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荒川・江戸川には遊水池を作れ……と先に述べた。
→ 東京の水害対策(荒川・江戸川): Open ブログ
→ 荒川と江戸川の水害対策: Open ブログ
ところが、新たに情報を得たところでは、荒川にはすでに遊水地が建設中であるそうだ。彩湖のすぐ北側だ。(名称は「荒川第二・三調節池」)

出典:荒川直轄河川改修事業(荒川第二・三調節池)<大規模改良工事>
Google マップと対比もできる。
「へえ。これがあるなら十分かな」とも思ったが、そうでもない。難点がある。コストだ。
荒川13年間かけて荒川中流部の非常に広い河川敷に長い堤防を築き、池内の掘削を行って洪水調節池をつくろうというものです。
荒川第二・第三調整池の総事業費は約1,670億円です。
( → 本当に必要なのか、荒川中流部に巨大な第二・第三調節池 | 八ッ場(やんば)あしたの会 )
1,670億円だって。ちょっと金がかかりすぎでしょ。たかが土堤を作るぐらいのことに、こんなに金がかかるわけがないんだが。……そう思って、上の PDF を調べたら、ただの土堤を作るのではなく、ちょっとしたダムを作るような大工事になっていた。

本来の堤防の分は 5.3メートルなのに、住宅側では地盤沈下が 4.5メートルもあるので、合計して 9.8メートルの堤防を作る必要がある。その追加分の 4.5メートルのところで、すごく分厚くて強固な堤防(基礎部分)を作る必要があるので、すごく高額のコストになる……ということらしい。いやはや。
「まあ、それじゃ、仕方ないね」と思う人が多そうだが、それじゃ諦めが早すぎる。ここは、困ったときの Openブログだ。うまい案を出すことにしよう。こうだ。(2つある)
(1) 土堤の高さ
「上の堤防の高さは、遊水地の土堤ではなく、川の堤防だ。計画案では、その両者が同じ高さにすることになっている。しかし、遊水地の土堤の方は川の土堤よりも低くしてもいい」
ちなみに、それそれの比較は、下図だ。

