2019年11月04日

◆ 首里城:ふるさと納税で寄付?

 首里城の再建のために、ふるさと納税で寄付しようという風潮があるが、これは詐欺みたいなものだ。

 ──

 首里城が炎上したあとで、首里城を再建するために協力しよう、という人々がいる。それはいいのだが、そのための手段として、「ふるさと納税で寄付しよう」という風潮がある。特にテレビ朝日では、報道番組で協力に推進している。「ふるさとチョイス」というサイトを番組で紹介して、「この欄に金額を入力するといいんですよ」と寄付の仕方まで懇切ていねいに紹介する始末だ。
 これではまるで、「オレオレ詐欺」に協力して、被害者に向けて入金の仕方を教えるようなものだ。呆れるしかない。

 なぜか? ふるさと納税で寄付することなどは、ありえないからだ。寄付というものは、自分の金を相手先に与えることだ。しかしながら、ふるさと納税というのは、自分の金を相手に与えることではない。他人の金を与えることだ。他人とは? 自分の住んでいる地元自治体だ。その金を流用するわけだ。
 金の流れは、下記のようになる。

  寄付:

      自分  → 相手


  ふるさと納税:

    地元自治体 → 相手


 自分の財布から金を取って誰かに与えるのなら、寄付と言っていい。しかし、他人の財布から金を奪って誰かに与えるのなら、それは寄付ではない。泥棒の一種だ。

 ──

 「え? 泥棒?」と疑うかもしれない。だが、ふるさと納税というのは、もともと泥棒の一種なのである。自分の地元自治体の金を盗んで、それを、自分と相手自治体とで分けあう。
 ここで、盗んだ金のうち、自分の取り分を、相手自治体に全部渡すことで、「寄付」と呼んでいるのが、今回の事例だ。しかし、泥棒をした者同士の間で、一方が他方に分け前を全部譲るからといって、それを「寄付」と言うのはおかしい。(上図の金の流れを見ればわかる。)

 この件については、前に詳しく説明した。そちらも読んでほしい。
  → ふるさと納税が悪である理由: Open ブログ
  → ふるさと納税と泥棒の論理: Open ブログ

 後者では次のように述べている。
 論理のペテンに引っかからないように、注意しよう。「正しい使途をしているかどうか」が問題なのではない。「他人の金を盗むこと」が問題なのだ。話をすり替えた論理に、目を眩まされてはならない。

 今回も同様だ。「首里城再建」という目的は正しい。そのために金を集めること自体は善行だと見える。しかしその金を、自分の財布から出すのではなく、他人の財布から出すのでは、金を盗んだ時点で泥棒をしていることになるのだ。

 ──

 この泥棒は、鼠小僧次郎吉に似ている。「金持ちの金を盗んで、貧乏人に振りまく」というふうに。
 しかし、制度として金持ち全員に課税するのならともかく、特定の金持ちを狙い撃ちにして金を盗むのであれば、それはもはや犯罪なのである。まして、「貧乏人に金を与えるのは善行だ」と言い張って、金の一部を自分の懐に入れるような行為に至っては、れっきとした泥棒だ。(「義賊」と言われる種類の泥棒。)

 ふるさと納税というシステムは、泥棒(義賊)のシステムである。それを利用して金を移動することは、その金が自分の金でなく他人の金である限り、泥棒行為なのだ。それは決して(自分の金を移動する)寄付ではない。これを「寄付」と呼ぶのは、ペテンも同様だ。

 テレビ朝日のような報道番組は、「ふるさと納税で寄付しましょう」などと報道するべきではない。むしろ、「ふるさと納税で自分の自治体の金を盗みましょう。盗めば盗むほど、地元自治体の金が減っていき、地元自治体は困窮します。他人の金を盗む泥棒をしましょう」と報道するべきだ。それが正確な報道というものだ。

 なお、「ふるさと納税を使って寄付してください」と那覇市自身が呼びかけているが、これは那覇市自身が詐欺をしているのも同然だ。ふるさと納税は寄付ではないからだ。どうせなら、「脱税・泥棒に加担した上で、その分け前を放棄してください」と語るべきだ。あくまで犯罪者仲間で取り分を変更しているだけだ、と明示するべきだ。あたかも善行をしているように語るべきではない。

 ──

 最後に一言。
 以上の話を聞いて、「だったら首里城再建のために金を出さなくてもいいのか?」という疑問が生じるかもしれない。それには、こう答えよう。
 「金を出すのなら、自分の財布から出せ。他人の財布から金を盗むのであれば、その金の使途がどんなに崇高なことであっても、それは悪である」


 比喩的に言えば、「首里城再建のため」とか「貧乏人を救うため」とかの目的のために、誰かを殺して、金を奪ってもいいか……ということだ。もちろん、悪である。
 結果がどれほど素晴らしいことであっても、そのための手段が悪であるならば、その行為は絶対的に悪なのである。「目的は手段を正当化しない」とも言える。
 ここを勘違いしている人が多いので、勘違いしないように理解しよう。物事の本質は、ここにある。



