2019年10月20日

◆ 荒川の堤防の鉄橋

 荒川の堤防には鉄橋の食い込みがあるので、そこから浸水する、という問題がある。

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 この件は、前項で紹介した批判サイトで、ついでの形で言及されている。「巨額の遊水地よりも、鉄橋の食い込みの問題を早急に解決するべきだ」という趣旨。
 荒川で最も懸念されているのは、下流部の鉄道や道路の橋梁付近の堤防が周辺よりぐっと低くなっていることです。大洪水時にはその地点から市街地に洪水があふれてくる心配があります。
 荒川下流部は高い堤防が整備されていますが、過去に地盤沈下が進行しました。堤防は沈下に対応する嵩上げ工事が行われてきましたが、鉄道や道路の橋梁部分は別です。橋梁部分の堤防を嵩上げするためには、橋梁とともにそれにつながる鉄道や道路も高くする必要があり、巨額の費用がかかるので、後回しにされてきました。
 必要性が定かではない荒川第二・第三調節池の事業よりも、これらの橋梁の架け替え工事を急ぐべきではないでしょうか。 
( → 本当に必要なのか、荒川中流部に巨大な第二・第三調節池 | 八ッ場(やんば)あしたの会

 ※ なお、本サイトでも下記項目のコメント欄で指摘されたことがある。
  → 東京の水害対策(荒川・江戸川): Open ブログ

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 では、考察しよう。
 まず、場所は下記だ。





 現場の写真は、ストリートビューではわかりにくいが、ネットには見つかる。下記サイトだ。
  → 荒川の土手が低い部分(北区岩淵)
 土手はスーパー堤防規格でかさ上げされたが、鉄橋部分は以前のままで取り残されている。写真はその部分を撮ったもの。


 解説もある。
 なぜこの部分の堤防が低いのでしょうか。
 この橋梁の竣工が1931(昭和6)年。その後、1970(昭和45)年代までのあいだに東京下町一帯が、工業用地下水の汲み上げや天然ガス(メタン)採取などにより地盤沈下し、広範囲のゼロメートル地帯、すなわち海水面より低い地域が発生しました。この橋梁部分でも3.4メートルの地盤沈下が観測されています。
 地盤が沈んでも川の水面の標高はさほど変わりません。そのため堤防は川に対して相対的に低くなってしまいました。
 対策として一帯の堤防をかさ上げしても、橋梁と線路が堤防を通り抜けている部分は、簡単にはかさ上げできません。そのためこの部分が低いままで、現在は橋梁架替え工事の用地買収が進められている段階です。

 今回の台風19号で……荒川は幸いにも(もしかしてぎりぎりの所で)氾濫をまぬがれました。氾濫した場合、最悪のケースでは都内23区の三分の一にも及ぶエリアが浸水すると想定されています。
( → 台風19号の大雨に耐えた荒川 しかし京成本線の荒川橋梁が心配される理由 | 乗りものニュース

 まさしくここは危険なのだが、すでに「橋梁架替え工事」のための用地買収が進んでいるそうだ。

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 橋梁架替え工事とはどんなものか? ネットで探したが、見つかるのは「京成本線の 橋梁架替え工事」ばかりで、「 JRの 橋梁架替え工事」の情報は見当たらなかった。
  → 荒川 橋梁架替え工事 -京成 - Google 検索

  ※ 次のページだけは見つかったが、内容(情報)はほとんどない。
     → C JR東北本線荒川橋梁 橋梁部周辺対策

 仕方ないので、京成本線の方を見ると……次のページが見つかった。
  → 治水上の弱点となっている橋梁の架替 | 荒川下流河川事務所
 橋梁を下流側に 16m 話して建造し、レール面を 3.7m 嵩上げして設ける。
 事業総額:約 400億円
 工期:昭和63年〜平成 14年

keiseihasikae.jpg

 工期からして、すでに完成しているわけだ。念のためにストリートビューを見たら、新しい方だけがあって、古い方は残っていなかった。

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 京成がこういう方式で新橋をつくるのなら、JR も同様の方式で新橋を作るのだろう。ただし、金もかかるし、時間もかかる。その間に川が氾濫の危機を迎えたら、被害は莫大になりそうだ。(福島原発事故みたいに。……それも、今度は東京で。東京壊滅。)

 それでは困る。そこで、困ったときの Openブログ。何とか対策を示そう。
 「短期的には、応急措置として、水が大量に漏れないような防水壁みたいなものを用意する。鉄橋全体ではなく、鉄橋と堤防の重なる部分だけで、水密扉のようなもの(可動式の防水壁 or 水門)を設置する」


 こいつを設置した上で、台風が近づいたら、電車を路線ストップすると同時に、この場では水密扉のようなものを閉めるわけだ。(それで川水の流入を阻止できる。)

 水密扉といっても、建物用のものよりははるかに巨大になるので、1億円ぐらいでは済みそうにない。10億円をも超えるだろう。
 しかし、数十億円になるとしても、橋全体の架け替えに 500億円もかかるのに比べれば、ずっと安い。また、東京の壊滅による 33兆円という被害予想額に比べれば、格安だ。
 数十億円がかかるとしても、保険料だと思って、とりあえずは払った方がいいと思う。そうすれば万が一の「東京壊滅」を避けることができる。「ふるさと納税」なんかに金をかけるよりは、ずっとマシだ。
 実現可能性を疑う人もいそうだが、普通の支流の河口には(上下に)可動式の水門が付いていることがあるから、それと似たもので十分だろう。下記に例がある。
  → 岩淵水門 - Wikipedia

 ※ なお、堤防が低くなっている箇所も、同時に是正する。当り前だが。



 [ 付記 ]
 反論があるかもしれない。「水密扉みたいなものを作っても、水は漏れるぞ」と。
 しかし、大丈夫。水が少しぐらい漏れてもいいのだ。少しぐらいの浸水ならば問題ない。東京全体の水没を防ぐことができればいいのだ。大事なのは、この箇所が決壊して崩壊しないようにすることだ。つまり、頑丈に作ることだ。
 全体的な破壊さえ防げればいいのであって、少しぐらいの水漏れはどうでもいいのだ。



 [ 余談 ]
 新たにできる橋は、どのくらいの高さになるのか? 京成の方は 3.7メートル高いということだが、これだと、現状ではよくとも、そのうちまた地盤沈下で足りなくなってしまうかもしれない。
 30年後には、
 「新橋はまたしても沈降してしまったので、新・新橋を建設する必要があります」
 となりかねない。大丈夫ですかね? むしろ、もっと高くしておいた方がいいんじゃないの? 
posted by 管理人 at 23:55 | Comment(0) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
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