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多摩川の水害対策については、先に述べた。
→ 多摩川に遊水地を作るなら?: Open ブログ
ここでは、次のように示した。
・ 多摩川の沿岸には、適当な田畑(空地)がない。
・ しいて探すなら、競馬場と競艇場だ。ここをつぶす。
こう示した。しかし、よく考えると、後者の提案は駄目だ。
なぜか? 競馬場と競艇場は、あまりにも規模が小さいのだ。これは、多摩川の川幅に比べると、まったく小さすぎる。
衛星写真で多摩川の川幅を見るとわかるが、川幅はとても大きい。つまり、そこにはたっぷりと水を含むことができるので、多摩川の川幅それ自体が、巨大な遊水地のようになっているのだ。(すごい!)
多摩川は、実は、とても巨大な川であって、鶴見川なんかとは比較にならないほどの巨大な水量を流す。鶴見川だと、新横浜の遊水地ぐらいで十分に制御できるのだが、多摩川の水量はあまりにも巨大であるがゆえに、ちょっとした遊水地では制御できないのだ。
つまり、私が先に出した「遊水地で」という案は、多摩川では使えない。
では、(新横浜の遊水地とは違って)「中流域の田畑でで広大な遊水地を作る」ようにすればいいかというと、それもできない。沿岸に田畑がないからだ。この点は、荒川や江戸川とはまったく違う。
かくて、対策が見つからなくなる。困った事態となる。
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そこで困ったときの Openブログ……と言いたいところだが、いくら何でも、手品師じゃあるまいし、そう次から次へとハトを出すわけには行かない。いや、うまい名案を出すわけには行かない。まったく困った。
すると読者は思うだろう。
「さすがの Openブログも、とうとうお手上げか。となると、多摩川の水害を防ぐ方法はないのか。今回のように、氾濫して、死者が出るのを、指をくわえて見ているしかないのか」
むむむ。……そうかもしれないが、それではあまりにも悔しい。
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そこで、考えたすえ、かろうじて一案を出した。こうだ。
「川幅は広いので、河川敷を掘り下げて、そこを遊水地のかわりにする」
そこでさっそく、実現可能性を調べた。河川敷のストリートビューを見る。すると、河川敷の高さは、あまり高くない。ほぼ通常時の水面と同程度だ。つまり、これ以上は下げる余地がない。もともと高い河川敷ならば、掘り下げる高架はあるだろうが、もともと十分に低いので、これ以上掘り下げる余地はないのだ。
つまり、上の方法は駄目だ。
では、どうする? 残る策としては、堤防を上げることしかないのか? それでは、巨額の費用がかかるし、全然冴えないのだが。
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そこで、頭をさんざんひねったあげく、奇想天外な方法を思い付いた。それはこうだ。
「多摩川を直線化する。大きくうねっている部分では、川の流速が下がるので、そこを直線化する」
具体的には、ここだ。
ここは多摩川の中では唯一、川筋が U 字状になっている。そこで、この川を短絡して、直線化してしまえばいいのだ。
そうすると、どうなるか? 川水の流速が上げる。それはつまり、単位時間に運べる水の量が増えるということだから、川の水位を下げる効果が生じるのだ。それも、川の全域で。
つまり、この部分を直線化することで、(川の流速を上げて)川の全域で水位を下げることができるのだ。
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では、そのための工費は? もちろん、かなりの巨額がかかる。とはいえ、同時に、別のメリットが生じる。川を直線化すると、現状の U 字状の部分は「三日月湖」となって残る。そこを埋め立ててしまえば、広大な空地が誕生する。その広大な空き地の面積は、川になってつぶされてしまう土地の面積の2倍ぐらいの広さになる。しかも、その空地は、交通至便である。川崎駅の近くだし、近くには最寄り駅がいくつもある。だから、とても高い地価が予想される。つまり、広さで2倍、交通の便利さでも2倍で、合計4倍ぐらいの不動産資産が新たに生じる。一方、川になってつぶされる不動産は1倍である。差し引きして、3倍の価値の不動産が新たに発生する。そこでは巨額の富が発生するのだ。
この巨額の富と差し引きすれば、巨額の工事費は埋め合わせが付くかもしれない。うまく行けば、新たに生まれる巨額の富の方が多くなるかもしれない。そうすれば、工費は巨額にかかるどころか、工費はマイナスになることになる。(お金を支払うのではなく、お金をもらえる。)……まるで打ち出の小槌か、魔術みたいに、(金銭的に)無から有を生み出すことができるわけだ。
