キャッシュレス還元は、消費税導入にともなって実施されたが、有効だったか?
──
日本はキャッシュレスが進んでいないので、消費税導入にともなって、キャッシュレス還元を実施することで、キャッシュレスを推進しよう……というのが、今回のキャッシュレス還元の理由だった。
では、それは有効だったか?
──
前項の話を見ればわかるように、次のように言える。
・ 世界的に実行されているのは、NFC だ。
・ 日本で普及しているのは、QRコードと Felica だ。
裏付けとなるデータは、下記にある。
→ グラフ(出典)
ただしこれは自社宣伝が過剰であるらしく、もうちょっと客観的なデータは下記にある。
→ スマホ決済サービスで「PayPay」がトップ - BCN+R
──
ともあれ、キャッシュレスを推進するなら、世界標準である NFC を推進するべきだ。さもないと、東京五輪のときに大挙押し寄せた外国人観光客も、キャッシュレスをうまく使えないことになる。
ところが、である。政府のキャンペーンの結果は、NFC よりも QRコードを増やすことだった。これでは、制度がガラパゴスなので、外国人には使えない。また、手間が面倒なので、将来的には消滅しそうだ。
結局、政府がやったことは、
「今現在では一時的に QRコードの利用者を増やすが、長期的にはまったくの無駄なことだった」
というふうに評価できる。どうせやるのなら、NFC に限定してのキャンペーンにするべきだった。それならば、まだ意義があった。
実際には、手段を限定せずに「キャッシュレス」を推進した。その結果、必要のない横道の方に逸れることとなった。しかもそれは「袋小路」のようになっていて、最終的には行き止まりなのである。そんな無駄な経路に進むために、政府は莫大な国税を費やしたわけだ。愚の骨頂。
そういうふうに評価できる。
[ 付記1 ]
これと似たことは、前にもあった。
「テレビのデジタル放送の推進のために、莫大な助成金を出す」
というやつだ。特に地デジに限定せずに、「エコなグリーン家電全般」を対象としていたが、実際には地デジの購入を推進する結果となった。
→ エコポイント制度で一番お得なのは「地デジ対応テレビ」(2009/04/27)
こうして地デジを購入する人が爆発的に増えた。メーカーはウハウハとなった。「ボロ儲け」と大喜び。
ところが、制度の終了とともに、需要は一気にゼロ同然となった。無駄な設備と人員をもてあまして、メーカーは(大赤字を出して)青息吐息となった。……結果的には、この制度のせいで、日本の電機メーカーは大幅に衰退することになった。(大赤字のせいで。)
こんな馬鹿げたことしなければ、「需要が一気に増えてから、急減する」ということはなかったので、メーカーは安定した利益を出せたはずだ。なのに、一時の繁栄と引き替えに、長期に大赤字を被ることとなった。(まるで悪魔との取引だ。)
かつて「バブル」という経済現象があったが、それと同様のことを、家電業界で興したわけだ。「バブルとその破裂」という形で。……しかも、このときの「家電バブル」は、政府が人為的に引き起こしたものだった。(やらなきゃよかったのに。)
で、話をキャッシュレス還元に戻すと、キャッシュレス還元もまた、同様の無駄な振興策だとわかる。こんなことをやらなければ、NFC が自動的に普及して、日本も自然に世界的なキャッシュレス制度に組み込まれるはずだった。なのに、政府がキャッシュレス還元なんていう馬鹿げた方向に進んだせいで、QRコードなんていうガラパゴス制度に寄り道することになった。ひどいものだ。自滅策を取るのも同然だ。
[ 付記2 ]
参考記事:
→ 海外で日本のQRコード決済は使える?
※ 結論は「海外では使えない」
→ 海外で使えるスマホ・QRコード決済は?
※ 使えるのは、Apple Pay、Google Pay、Alipay。
いずれも日本では普及していないものばかり。
何か、笑っちゃいますね。
2019年11月10日
この記事へのコメント
コメントを書く
過去ログ