2019年11月10日

◆ 連系線の拡充という方針

 北海道や九州の電力を、本州の電力と結ぶ。そのための連系線を拡充するという方針を、経産省が出した。

 ──

 記事を引用しよう。
 《 送電網増強、料金上乗せも 全国の利用者で負担 経産省案 》
 緊急時に全国で再生可能エネルギーによる電気をやり取りしやすくするため、各地域を結ぶ連系線周辺の送電線を増強する費用の一部も全国の利用者で負担する新たな案を、経済産業省がまとめた。家庭や企業などの負担がさらに増える可能性もあり、議論を呼びそうだ。
 8日に開かれた有識者会議で示され、了承された。経産省は5月、北海道と東北、東北と東京各電力管内を結ぶ連系線2カ所の増強にかかる費用の一部約800億円を全利用者の負担にすると決めた。
 今回の案では、この二つの連系線と直接つながる送電線に対象を拡大した。安定的な発電が見込める風力発電が増える見通しの北海道、東北地方で先行させ、太陽光発電が多い西日本の連系線増強への拡大はその後に検討する。
 費用は、再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)を活用し、「賦課金」として電気料金を通じて利用者から集める。具体的な額は今後決める。早ければ来年の通常国会にFIT法改正案を提出し、2021年度以降の実施をめざす。
( → 朝日新聞

 これは次の発想による。
 「連系線を作れば、北海道のブラックアウトの対策になる。また、普段は北海道の風力発電の電力を送れる。一石二鳥だ。それには費用がかかるが、北海道で負担せず、全国民で負担すれば、負担が可能だ。こんなにうまい案はあるまい」

 こういう発想をする理由は簡単だ。経済的なコストを考えないという点だ。朝日新聞の発想と同じだ。馬鹿丸出しと言ってもいい。

 では、正しくは? こうだ。
 (1) ブラックアウト対策なら、北海道に新規発電所を建設する方がはるかに効果的だ。現在の石炭火力や古い石油火力を休止して、かわりに新世代の LNG 発電にする。こうすれば、炭酸ガス発生を抑止できるし、発電コストは下がる。しかも、万一の停電時には、古い発電所を稼働させれば済む。この方式ならば、大量の電力でブラックアウト対策ができる。一方、連系線では、送電能力が限定されているので、ブラックアウト対策としては貧弱すぎる。しかも、コストややたらとメチャクチャに高額だ。
 (2) 風力発電は、ただでさえ僻地から札幌や函館までつなぐ送電線がなくて困っている。これらの送電線でさえ高額のコストがかかるのに、さらに連系線までつくったら、コストはメチャクチャに高くなる。LNG 発電なら 10円/kWh 以下で済むのに、その 10倍以上のコストがかかるだろう。あまりにもひどい。

 要するに、効果は貧弱で、コストはメチャクチャに高い。愚の骨頂と言える政策だ。金をドブに捨てるようなものだ。

 ──

 あまりにも経済的にひどいが、このあとでさらにインチキを重ねる。
 これで便益を受けるのは北海道なのだから、北海道民が全額を負担するのなら、まだわかる。しかし、それでは北海道民が納得しない。効果の 10倍ものコストを負担するなんて、そんな馬鹿げたことを、北海道民が受け入れるはずがない。
 そこで、「その金を全国民で負担する」という方針を出す。しかも、それを国税で負担しなくて済むように、FITを通じて、「電気料金の上乗せ」という形にする。

 ──

 結局、彼らの主張はこうだ。
  ・ ブラックアウト対策
  ・ 風量発電の拡充
  ・ 北海道民の負担はなし
  ・ 国の財政負担もなし

 かくて、「金の負担もなしに、何もかも改善する、うまい案」と見える。……(
 しかし実際は、「電力料金の値上げ」という形で、国民に莫大な無駄な負担を強いる。

 まったく、呆れる。FITというのは、すでに毎月 1000円程度も国民に無駄な負担をさせる制度だ。「 NHK 料金が高いのがイヤだ」と思っている人が多いが、それと同程度の料金だ。しかも、NHK ならば「番組視聴が可能だ」という受益があるが、FITというのはまったくの無駄だ。(金をドブに捨てているのも同然だ。)
 そういう無駄をさらに重ねようというのだから、狂気の沙汰だというしかない。

 そして、そういう狂気の政策を進めるために、政府はペテンで国民をだまそうとする。そのペテンが、上の()だ。
 そして、その詐欺的な方策を暴露するのが、本サイトだ。
 「だまされるな。目を覚ませ。目を開いて真実を見よ」
 と。

