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ホンダがまたしても部品の不具合という問題を引き起こした。
《 ホンダ「N−WGN」不具合で生産停止 8月発売、再開未定 》
ホンダが八月に新型を発売した軽ワゴン車「N-WGN」=写真=の生産を停止していることが五日、分かった。新たに採用した部品に不具合が見つかったためで、生産再開の時期は未定。好調な「N-BOX」と並ぶ主力車種の販売停止により、ホンダの国内戦略に影響が出る可能性がある。
不具合があったのは、駐車する際に使う電動パーキングブレーキ。九月二日の出荷前検査で、警告灯の異常点灯が判明した。原因を調べるために部品の供給が止まり、約一カ月にわたって生産が滞っている。
不具合が見つかったブレーキは、今月の東京モーターショーでホンダが発表する小型車の新型「フィット」にも採用される予定で、影響が広がる可能性もある。
( → 東京新聞:(TOKYO Web) )
不具合があった電子制御のパーキングブレーキは、ホンダが10月下旬開幕の東京モーターショーで世界初公開する新型「フィット」にも使われる。ホンダはすでに販売店に対し、フィットの発売を1カ月近く遅らせると通知している。
( → 納車遅れ、ホンダが消費増税分を負担 N―WGN不具合:朝日新聞 )
またしても、という感じだ。ホンダの部品の不具合は、しばしば起こる。特に、経営を揺るがすほどの大問題となったのは、次の二点だ。
・ エアバッグのタカタ
・ フィットの変速機 DCT
そのどちらも、非常に深刻な問題が発生して、ホンダの経営を大きく揺るがした。特に、タカタの方は、会社が消滅するという結果になった。
一度だけならまだしも、こう何度も何度も起こると、ホンダには固有の問題があると判断せざるを得ない。
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では、固有の問題とは何か? こうだ。
「ホンダの系列メーカー(下請けサプライヤー)の力が弱い」
これは、当然のことだ。トヨタや日産・ルノーが年産 1000万台規模であるのに対して、ホンダはその半分ぐらいの規模でしかない。当然、子会社の売上げもそれに応じて縮小する。研究開発費も同様に縮小する。となれば、品質でもコストでも、トヨタや日産に負けて当然なのだ。
実際、系列メーカーの名を見てもわかる。トヨタならば、デンソーとアイシンAW という世界的に有名な大メーカーがある。日産ならば、カルソニックカンセイとジヤトコがある。では、ホンダは? 名の知られた系列メーカーはない。

* 図の出典は下記。
これらの企業はまったく体力不足なのだが、ホンダの経営者は「非常に有望だ」などと自惚れていて、楽観していて、改善の努力をしない。
→ ホンダの系列サプライヤーはなぜ強い(上図の出典)
似た話もある。
→ ホンダの電動化シフト。系列サプライヤーは仕事が無くなるどころかチャンス到来
→ 「トヨタvs日産vsホンダ」サプライヤーの稼ぐ力
ホンダの系列メーカーは弱体なのだが、本田自身はそれを認識しておらず、改善する意欲もない。このままでは経営は悪化するばかりだろうし、また、冒頭のような不具合は何度も続出するだろう。(今回で打ち止めになるわけではない。)
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困った。どうする? そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
「ホンダは系列サプライヤーを、日産・ルノーの系列サプライヤーと、統合するべきだ」
これと似た案は、下記ページで提唱されている。
→ 日産など3社+ホンダで「非トヨタ連合」結成? 自動車業界再編か
これは、親会社に当たるホンダそのものが日産・ルノー連合と合体する、という案だ。三菱みたいに日産の子会社になるわけにも行かないから、フィアットみたいに「持株会社の傘下にぶら下がる」という形になるのだろう。
ま、それはそれで悪くはないが、いきなりやるのも障壁が大きすぎる。メリットも大きいが、デメリットも大きい。
そこでまずは、「系列サプライヤーだけを統合する」という形にするといいだろう。これならば、メリットだけがあり、デメリットがない。
