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教員が不足しているという問題がある。激務で薄給なので、教員志願者がどんどん逃げ出しているという状況だ。もともと「団塊の世代」の教員が大量に退職しつつあって、欠員が大きいのだが、さらに(待遇の悪い)非常勤の教員も激減しているので、もはや教育の現場はピンチの状態だという。
下記に詳しい特集記事がある。(長文)
→ (記者解説)教員のなり手が減少 「ブラック職場」敬遠、対策も後手 編集委員・氏岡真弓:朝日新聞
教育新聞の記事もある。
→ 「もう、やってられない」 中教審で現場教師の本音訴え | 教育新聞
→ はてなブックマーク
記事や、はてなブックマークで指摘されているが、解決策は、教育予算増額である。ところが、それを出すべき自治体は、どこもかもスカンピンだ。金がない。そこで、もともと「正規の教師を減らして、非常勤の教師を増やす」というような賃金抑制策をとっていた。情けない。こんなに情けないありさまだから、「賃金アップ」とか「定数増」とかの、予算措置を必要とする措置が執れないのだ。
金がないとどうしようもない、という見本か。困ったことだ。
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では、どうしよう? そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「金もないし人もないのなら、せめて教師に休みを与えればいい。広い意味の時短だ」
具体的には、こうだ。
「教師は、夏休みには授業がないのだから、教師に夏休みを与えればいい」
こう聞くと、不思議に思う人が多いだろう。
「夏休みには、教師は休むに決まっているだろ。私が子供のころだって、教師は夏休みには休んでいたぞ」
なるほど、それは正しい。しかし、ある時期を境に、教師の夏休みはなくなったのだ。「夏休み中にも教師には給料を払っているんだから、授業がなくても教師は出勤しろ」という命令が下った。そこで、教師は夏休み中も出勤して、せっせと研修に励むことになった。そのせいで、2学期以後の授業の準備をする時間は削られた。かくて、2学期以後では教師は殺人的な激務と残業を強いられることになった。……それが現状だ。
その現状は、下記に記されている。
→ 学校の先生に夏休みはある? (内田良)
→ 学校の先生の夏休み中の勤務ってどうなっているんですか? 知恵袋
→ ここがヘンだよ、先生たちの「夏休み・休憩・時間外労働」
だから、こういう惨状を改めて、夏休みにはきちんと休みを取らせればいい。そうすれば、教師にもいくらかは余裕が出るので、教職に応募してくれる人も増えるだろう。
このことは、政府も理解するようになったようだ。私は何年も前から「教師に夏休みを与えよ」と思っていたが、政府は今年の6月になってようやく、「教師に夏休みを与えよ」という方針を打ち出した。
→ 教員の夏休み「まとめ取り」復活へ 文科省が方針:朝日新聞
→ 2019年夏、教員の「夏休み取得ルール」の見直しが急務!
これで問題は解決されるか? いくらかは解決されるだろう。抜本的対策には予算増が必要だが、予算増をともなわない範囲では多少は解決が進むだろう。
ところが、夏が過ぎたあとで、この夏のデータを見ると、残念ながら、解決の度合いは小さいとわかった。たしかに改善しているのだが、改善の度合いは微々たるものである。「夏休みに教員は休めるようになった」ということは、ほとんど成立していない。「夏休みに休めるようになった日数増は、たったの1日だけである」というありさまだ。下記は横浜市の例。

出典:
→ 教職員の働き方改革の推進に向けた取組 横浜市
→ 「横浜市立学校 教職員の働き方改革プラン」に基づく令和元年度の取組状況について(中間報告)(PDF)
「口先だけ」というか、「羊頭狗肉」というか。……ともあれ、政府がいくら「教員の夏休み取得」を口に出しても、それはほとんど進んでいないのである。
やるべきことはわかっていても、それを実行できない。ここに、問題の核心があると言える。
学校教育の場では、知恵がないのではない。やる気(意思)がないのである。
※ 教師が悪いのではなくて、教育委員会が悪い。
※ 教育委員会のひどさは、「組み体操の強制」からもわかる。教育委員会に口出しできない市長が、怒って嘆いている。
→ 神戸市長“怒り”のツイート 組み体操やめさせない市教委に
※ こういうことが起こるのは、教育の全責任が教育委員会にあるからだ。このことは法律で規定されている。
※ ただし、自治体には予算措置の権限はある。自治体は、夏休みの件では口出しできないが、教員の増員については(口出しでなく)予算増ができる。金があれば、の話だが。