 ※ 政府はFITを「打ち出の小槌」だとみなしているようだが、打ち出の小槌なんてものはありえない。金が無尽蔵に湧き出てくるはずがない。実際には、国民の金が奪われるだけだ。なのに、それを隠して、だまそうとする。「財政負担なしで、良いことばかりがなされます」と。



 [ 付記1 ]
 どうしても連系線を敷設するなら、北海道の全額負担でやるべきだろう。受益を得るのは北海道だけだからだ。
  ・ 北海道のブラックアウト対策の受益を得るのは北海道だけ
  ・ 北海道の風力発電の受益を得るのは北海道だけ

 いずれも北海道だけが受益を得るのだから、北海道が全額負担するべきだ。
 しかし、それには北海道民が大反対するだろう。
 「連系線の受益なんて、道民は何も得ない!」
 それもそうだ。受益を得るのは、道民ではなく、北海道の電力会社だからだ。
  ・ 北海道のブラックアウト対策の受益を得るのは北海道電力だけ
  ・ 北海道の風力発電の受益を得るのは北海道の風力発電会社だけ

 というわけで、いずれも(道民でなく)電力会社だけが受益を得る。
 ならば、その負担もまた、電力会社に押しつけるべきだろう。「北海道の電力会社の全額負担で、連系線を作れ」と。
 しかし、それには電力会社が大反対するだろう。それもそうだ。別に連系線なんかは欲しくないからだ。(タダならもらうが、自分で金を払う気はない。)
 だったら、最初から連系線なんかを作るべきではないのだ。話はそこに落ち着く。
( ※ なのに無理やり作ろうとする経産省がイカレている。有識者会議も同様。)

 [ 付記2 ]
 九州の連系線はどうか? これは、北海道の連系線よりは、いくらかマシだ。
  ・ 九州ではすでに大量の太陽光発電が余っている。
  ・ 関門海峡は狭いので、連系線のコストが低い。

 というわけで、実現への障害は比較的低い。
 しかし、それならそれで、太陽光発電の発電業者がその金を負担するべきだろう。「九電への売電価格の引き下げ」という形で。
 そして、それができないのであれば、もともとコスト高なのだから、九州で太陽光発電なんかをするべきではないのだ。
 現実にやっているのは、
  ・ 九州で低コストの太陽光発電をして、利益は自分(業者)へ。
  ・ そのために必要な連系線の費用は、国民に押しつける。

 この両者をまとめれば、
 「国民の金を盗んで、自分の懐に入れる」
 ということだ。(九州の太陽光発電業者が。)
 これじゃ、泥棒と同じだ。いや、だまして金を奪うのだから、詐欺だな。
 で、そういう詐欺を指摘するのが、本サイトだ。「だまされるな」というふうに。

 ※ そして、詐欺師のために制度を整備して、国民の金を奪ってやろう、というのが政府だ。詐欺師のためにせっせと働く。(「無能な働き者」というか。……いや、もっとひどいな。無能どころか有害だ。 → はてぶ: Wikipedia )



 【 関連項目 】
 連系線が無駄だということは、前にも論じたことがある。詳しくは、そちらを参照。
  → 北本連系(線)は無駄だ: Open ブログ
  → 北本連系(線)は無駄だ 2: Open ブログ

 
posted by 管理人 at 13:30| Comment(2) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>>現在の石炭火力や古い石油火力を休止して、かわりに新世代の LNG 発電にする。こうすれば、炭酸ガス発生を抑止できるし、発電コストは下がる。しかも、万一の停電時には、古い発電所を稼働させれば済む。

一度停止させた発電所を再稼働するにはかなりの時間がかかるので無理ですね。前回のブラックアウトレベルであれば再稼働より、被災した発電所の復旧のほうが早いでしょう。

>>LNG 発電なら 10円/kWh 以下で済むのに、その 10倍以上のコストがかかるだろう。あまりにもひどい。

新規に建設するそうですが、10円で済むのでしょうか?
どのような算出ですか?
Posted by 細波 at 2019年11月10日 19:50
> 一度停止させた発電所を再稼働する

 毎年夏にはどの電力会社でもやっています。東電で言えば、春には 2000万kW なのに、夏の昼間のピーク時には 5000万kW にもなる。差の 3000万kW はどこから来たか? 考えればすぐにわかるでしょう。

> 前回のブラックアウトレベル

 あれは特別に極端な場合なので、そんな特別な場合のことを考えなくてもいい。今後はもう二度と発生しないのだから。
 ※ すでに新規 LNG発電が稼働しているので。

> どのような算出ですか?

 自分で調べれば。ググレカス。
Posted by 管理人 at 2019年11月10日 22:15
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