具体的に言うと、それぞれの傘下の系列サプライヤーを合併させる。たとえば、カルソニックカンセイと、ホンダの系列サプライヤーを合併させる。(上図に記載されたメーカー)
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さらにこれは、日産・ルノーにとっても、大きなメリットがある。
・ カルソニックカンセイなどは、ホンダの子会社と合併することで、企業規模と売上げを大幅に増やせる。
・ ジヤトコの自動変速機に泣かされている日産は、ホンダ(本体)から自動変速機を仕入れることができる。
この場合、ジヤトコはホンダに売却される。その上で、ホンダの自動変速機部門はホンダから分離・独立して、その会社が日産・ルノーと取引する。ジヤトコはその製造部門の一部となる。
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以上のようにすれば、ホンダは弱小の系列メーカーと取引することをやめて、日産・ルノー・ホンダという巨大グループの系列メーカーと取引するようになる。その系列メーカーは、もはや規模が巨大になっているのだから、十分な売上げと研究開発費を持つようになる。それによって、不具合の続発という問題を回避できるようになる。
( ※ デンソーやアイシンAW に対抗できるような系列サプライヤーを誕生させる、ということでもある。)
( ※ 「合併なんて無理」という声も上がりそうだが、カルソニックカンセイは、カルソニックとカンセイが合併してできたものだ。「合併しなければ取引停止」と通告すれば、否応なしに合併せざるを得なくなる。)
( ※ 過去において合併がうまく行った例がある。日産に鉄を納入していた日本鋼管が、日産との契約を切られて倒産の危機に瀕したが、そのあとで日本鋼管と川鉄が合併した例だ。新たに JFEホールディングスという会社ができたが、これは日本で2位の製鉄メーカーとして健闘している。株価を見ると、特に好調というわけではないのだが、業界1位の日本製鉄と、株価の動きはほぼそっくりである。倒産しかけた3位のメーカーが、つぶれるどころか、ガリバーみたいな1位のメーカーと並べるのだから、この合併はうまく行ったと言えるだろう。 → Wikipedia )
( ※ カルソニックカンセイは、10月1日に社名を「マレリ」に変更した。ただしこれは、本項の話題とは関係ないので、どうでもいい。)
【 関連項目 】
ジヤトコが駄目会社だ、ということは、下記項目の最後で示した。
→ 日産が中国で販売不振: Open ブログ
※ 最後の [ 付記2 ] で示した。
以下、引用。
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日立製作所とホンダは30日、傘下の自動車部品メーカー4社を統合し、新会社を設立すると発表した。ホンダが筆頭株主のケーヒン、ショーワ、日信工業にTOB(株式公開買い付け)し、完全子会社化した後に、日立完全子会社の日立オートモティブシステムズが3社を吸収合併する。
新会社の連結売上高は約1兆7000億円規模で、トヨタ自動車系のデンソー、アイシン精機に次ぐ国内3位に浮上する。
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上の記事の図によると、世界13位の規模だという。カルソニック・カンセイはどうなったの? と思ったら、マレリを吸収合併して、自社の名前をマレリと変えて、世界7位だという。
ただし、国内売上高は1兆円以下なので、今回の新会社を下回る。国内売上高ではかなり下位の順位であるようだ。ただし海外マレリと合わせた世界順位では、7位まで上がる。
新会社とマレリをさらに合併させた方がよさそうだ。それでもまだまだアイシンに及ばないが。
日立は日産と仲がいいので、日立の新会社とマレリが合併してもおかしくない。そうなったら、本項の趣旨そのまんまになるね。
しかし、本項を書いてすぐに今回の事態になるとは、驚きだ。
→ https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/103000815/
→ https://www.netdenjd.com/articles/-/222511
本項で示した話がうまくピッタリと当てはまっている感じだ。