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これは朝日新聞の独自調査。
台風19号の大雨で堤防が決壊した140カ所(71河川)のうち、8割にあたる112カ所(62河川)が、支流と本流の合流点から約1キロの範囲だったことが、朝日新聞のまとめでわかった。専門家は「合流点近くに住む人は、浸水が起きやすいことを自覚しておくべきだ」と指摘している。
( → 堤防決壊の8割、支流と本流の合流点に集中 台風 19号:朝日新聞 )
タイプは二通り。
・ 合流点の後で本流が氾濫する。支流からの水を受けたせい。
・ 合流点の前で支流が氾濫する。本流からの水を受けたせい。
(バック・ウォーター現象)
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ま、こういうふうに氾濫や決壊が起こることは、不思議ではない。むしろ、当然だとも言える。
問題は、対策だ。記事では、次のように述べられる。
専門家は「合流点近くに住む人は、浸水が起きやすいことを自覚しておくべきだ」と指摘している。
河川氾濫(はんらん)のメカニズムに詳しい早稲田大の関根正人教授(河川工学)は……合流点近くの堤防を高くし、支流を平行に近い角度で合流させるなどの対策も限界があるため、「人口減少が進むことも考えると、自治体は長い目でみて合流点付近の危険性を踏まえた街づくりを検討した方がいい」と話している。
決壊を前提とした上で、決壊による被害を減らそうという方向が望ましい……というわけだ。
しかし、これでは多大な被害が発生する。その被害を免れることはできないわけだ。
多くの家屋が水没してしまう。それを甘んじて受け入れよ、というわけだ。しかし、そいつはまずい。困った。
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
「越流堤を導入すればいい。そうすれば、氾濫はするが決壊はしない」
越流堤があれば、そこで越水は起こるし、氾濫も起こる。しかしながら、決壊だけは避けることができる。(その部分では堤防がコンクリで強化されているからだ。実際、新横浜の遊水地など、各地の遊水地では、越流堤の部分では決壊は起こらなかった。)
越流堤があると、そこでは堤防が低くなるので、そこでは氾濫が起こりやすくなる。しかし、ある程度の氾濫は起こるが、決壊だけは避けることができるのだ。
個人のレベルで言えば、床下浸水や床上浸水ぐらいならば起こりやすくなるが、一戸がまるまる水没するような最悪の事態だけは避けることができるのだ。
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「洪水の被害を減らすためには、あえて氾濫を起こりやすくする」
という逆説的な発想を取るのが、越流堤だ。この案をとれば、「決壊を甘んじて受け入れよ。覚悟をしろ」なんていう専門家の判断よりも、はるかに懸命な対処ができるのである。(被害を最小化できる。)
【 関連項目 】
越流堤については、前に何度も言及した。
→ 洪水対策の越流堤: Open ブログ
→ 堤防決壊による被害(岡山で): Open ブログ
※ 他にもいくつかある。サイト内検索をすると見つかる。
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もう一つ、次の項目もある。
→ 堤防の決壊の対策(2019): Open ブログ
これは、つい先日(2019年10月17日)書いたばかりだ。そこから一部抜粋しよう。
今回の台風 19号では多大な被害が発生したが、その理由は堤防の決壊だった。
では、堤防の決壊を防ぐには、どうすればいいか? それをテーマとして考えよう。
ここでいきなり核心を言えば、次のことが大切だ。
「氾濫と決壊は別のことである。決壊を防ぐには、その前の氾濫を防げばいいのではなく、その前に氾濫を起こせばいい」
これは通常の常識とは逆である。このことが大切なので、解説しよう。
( → 堤防の決壊の対策(2019): Open ブログ )
あとは該当ページを見てほしい。