 [ 蛇足 ]
 「目的は手段を正当化しない」というのは、極端な例で言えば、原爆だ。「民主主義の勝利のために、軍国主義の日本に、原爆を落として、非軍事の民間人を何十万人も虐殺する」ということ。それは善なのか?
 そもそも、軍国主義が悪だなどと言い出したら、今の大国(米国・中国・ロシア)などはみんな悪だということになる。そんな屁理屈のために、(すずさんみたいな)民間人を何十万人も虐殺することは善なのか?
 さらには、(ナチスという)正義の勝利のために、ユダヤ人を大量にガス室に送ることは善なのか?
 これらを「善だ」と見なすような思考の持主が、「ふるさと納税で首里城再建は善である」と思い込むのだ。



 [ 付記1 ]
 本文ではテレビ朝日を批判したが、誤報しているのはテレビ朝日だけではないようだ。ほとんどのマスコミがそうである。(本文を書いたあとで気づいた。)
 特にひどいのは NHK だ。このふるさと納税を「クラウドファンディング」と称している。
 《 首里城 クラウドファンディングで支援金 早くも目標の1億円超 》
 焼失した首里城の再建を目指し、那覇市がクラウドファンディングで支援金を募ったところ、3日間で目標としていた1億円を超えました。
 首里城の火災で那覇市は1日から、ふるさと納税を活用し、インターネットを通じて必要な資金を集めるクラウドファンディングで支援金を募っています。
( → NHKニュース

 馬鹿か。ふるさと納税は、クラウドファンディングではない。なぜか? ここで「寄付者」と称する人は、自分の金を1円も出していないのだ。地元自治体の金を盗んでいるだけだ。(その上で、自分の分け前を返上しているだけだ。泥棒の子分が親分に全額を献上しているだけだ。)
 こんなことを推奨すれば、泥棒行為がますますはびこって、地元自治体の被害がどんどん増えてしまう。「オレオレ詐欺」の被害額を増やすのも同然だ。狂気の沙汰だね。
 犯罪の被害額が増えるのを歓迎するだけでなく、それに加担するのだから、呆れ返るしかない。

  ※ 「クラウドファンディング」と称している大本は、下記のポータルサイトであると判明した。NHK などが勝手に称しているのではなく、下記の会社がそういう言葉でだまそうとしている。

 [ 付記2 ]
 実は、ふるさと納税で最も儲けている人々がいる。それは、「ふるさとチョイス」というサイトの運営者だ。彼らはそのサイトを運営することで、地元自治体から手数料をかすめ取っている。たぶん 20%ぐらい。
 例。あなたの地元自治体から3万円を盗んで、そのうちの1万円をあなたが得る。残りの2万円を相手自治体が得るが、そのうちの20%にあたる 4000円を「ふるさとチョイス」というサイトが事務手数料として徴収する。こうやって「濡れ手で粟」で、首里城炎上を利用してボロ儲けする。「しめしめ」と。で、それに協力して、悪徳業者に加担しているのが、テレビ朝日のような報道関係者だ。(太鼓持ち・幇間である。)

 なお、「ふるさと納税のポータルサイトを運営するとボロ儲けできますよ」という話は、ふるさと納税が開始されたころに、本サイトでも呈示したことがある。
  → ふるさと納税のポータルサイト: Open ブログ

 ちょっと思ったが、首里城のあとで、あちこちの文化遺産に放火して、どんどん炎上させれば、この会社が(クラウドファンディングと称して)ふるさと納税の手数料でボロ儲けできるな。世の中に災害を撒き散らすことで、ボロ儲けができる。悪魔の手口。(そして、それを称賛して宣伝するのが、テレビ局のようなマスコミだ。)

posted by 管理人 at 23:55| Comment(2) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふるさと納税の本質がよくわかりました。税金の額を減らすためにその収入を上げた地ではなく、税の安い地に支払先を持っていくタックスヘイブンと同じような感じがしました。
Posted by SM at 2019年11月05日 17:25
まさしくその通り
正義と大儀を同等に語る今のマスコミが大間違い

ふるさと納税は大儀であって正義ではない
納税された一部を地元産物を地元の人が送る
ならまだましだが、
商品券送ったり、仲介屋を使ったりしている
これは商売だ。
まあ税金が無駄に使われる分を3割とするなら、
3割まではふるさと納税するのが、よいのかも

であれば、そもそも税金を安くするかわりに、
ふるさと納税を認めないのも認められるべき

泉佐野市などはそうすべきでしょう。

それも含めて、税への関心を呼び起こしたことが
そもそも、ふるさと納税の意義なのかも。
Posted by メルカッツ at 2019年11月06日 21:22
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