2019年11月09日

◆ キャッシュレスは何がいいか?

 QRコードを使うキャッシュレスが話題になっているが、他にもいろいろある。では、どれがいいか?

 ──

 他には、クレジットカードや、交通系カード( Suica、PASAMO など)や、電子マネー( Edy 、iD、WAON、nanaco )、デビットカードなどがある。では、どれがいいか?
 当面だけなら、多大なポイントが付く QRコード の利用者も多いだろう。しかし多大なポイントは、キャンペーン期間中だけだ。期間限定である。その後はどうか?

 実は、QRコードには「面倒臭い」という致命的な難点がある。このことは次で話題になった。
  → レジ店員さんからのお願い『電子マネーを使うときは支払い方法を言ってください』 - Togetter

 たとえば「 PayPay で支払います」などと口頭で告げる必要がある。( スマホ画面を見せるだけでは駄目だ。)
 それだけならまだしも、他にも(金額確認など)やりとりをする必要があるそうだ。



 さらに、その前には、QRコード決済の手間がかかる。スマホを取り出したあとで、
  ・ スマホの電源を入れる
  ・ QRコードを撮影する
  ・ 金額をいちいち入力する
  ・ スマホの電源を落とす

 という手間がかかる。
  → PayPay - QRコード・バーコードで支払うスマホ決済アプリ
 これじゃ、面倒臭いね。

 ──

 その点、交通系のカードならば、一発だ。
  ・ 「これ」と言って、カードを見せてから、カードを機械の上に置く。 


 あっという間に済む。私はいつもこうやっている。「これ」と言う必要もなく、無言でも済むかもしれない。

 ──

 ただし、交通系のカードにも泣きどころがある。読み取り機の機械が非常に高額なのだ。Felica という規格は、日本の多大な乗客を改札機で正確に読み取れるように、非常に高度な仕組みがあるので、読み取り機が複雑になって、高コストになる。で、この機械の導入をためらう店が多いので、ろくに普及していない。せいぜいスーパーとコンビニぐらいだろう。

 一方、QRコードならば、店の設置する機械はごく小額で済むので、小規模店舗を中心に、ひろく普及した。
 たとえば、PayPay は、Yahoo 地図で「PayPay」と入力して検索するだけで、たくさん見つかる。渋谷でも銀座でも本郷三丁目でも、適当に地図を広げてから、検索してみるといい。




 ※ 上記は簡易版だ。詳しくは「詳しい地図を見る」でリンク先を見る。スマホではアプリを使うと便利。

 ともあれ、交通系のカードは、使える店が少なすぎる。これは致命的な難点だ。

 ──

 では、キャッシュレスの普及している外国では、どうか? 世界的に見れば、Felica を使っている国はなくて、たいていは NFC (TypeA/B) という規格だ。
  → キャッシュレス先進国のイギリスで感じた日本の未来
  → そろそろNFC Payの存在が国内で広く認知されても良いのではなかろうか

 VISA のデビットカードもそうだ。(下記には詳しい情報がある。)
  → Visaのタッチ決済について(Visa payWave、VISAのNFC非接触決済)

 こいつを使えば、これ1枚で、世界中でキャッシュレスが可能だ。Suica や PayPay なんかではとうてい実現できない芸当である。

 ところが、残念なことに、この「世界標準」とも言える NFC は、日本では普及していない。最も使いたいカードが、うまく使えないのだ。困った。

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ …… と言いたいところだが、そうではない。私が解決するまでもなく、当事者自身が解決策を出した。こうだ。
 “ VISA が「タッチ決済」対応カードを、急速に普及させている”

 記事は下記だ。
 《 VISAタッチ決済カード急増 金融と連携で1千万枚超 》
 クレジットカード大手VISA(ビザ)が、日本で「タッチ決済」対応カードを急ピッチで増やしている。6月末までの半年だけで倍増させ、1千万枚を突破した。交通系ICカード「スイカ」のようにカードを端末にかざすだけで決済できる使いやすさが受けている。メガバンクなど金融機関との連携が発行枚数の増加につながっている。
 朝日新聞のインタビューに応じたビザの日本法人「ビザ・ワールドワイド・ジャパン」のスティーブン・カーピン社長は「豪州ではビザカードの対面取引の9割超がタッチ決済だ。全世界でも半分以上がタッチ決済に置き換わっている。日本でも同じように広める自信がある」と見通しを語った。
 通常のカード決済はサインや暗証番号の入力を求められるが、タッチ決済では不要だ。現金では16秒かかる決済時間を、タッチなら8秒に短縮できるという。
 タッチ決済では専用の端末が必要だが、今年6月末までの半年間で、タッチ決済対応の端末数は4倍に増えたという。マクドナルドやローソン、すき家などで使えるほか、来年3月までにはイオングループのスーパーなどでも対応していく予定。
( → 朝日新聞

 というわけで、(現在はともかく)将来的には、これが本命となるだろう。これ一枚があれば、世界中で簡単に使えるからだ。

 他はどうか? 
 QRコードは、たぶんそのうち消滅するだろう。世界的に見ても、こんなのを使っている国はほとんどないようだし。ま、日本だけで過渡的に使われているものであって、ガラパゴスのガラケーみたいなものだろう。
 交通系のカードはどうかというと、たぶん、現状のままだろう。つまり、「駅、スーパー、コンビニ」だけだ。他には普及するまい。
 クレカは、VISAタッチ式カードと合体していくだろう。



