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記事を引用しよう。
台風19号の影響で長野市内を流れる千曲川が氾濫したため、JR東日本の「長野新幹線車両センター」が浸水し、留め置いていた北陸新幹線の120両も水につかりました。被害は全車両の3分の1にのぼります。専門家は「最悪、廃車になるかもしれない」と話しています。
( → 北陸新幹線 車両浸水 全体の3分の1 専門家「最悪 廃車か」 | NHKニュース )
JR 「昼過ぎ時点で水が引いておらず、詳細が調査できていない状態です。状態を見ないと、明日以降の本数が減るかは何とも言えません。長期化するかどうかも、分からないです。20編成はまだ生きていますので、どう運用するかにかかっていると思います」
全損か修理可能かも分からないとし、上越新幹線などから補充するかについても、まだ答えられないとしている。
( → 北陸新幹線、車両全体の3分の1が浸水 運行への影響は? : J-CASTニュース )
現地に社員が数人いるものの、水が引いておらず、車両に近づけない状態だという。担当者は「車両への浸水は初めてで、修復できるか廃車になるか、見てみないことには何とも分からない」と困惑した。センター内も水が引かないため確認できていないが、メンテナンス機器なども浸水した可能性があるとみている。
( → 北陸新幹線120両が浸水、修復できず廃車可能性も - 社会 : 日刊スポーツ )
JR東によると、詳しい被害状況は不明だが、被災車両が北陸新幹線全体の3分の1にのぼるうえ、工場にあるメンテナンス機器も水につかったとみられることから、影響は長期化する可能性があるという。
( → 北陸新幹線3分の1浸水 影響長期化か、修理器も被災で [台風19号]:朝日新聞デジタル )
何ともひどいことだが、これは避けられないことだったのだろうか?
いや。違う。ここでも新横浜の例が参考になる。
新横浜の遊水地の対岸(鶴見川の反対側)には、横浜市営地下鉄の車両基地がある。ここは鶴見川のそばなので、万一の場合には、氾濫して、この車両基地が水没する可能性がある。
しかし、大丈夫。こんなこともあろうかと……横浜市営地下鉄の車両基地は、2階建てになっている。地下鉄は空中を走るのだ。
こんなに高いところを地下鉄が走る。だから、たとえ周囲が3〜4メートルほど水没しても、それでも車両は水没しないで済むのだ。
「立派だ」と言えば言えるが、「当り前だ」とも言える。
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ところが、その当たり前のことができなかったのが、JR東だ。
上の画像のように、新幹線の路線は高架であるから、近くの千曲川が氾濫しても、新幹線の路線は水没しない。
しかし、この高架の向こう側は、こうなっている。
ここは車両基地だが、1メートルほど盛り土してあるだけだとわかる。したがって、1メートルほどの洪水には耐えることができる。しかし、千曲川の堤防が決壊したら、どうなるか? 1メートル以上の水深で氾濫するだろう。
ちなみに、堤防を見ると、こんな感じだ。
2階建ての建物の窓ぐらいの高さがあるようだ。(堤防の高さが。)
とすれば、堤防が決壊すれば、水深3メートルぐらいになることが想定される。そして、現実はまさしくそうなった。
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そういうことを想定したのが、新横浜の車両基地だ。
想定しなかったのが、JR東の車両基地だ。
ここでは、被害は起こるべくして起こったのである。なぜか? 「そんなこともあろうかと……」と思わなかったからだ。千曲川のすぐそばにいるくせに。
「うっかり」や「油断」というよりは、馬鹿丸出しというべきだろう。東日本大震災のあとで、津波のことは考えても、台風による洪水のことは考えなかったようだ。何を考えているんだか。(いや、何も考えていない。)
※ 北陸新幹線の開業は 2015年3月14日。2011年の東日本大震災のあと、4年間の猶予があったので、車両基地を2階建てにする時間的余裕は、たっぷりとあった。
→ 運行停止 https://response.jp/article/2019/10/11/327511.html
このへんは、JRの車両基地の高さと、高架の高さが、どちらも同じぐらいになっている。どちらも地面から1メートルぐらいの高さだ。
このあたりで、車両基地と高架がつながっているはずだ。(衛星写真でもわかる。)
車両基地の電車は、このあたりで高架に接続しているから、このあたりで高架に乗り換えて、そのあとで、高架の高さが十分あるところにまで移動すれば良かった。そうすれば水没しないで済んだ。
なお、上記の場所(合流点)そのものは、高架も水没していた可能性が高い。高架が低いので。
この場所の車両基地を二階建てにしなかったことで、高架そのものが低く設計されて、そのせいで高架そのものが水没したことになる。
運転手はどうするのって言う話は別にして
その建物をケチったから、大被害が発生した。一文惜しみの百失い。
衛星写真を見てみるとここは合流点ではないようですね
傍に車道の高架があってそれをくぐる為に低くなっている様に見えます
実際は南西の方に基地から合流する線路が見えますからそこが正しいようです
しかしまぁこれは大被害ですねぇ
風に煽られて転倒でもされて、線路にダメージあたえられたり万が一にも高架から落ちたりしたら周りにも影響あたえてしまいますし。
トンネル内も風吹き込んできたりしたらどうなるかわかりませんし。
他の車両基地に持ってければよかったんでしょうけど、まぁしょうがないんだすかね。
私もそうかと思ったけれど、そこは高架の高さと地上の線路の高さが大幅に食い違うので、3次元的に合流することは無理です。上から見ると合流できそうだけど、横から見ると高さが合わない。
仮に、高い高架にあわせて車両基地の線が合流するなら、車両基地の側にも高架が必要となるが、そんなものは見当たらない。
> 暴風域に入るのはわかっていたので、高架に置いておくというのは難しいのでは?
高架だと横に壁があるので、暴風を弱めることができます。
地上の車両基地だと、暴風をまともに食らいそうだ。隊列を組んでいれば、おたがいが壁の役割を果たしそうだが、端の列車は、暴風の直撃を食らいそうだ。
まあ、建物の2階に収容されるのが最善なんだが。
いずれにせよ、千曲川で氾濫する危険のある場所で地上に置くという選択肢はありえない。「万が一」の心配をするより、「非常に確率の高い氾濫の危険性」を考慮するべきだ。
https://goo.gl/maps/CBRXkJXEMYrPRqZZ6
私の言う南西の合流地点のストリートビューを見ると基地⇔本線を繋ぐように坂になっている線路が見えますよ
そこ以外は合流する線路も確認できず合流しようにもできないと思います
→ Posted by 管理人 at 2019年10月13日 23:07
> 損害額は車両だけで三百数十億円にのぼる計算だ。
さらに専用の特殊車両なので、他の路線の車両を使えない。ダイヤにはずっと穴があいたままで、営業収益が激減するらしい。
→ https://www.asahi.com/articles/ASMBH42WPMBHUTIL016.html
こんなに大事な車両を、このあたりで一番低い危険な土地に置いておいた。(地図)
→ https://www.asahi.com/articles/photo/AS20191014001510.html
引用:
> 決壊地点を含む約13キロの区間は水位が上昇しやすく、堤防が連続していなかった明治以前は洪水が毎年のようにあったという。
→ https://www.asahi.com/articles/ASMBG3GHNMBGULBJ001.html
これも他の支部の利益で埋め合わせするのでしょうね