これぞ名案中の名案と言えるだろう。
( ※ ただ、金はあまりかからないが、時間はかかる。実現するのは、国家百年の計による。)
[ 付記1 ]
「直線化するために、地面を掘ったら、大量の残土が発生するが、どこにその残土を捨てるんだ?」
という疑問が生じそうだ。しかし、大丈夫。その残土は、三日月湖を埋めるために使えばいい。
逆に言えば、三日月湖を埋めるための残土は、すぐそばにあるもの(直線化の工事で生じるもの)で使えばいいのだ。
これぞ一石二鳥。
( ※ ただし、一時的に残土を保管する必要がある。掘ってすぐに埋めるわけには行かないので。)
[ 付記2 ]
これですべてが済むわけではない。さらに補充的に、次のこともやるといい。
「川幅が狭くなっている部分は、ボトルネックとなって、川の流速を下げてしまう。だから、川幅が狭くなっている場所は、川幅を広くする」
具体的にはどこか? ざっと地図を見たところでは、二子玉川のあたりが該当する。
ここには橋が二つある。そのうち、南側の橋が問題だ。
橋があると、川水が橋桁にぶつかったせいで、川水の流速が下がる。そのせいで、橋桁の直前では水位が上がり、氾濫しやすくなる。実際、今回氾濫が起こった場所も、そこだったようだ。
この場所で氾濫した。だから、この部分(橋桁のすぐそばの上流部分)では、川幅を広げた方がいい。
そのことは、北側の橋については成立していたが、南側の橋については成立していなかった。この部分(癒しふれあい館)の土地を削って、川幅を広くする、という工夫をするといいだろう。さらに、橋のすぐ下でも、の土地を削って、川幅を広くする、という工夫をするといいだろう。
[ 付記3 ]
さらにもう一つ、奇想天外な方法がある。こうだ。
「多摩川の河口部に、巨大な排水ポンプを設置して、多摩川の水を東京湾に排出する」
この排水ポンプによって、多摩川の水を強制的に東京湾に排出する。そうすれば、多摩川の河口部の水位を下げることができる。それによって、多摩川の川水の流速を上げることができる。
これは、たしかに大きな効果があるはずだ。とはいえ、かなり巨額の工費がかかることが予想される。そこが問題だ。
それでも、玉川の全域で堤防をかさ上げするのに比べれば、まだしも費用は少なめで済むだろう。
この方法は、効果はあるだろうが、費用がかかるので、実施するかどうかは、コスパしだいとなる。
私の考えでは、「当面はやらない方がいい」となる。かわりに、「被害が出たら、被害が出た人に補償すればいい。その方が安上がりだ」と言える。
とはいえ、水害で政府が金銭的に補償するというのは、あまり一般的ではないようだ。また、死者が出ると、金銭では解決できないという問題も生じる。
また、たとえ実施したとしても、機械は錆びるので、「耐用年数のうちに実際に洪水が訪れるか」という問題も生じる。(一度も使わないうちに耐用年数が来るかもしれない。)
この案を実施するかどうかは、かなり難しい選択となる。「やった方がいい」とは必ずしも言えない。一応、案だけを予備的に示しておくに留める。
思考実験をここまで出来る人を初めて見ました。
思考実験とはいいつつ、条件がそろえば実現可能な方法だと思います。
河川直線化にはそのような意味もあるのですね。
言われてみればその通りですが、言われて初めて気が付きました。
ちょっと調べてみました。
地図
http://j.mp/2Bgv7jP
由来
https://sei5.at.webry.info/201007/article_15.html
このページの最後。
長野市を出たあと川幅が10分の1(峡谷)になって
長野市が広大な遊水地になったおかげで下流の被害がすくなかった
直線的にすれば川の流れが早くなって
海への到達時間が早くなるけど下流域に土砂が溜まりやすくなる
直線的な川は天井川になりやすい
住む方で1階はコンクリート製にして2~3階に居住区間を設けるとか工夫しないとだめなんじゃないの
中国なら直ぐできそうだな、と思いました。
§ アメ
「退去は 10年以内でいいので、今すぐ時価で土地を売却するという契約にサインしてください。それなら、立ち退き料として、現金 1000万円を払います。ほら。この 1000万円は、あなたのものです。ここにサインするだけですよ」
と言って、現金を積み上げる。
「さらに特権を差し上げます。保育所の優先入所や、特養の優先入所。優先的に福祉を受けられて、安心できますよ」
§ ムチ
「この地域は将来的にゴーストタウンになります。保育園もなく、ごみ収集もなく、夜の街路灯もなくなります。人のいないゴーストタウンに、あなただけで住みますか? 犯罪が多発するかもしれませんよ。そのときになって土地を売る気になっても、そのときは時価が大幅に下がっているので、もらえる金は今よりもずっと少なくなりますよ。だから今のうちに売った方がお得ですよ」