 [ 付記1 ]
 三井住友のクレカには iD をつけることができる。だから、VISAタッチカードでなく、iD を使う人の方が多いそうだ。
  → はてなブックマーク

 ※ iD はデフォルトで付いているわけではない。申込みをする必要がある。
  → 電子マネー「iD」とは? 三井住友カードを利用したiDの使い方・支払い方法|三井住友VISAカード

 [ 付記2 ]
 次のようなものもある。FeliCa+Visa の合体式だ。
  → 共同印刷、ICクレジットカード「FeliCa+Visaのタッチ決済機能付カード」を開発・発売



 【 追記 】
 コメント欄で指摘を受けた。
  ・ スマホの電源をいちいち ON・OFF しないことが多い。
  ・ 金額をいちいち入力しないで済むことも多い。

 なるほど。それもそうですね。本文中の記載は不正確であったようだ。いちいち書き改めるのも面倒だから、ここで注記しておきます。

 「QRコードは消滅することはないだろう」
 という指摘もあった。そこで調べ直してみた。
 中国では銀聯カードが圧倒的なので、これだけで済みそうだ……と感じたのだが、Alipay という QRコードもかなり大幅に普及している。実店舗では銀聯カードが圧倒的だが、ネット決済や個人レベルでは Alipay が強いそうだ。
  → 今さら聞けない「銀聯(ユニオンペイ)」と「支付宝(アリペイ)」の基礎知識

 なるほど。そう言えば、「中国では乞食さえも QRコードを使う」(小銭でなく QRコードで恵んでもらう)という報道を見たことがある。そのくらい普及しているようだ。
 たしかに QRコードなら、乞食でさえ使える。とすると、NFC 方式の銀聯カードとは住み分けができそうだ。簡単に滅びることもなさそうだ。

 《 訂正 》

 「スマホの電源をいちいち ON・OFF しない」
 と述べたが、これは不正確だった。電源については ON・OFF しないが、アプリについては ON・OFF する必要がある。特に、カメラ機能を立ち上げる必要がある。(スマホはカメラ機能が常時作動しているわけではないので。)
 というわけで、電源は ON・OFF しないが、アプリ(カメラ機能を含む)を ON・OFF する必要があるので、やはり、面倒な手間が二つ加わる。( ON と OFF で各1回)
 
posted by 管理人 at 22:59 | Comment(6) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
PayPayさんなんですが・・・
決済のたびに,店員が紙のノートに詳細を記入する店があります。
あれはひどい。何のための電子マネーなのか疑います。
Posted by 先生 at 2019年11月10日 11:02
いつも楽しく拝見させていただいておりますが、QRに関しては、結論ありきの論考ですね。

>・ スマホの電源を入れる
→ わざわざ電源を切ってスマホを持ち歩く人なんているんでしょうか?老人はそうかもしれませんね。

>・ 金額をいちいち入力
→ コンビニでは画面を見せて読み取り機でピッで終わりです。


>QRコードは、たぶんそのうち消滅するだろう。
>日本だけで過渡的に使われているものであって、ガラパゴスのガラケー
→ 10億人の中国やそれ以上のアジア諸国で普及してますが?

 キャッシュレスをカードやQRコードなどの道具だけに限定して性能比較をし、普及しないという結論にするには無理があると思います。

 管理人様はもっとキャッシュレスの本質的なことが見えていらっしゃると思いますので、生活に密着した「何がいいか?」の次は、「将来どうなるか」についての記事を期待しております。

Posted by 通りすがり at 2019年11月11日 23:14
 上のコメントを受けて、本文の最後に 【 追記 】 を加筆しました。

 私はこの分野にはあまり詳しくないので、ボロが出てしまいましたね。あまり口出ししない方がいいかも。

 でもまあ、私の知識が初心者並みだとしても、ネットで調べた情報を提示してから、誤りを読者に指摘してもらえば、それで社会の知識もいくらか増える。
Posted by 管理人 at 2019年11月12日 00:25
 最後に 《 訂正 》 を加筆しました。
 アプリの ON・OFF する必要がある、という話。
Posted by 管理人 at 2019年11月12日 07:59
>QRコードは、たぶんそのうち消滅するだろう。


「 QRコード『を使った決済方式』は、たぶんそのうち消滅するだろう。 」

でしたら予測として何の問題もないですし、そもそもQRコード自体が
バーコード以上の情報量が必要になった結果生まれた産業用の情報記録
方式ですから、それを凌駕する方式が発明・普及されない限りは消滅は
あり得ないですよね。

>ボロが出てしまいましたね。

別にボロではないと思います。言葉に行き違いがあっただけで、現在中国で
偽のQRコードを使った犯罪が起きている事から見ても、予測のひとつとして
なるほどと思いました。
Posted by 参考になります。 at 2019年11月12日 23:08
 本項で「QRコード」と言っているのは、「QRコード決済」のことなんだけど、ちょっと表現が舌足らずでしたね。
 もともとわかってはいたんだけど。
Posted by 管理人 at 2019年11月12日 23:31
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