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前項では、東京都の推進する「再生エネ 100%」というのがまったく無意味だ、と指摘した。
では、かわりに、何を推進するべきか? 通常、次の二つが候補となる。
・ 需要でなく供給レベルで、再生エネの拡大
・ LNG 発電
東京都の方針が無効だったのは、「需要の側で拡大する」という方針だったからだ。これだと、東京都が再生エネの需要を増やしても、他の需要家が再生エネの需要を減らすから、全体では何も変わらない。需要の側で調整する限りは、「配分の変更」が起こるだけで、全体量の変更は生じないのだ。
そこで、全体量の変更を生じさせるには、(需要でなく)供給の側で再生エネを増やせばいい。では、どうやって? 簡単だ。それはすでに政府が実行している。FIT というやつだ。これは実現済みなのだから、新たに何かを追加する必要はない。
もう一つは、LNG 発電の推進だ。これはこれでいいが、すでに電力会社が実行中だ。とりたてて何かを提言するべきでもない。
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私が提言したいのは、「ゴミ発電の推進」だ。
実は、これは、特に目新しいことではなく、これまでにも本サイトでは何度も提言してきた。
→ プラごみ発電: Open ブログ (2010年)
→ サーマル・リサイクル: Open ブログ (2010年)
→ サーマルリサイクル反対論(朝日社説): Open ブログ
→ ケミカルリサイクルは本末転倒: Open ブログ
→ プラごみのケミカルリサイクルで環境汚染: Open ブログ
→ プラごみを再生するな: Open ブログ
→ 汚れたプラスチックの処理: Open ブログ
他にもいろいろある。
→ サイト内検索
というわけで、ゴミ発電(サーマルリサイクル)が環境的に優れていることは、これまで何度も指摘した。ずっと前から。
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一方、本項では新たに、次のことを指摘したい。(環境的な意味でなく、経済的な意味から)
「ゴミ発電では、日本が世界的にトップレベルにある。だから、ゴミ発電を推進することは、日本の国益にかなう」
その理由は? ゴミ発電の世界トップの会社が、日立造船だ、ということだ。この件は、下記記事に詳しい。
→ 日立造船、「ゴミを電気に変える」で攻勢 | 東洋経済
一部抜粋しよう。
2002年に造船事業を切り離した日立造船。社名に「造船」の文字を残しているが、雌伏の時を経て、今や環境とプラントエンジニアリングを主力とする会社へと変貌を遂げた。中でも「ゴミを電気に変える」ごみ焼却発電は、欧州でトップシェアを有するイノバ(Inova)社の買収によって、世界でもトップを狙う位置につけている。
ヨーロッパでは、2010年に買収したイノバがドイツ、フランス、スイスで実績を持っている。ヨーロッパではまだ、ごみ焼却発電が行き渡っておらず、イギリスとポーランドではこれから(案件が)出てくる計画だが、ポーランドは今年も受注したし、イギリスも去年の大きな案件に続いて、今年も受注できると思っている。
イノバがヨーロッパから東側へ、トルコから中東に向かっていく。私ども日立造船はインドから中東へ向かっており、世界中がイノバと日立造船でつながっていく。アメリカでは、イノバが買収時点で拠点を持っていたし、世界展開を進めて、最終的には残りの南米、アフリカもイノバと一緒にやっていくことになる。
会社の公式サイトには、こうある。
Hitz日立造船は、欧州を中心に200件以上のごみ焼却施設の納入実績があるAE & E Inova社を子会社化しました。
Hitz日立造船とAE & E Inova社の実績を合わせると400件以上のごみ焼却施設の実績があり、世界においてトップメーカーです。
米国にごみ焼却施設の事業を手がける現地法人を設立し、インドにも海外事業拡大のための現地法人を設立しており、世界を視野にごみ焼却発電施設を建設していきます。
( → ごみ焼却発電施設 Hitz世界No.1戦略|Hitz 日立造船株式会社 )
日立造船とイノバとの関係がわかりにくかったが、こうある。
──イノバの買収で、日立造船グループは世界最大のごみ焼却発電企業となりました。ノウハウを共有してさらなる成長を狙うなら、日立造船イノバを本体に取り込むべきでは?
欧州では長いこと「フォンロール」「イノバ」って名前で仕事をしてきており、ブランド力があるから本体に取り込んでいないんですが、技術、設計、調達など、ノウハウはすでに本体と共有しています。人の交流もしてますし、運営では一体化してるんです。
( → 「日立」も「造船」も今や無縁、日立造船が目指す次の成長事業 | ダイヤモンド・オンライン )
そういうことであれば、会社名を「イノバ」に変更した方がいいだろう。イノバを吸収合併した上で、会社名を「イノバ」にする。(ちょうどカルソニックから改めたマレリのように。)
あるいは、合併しないまま、会社名を「日立造船」から「イノバ日立」にする。このことで日立グループの一員であることを示す。(しかし消費者向けではないのだから、日立の名を残すことにはほとんど意味がないね。)
もはや造船事業流行っていないのだから、「造船」の名を外すべきだ。だったら、今こそ社名を「イノバ」にする時期だろう。その上で、欧米で事業拡大の攻勢をするといい。
また、政府としても、この会社の事業を推進するべきだ。特に、「ケミカルリサイクルはサーマルリサイクルよりも環境によい」という迷信を打破して、「サーマルリサイクルの方が環境によい」と欧州で宣伝するべきだ。それが真実なのだから。
→ サーマルリサイクル反対論(朝日社説): Open ブログ
→ プラごみを再生するな: Open ブログ
→ 汚れたプラスチックの処理: Open ブログ
ケミカルリサイクルが意味をなすのは、汚れていないプラスチックの場合だけだ。たとえば、きれいに洗浄した食品トレイ(単一種類のプラスチック)。……こういうのであれば、分別する手間もないので、ケミカルリサイクルが有効だ。
しかし、たいていのプラごみは、プラスチックの種類が多種多様だし、さらに汚れや紙なども混じっている。とうていケミカルリサイクルには適さない。やむなく、燃やすことも捨てることもできないまま、圧縮されて大量の野積みされているだけだ、となる。ただのゴミの放置だ。危険極まりないし、環境汚染ももたらす。
→ プラごみのケミカルリサイクルで環境汚染: Open ブログ
教条的な環境主義のせいで、「ケミカルリサイクル」を唱えながら、どんどん環境を汚染させていく。こういう馬鹿げた欧州の頭を正常化するために、ゴミ発電を推進するべきなのだ。それが日本の国益にもかなう。
※ 本サイトにしては珍しく、1企業の営業を後押しする。ただし、ステマではありません。 (^^);