先にも述べたが、断面図を ▲ で示すと、この断面図の面積は、高さに比例するのではなく、高さの2乗に比例する。だから、治水のためであるなら、なるべく高さが低くて面積が広いものが低コストで済むのである。
→ 堤防よりも遊水地 2: Open ブログ
この意味で、高さが 9.5メートルもある土堤を作るのは金の無駄だ。かわりに、高さは5メートルか6メートルぐらいにして、そのかわり、遊水地の面積を2倍ぐらいに広げればいい。そうすれば、同じ貯水量の遊水地を、低コストで建設できる。
(2) 上流側
地盤沈下がひどいのは下流域なのだから、もうちょっと上流側に遊水池を作ればいい。そうすれば、地盤沈下の量が少ない分、堤防を無駄にかさ上げしないで済む。
具体的な場所は、前にも述べたとおり。つまり、今回の遊水地の少し北側だ。大宮けんぽグラウンドのあたり。あるいはもっと上流側でもいい。(候補地はいっぱいある。このあたりはやたらと田畑だらけだ。)
このあたりで、地盤沈下の少ないところを見計らって、なるべく広い面積で遊水池を作ればいい。そうすれば、ずっと低コストで遊水池を作ることができるはずだ。
また、工事が簡単になるのにともなって、工期も大幅に短縮できるはずだ。
かくて、低コストで遊水池を作ることができる、とわかった。
( ※ 今回の「荒川第二・三調節池」だけでは、量的に不足しているかもしれないので、追加でさらに遊水池を作ってもいいかもしれない。)
なお、この事業はすでに着手されているそうだ。
→ 平成30年度着手「荒川第二・三調節池事業」について
ただし、まだ工事はほんの少ししか進んでいないはずだから、今からでも方向転換することは可能だろう。次のように。
・ この場所に作る土堤は、高さ 5〜6メートル程度に留める。
・ 別の場所(上流部)に、より広大な遊水池をいくつも作る。
以上のように変更すれば、あまり工事費をかけずに、より巨大な貯水量を実現することができるだろう。そうなれば、荒川の水没する可能性は大幅に減じるはずだ。
[ 付記 ]
遊水地の土堤の高さを低くすることには、別の効果もある。こうだ。
「当面は低めにしておくが、必要性があれば、将来はさらに土堤を高くすることができる」
一方、最初から土堤の高さを 10メートルにすれば、これ以上は土堤を上げる余地がなくなる。つまり、将来的な拡張(アップグレード)の余地がなくなる。それはつまらない。
かといって、上流部に新たに遊水池を作ろうとしても、そのころにはもはやその場所は開発済みとなって、買収できなくなってしまうかもしれない。
だから、今のうちに広い面積を買収して、低い土堤を作る方が有利なのだ。
台風通過後、けんぽグラウンドはまともに使えなくなっているとのこと。ということは、遊水地に適していると思います。
※スポーツ余暇なんかより、大多数の人間の命の方が大事です。
大宮けんぽグラウンドは荒川の河川敷です
田畑は、つぶすわけじゃありません。普段は農地として使える。何十年かにいっぺん洪水で浸水するだけだ。洪水の後は肥沃になるので、翌年からは好都合。また、洪水が来たら、補償金をもらえる。(遊水池でなければ浸水しても補償金をもらえない。)
田畑なら、毎年の賃料を目当てに、地主が喜んで田畑を提供するでしょう。
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なお、国が買収するというのは、金がかかりすぎる。賃料ならば毎年ほぼ無料で広大な土地を借りられる。(洪水のときには多額の補償金を出すので、その保険料と土地の賃料が相殺となる。差し引きしてほぼ無料。)
一方、土地の買収となると、莫大な金がかかる。それでも買収してもいいが、地主としては、「売却と賃貸のどちらでも選べる」という方が、好都合だろう。
なお、賃貸の契約時には、「地主はいつでも好きなときに国に売却できる」という条項が必要だろう。(さもないと土地を他人に売ってしまうので、それを禁じる。)
> 大宮けんぽグラウンドは荒川の河川敷です
そうだったのか。情報ありがとうございました。
なぜ?
→ http://j.mp/2N0f5jK
洪水が来て、氾濫した水が新たな土壌を残すと、土壌がフレッシュになるので、連作障害がなくなる。また、栄養分も補給される。というより、栄養分が補給されることで、連作障害の原因がなくなる。
上記リンクを参照。
古来、文明の発達した土地では、洪水が何度も起こるので、農業が発達してきました。他の土地は、連作障害が起こると、その土地が放棄されました。
世界史の時間に教わることなんだけど、今は世界史が軽んじられているから、基礎知識を知らない人が増えている。
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なお、水田というのは、連作障害をなくす技術だ。何で日本にはあんなに水田があるのかというと、そうしないと連作障害で農作できなくなるからだ。
一方、畑地だと、それがないから、連作障害は起こりやすい。洪水の氾濫を浴びないと、連作障害の危険は高まる。何らかの特別な対策を取る必要があり、すごく手間がかかる。
しかし、現代日本の改良された土壌を洪水で洗い流されて、肥沃になるとはおもえないのですが、そういう話はソースはありますか?
日本の土壌は、基本的には火山灰層(関東ローム層など)であり、やせた土地です。そこに化学肥料をぶち込んでいるだけ。肥沃な腐葉土層にはとてもかなわない。
洪水で流れ込んでくるのは、腐葉土層が多い。山から流れ込んでくる。
参考
http://openblog.seesaa.net/article/461629229.html
http://openblog.seesaa.net/article/435851580.html
そんなことはもともと話の対象外。
本項で論じているのは、「遊水地となった田畑には、洪水によるプラス面が(部分的に)ある」という話だけ。一般の田畑は関係ないし、(プラス面でない)マイナス面の有無も話の対象外。あなたの質問は本項の話の対象外。
本項の話は、「遊休地ではないところに洪水を氾濫させて、肥沃にしてあげる」というような話ではない。お間違えなく。
あなたは、細波さんと同じで、自分の興味のことしか考えていない。人の話をまともに読んでいない。本項とは無関係な別の話をしている。
人の話のアラ探しばかりをしていると、どんどん本筋から離れていく……という実例。
文明の興りに洪水の影響があったというのは当然しっているのですが、それが現代の日本でも通用するというのには論理の飛躍があります。
管理人さんの想像なのであれば、そう想像だと述べればいいじゃないですか。
「日本」ではなく「遊水地」です。お間違えなく。
誤読だと何度言えばわかるのか。自分の誤りを理解できないのか。