単に「試験さえすれば、子供の学力が上がる」と思い込む。
 これはもはや「教育」というものを放棄したのも同然だ。狂気の沙汰と言ってもいい。あまりにもひどいね。(前項でも述べたが。)

posted by 管理人 at 21:34| Comment(7) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ニュースから。

> 民間事業者は、試験前から問題と正答例が知らされる

> ベネッセの関連会社は、およそ1万人を採点者として活用する予定ですが、そこには学生のアルバイトも含まれていて、試験の公正、公平さが確保できるか、懸念する声が上がっています。

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191112/k10012174481000.html
Posted by 管理人 at 2019年11月13日 07:49
>>「合否のボーダーラインの受験生についてのみ、小論文を採点する。それ以外の受験生については、すでに合否が決まっているので、小論文を採点しない

それなら小論文なんて導入しなくてもいいじゃないですか。「小論文」を実施することが目的になっている。
Posted by 細波 at 2019年11月14日 20:26
 たとえ採点されなくても、「自分はボーダーラインになって小論文を採点されるかもしれない」と思うので、小論文の勉強を続けるようになる。だから、小論文を書く思考力が高まる。

 小論文を書く練習をしていないと、ピンボケな批判をブコメに書き散らす人みたいになる。言語力が弱いから、誤読しまくり。誰のことかは、言わないでおくが。
Posted by 管理人 at 2019年11月14日 23:42
>>合格者の2割にあたる数だけだ。倍率が4倍なら、40割のうちの2割だから、受験生全体の5%を採点するだけで済む。(それ以外は採点されないわけだ。)

ちなみにここでの”X割”はボーダーに対する順位比率としてますか?
Posted by 細波 at 2019年11月16日 10:57
>>たとえ採点されなくても、「自分はボーダーラインになって小論文を採点されるかもしれない」と思うので、小論文の勉強を続けるようになる。だから、小論文を書く思考力が高まる。

多くの学生は小論文に時間を割かないでしょうね。国数理社にみんな集中する。


>>合格者の2割にあたる数だけだ。倍率が4倍なら、40割のうちの2割だから、受験生全体の5%を採点するだけで済む。(それ以外は採点されないわけだ。)

これが小論文以外の科目の点数による順位で計算されているなら制度としてめちゃくちゃなのに気が付きませんか?
Posted by 細波 at 2019年11月16日 11:30
 ボーダーラインの上下1割ずつの得点差が 30点だとして、小論文試験の配点が40点なら、小論文試験で 5点〜35点の人はきちんと採点されるから、何も問題ない。
 小論文試験で 40点の人は 35点として扱われるが、論文ばかりできる人は特に有利にならないだけだ。
 小論文試験で0点の人は、他の試験が5点分は有利だとしても、「ろくに文章を書けない人」と見なされて5点分だけ不利になるが、仕方ない。そんなに極端に文章下手の人は、少しだけ不利になるのも仕方ない。
 どっちみち、5点分ぐらいの損が発生するだけだ。いちいち気にするほどのことはない。
 配点を完全に独立させて、点数を足し算する、という方式である必要はない。
Posted by 管理人 at 2019年11月16日 12:43
 だったら2割にすればいい。3割でもいい。どっちみち、10割よりも少なければ、手間が減る。何割であるかは重要ではない。そんなことは枝葉末節の問題だ。
 揚げ足取りをしても無意味。話の本筋にはまったく影響しない。小手先の議論であるにすぎない。いくらでも対処可能。
 あなたがしきりに穴を探そうとしているだけだ。

 そんなに下らないアラ探しをして、何が楽しいんだか。私のアラ探しをするより、政府とか学会とかマスコミとかを相手に、アラ探しをすれば? 人生を有効に使った方がいいですよ。このままだと、あなたの人生は、本サイトのアラ探しをするだけで終わってしまう。虚しいね。

Posted by 管理人 at 2019年11月16日 17:43
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