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記事を引用しよう。
《 医療機器浸水、診療に制限 福島の病院、CTやMRI被害 25億円 》
台風19号の大雨で、病院内の医療機器などが水につかり、経済的な被害や地域医療への影響も出ている。
氾濫(はんらん)した阿武隈川の支流、逢瀬(おうせ)川から約100メートルにある福島県郡山市の星総合病院も浸水し、被害総額は25億円に上る見通しだ。
水害対策のため、1メートルの盛り土をした上に立っているが、平均で床上 15センチの浸水があった。
( → 朝日新聞 )
CTやMRIは、重いので、2階以上に置くことはできない。1階に置くしかない。それで浸水被害に遭った。
で、病院の側は、「自力再建は不可能だから、政府が補助をしてくれ」と求めている。
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さて。補助金を出すかどうかは別問題として、この事例の失敗の理由を探ろう。
失敗の理由は明らかで、「1メートルの盛り土」だ。あと 15センチあれば無事だったのに、その 15センチを惜しんだせいで、25億円の被害が発生した。
これはまあ、「一文惜しみの百失い」みたいな例だろう。盛り土を 15センチ増すための費用はというと、その機械を置く場所だけでいいのだから、100万円ぐらいで済んだはずだ。1メートルの盛り土をするときに、その狭い区画( CT と MRI を置く場所)だけは、盛り土を 15センチ高くしておけばよかった。15センチというのはギリギリだから、できればあと1メートル高くして、2メートルの盛り土にしておけばよかった。できればもっと高く、3メートルの盛り土にしておけばよかった。
だが、そうなると、装置だけを高くするわけには行かないから、機械の設置室全体を高くする必要も生じるだろう。そうなると、盛り土の費用は 500万円ぐらいになるかもしれない。
さらに、部屋の建物構造を中二階みたいにすることで、余分な建築費も2000〜5000万円ぐらい増えるかもしれない。
が、そうだとしても、それだけの費用をかけるべきだった。なぜなら、そこは川のそばだったからだ。
東の阿武隈川に近いだけでなく、北の支流(逢瀬川)にも近い。こんなにも川のそばなのだ。それで、阿武隈川と逢瀬川の氾濫をともに食らった。(ダブルパンチみたいに。)
ここは、川のそばであるがゆえに、土地代が安くなっていた。ならば、その土地代の浮いた分で、十分な盛り土をするべきだった。
多摩川のそばの世田谷記念病院であれ、今回の星総合病院であれ、水害というものを甘く見過ぎている。そのせいで、25億円というような被害も生じる。リスク管理がまったくできていない。馬鹿すぎるとも言える。自業自得だとも言える。
そして、自分の愚かさのせいで大被害が出たあとは、国に「補償してくれ」と泣きつく。
で、仮に補償してもらったら、また同じように盛り土をしないで高額な機器を置いて、また水害で 25億円を無駄にするつもりなんだろう。そのときになって、またも国に「補償してくれ」と泣きつくのだろう。
他人の金に頼る限りは、何度でも同じ失敗を繰り返すのである。
( ※ その意味でも、機械の補償はするべきではない。一般的な融資や援助はしてもいい。盛り土の補助金も出していい。だが機械の補償だけは駄目だ。それは愚行を助長する。)
( ※ この病院は、私立病院かと思ったら、公益財団であるそうだ。
→ 公益財団法人 星総合病院 )
( ※ 最悪の場合には、25億円の分の借金返済ができなくなったことで、倒産させればいい。もともとは個人医院に由来する公益財団なんだから、つぶれてもいい。そのあとで、他の誰かが施設を買収して、別の病院を開けばいい。こんな公益財団は、なくなっても、誰も困らないのである。)