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満員電車の混雑を解消するには、新規路線を建設するのが王道だ。しかしそのための金は、あるにはあるのだが、地方民に奪い取られてしまうので、東京民には残る金がない。結果的に、新規路線の建設はできない。
→ 前項
そこで、あまり金のかからない代案を出そう。(かなり奇を衒った案だ。)
「既存の車両の前後に、ドアなし車両を連結する」
という方式だ。下図のように。
□□■■■■■□□
たとえば、通常は5両編成だとする。
その前に2両、その後に2両、合計4両を連結する。
これによって、車両の合計は5から9に大幅増となる。
とはいえ、駅のホームには、5両までしか横付けできない。そこで、前の2両と後の2両は、ドアなし車両とする。正確に言えば、ドアはあることはあるのだが、ドアが開閉しないので、ホームに乗降できない。ホームに乗降したいときには、中央にある ■■■■■ という車両に移動してから、その車両のドアを通じて、乗降する。
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「そんなことをしたら混乱する! 乗った人が降りられなくなる!」
と思うかもしれないが、さにあらず。ホームにいる人はもともとその車両には乗れないのだ。乗れないのだから、「降りられなくなる」という問題も生じない。
その車両にいる人は、別の車両から延々と車両を渡ってきた人だけだ。そういう人ならば、勝手も知っているだろうから、来た順を逆戻りして、元の車両から降りればいいだけだ。
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なお、この方式が有効なのは、山手線のような環状線ではなく、山手線から放射状に出ていく路線だ。たとえば、昔の東急東横線。出発・終着となる渋谷駅では、列車がかなり長い待ち時間に、しばらく停止していた。その状態で、ホームの前方にある車両だけ、ドアを開放すればいいのである。
その場合は、前方の ■■■□□ という車両がドアを開放することになる。(普段はドアなし車両になっているのが、渋谷駅ではドアを開放するわけだ。)
この場合、後方の車両にいる人は、前方の車両へ移動する必要があるが、問題ない。渋谷駅では列車は長く停止しているのだから、乗客が列車内を歩いていく時間は十分にあるのだ。
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東横線は、その後、渋谷駅が改修されて、出発・終着となる駅ではなくなり、ただの通過駅となった。となると、上記の方式は使えない。(長い停車時間は取れない。)では、どうするか? 次の方式を取ればいい。
「渋谷駅では、ホームの長さをすごく長くして、通常よりも多くの車両を受け入れる。その状態で、(ドアなし車両を含めて)すべての車両のドアをあけることで、一挙に乗客を乗降させる」
[ 付記1 ]
さらに、別の案もある。こうだ。
「中央の5両だけでドアが開くのが標準だ。しかしそのかわりに、2種類の駅を交互に並べる。
・ 前側の5両だけでドアのが開く駅
・ 後側の5両だけでドアのが開く駅
両者を交互に並べることで、どの車両でも乗降できるようにする。(駅は限定されるが。)」
たとえば、奇数番の駅では「前側5両だけ」で、偶数番の駅では「後側5両だけ」となる。
奇数番の駅で乗って、奇数番の駅で降りるならば、問題ない。
偶数番の駅で乗って、偶数番の駅で降りるならば、問題ない。
では、奇数番の駅で乗って、偶数番の駅で降りるならば? そのときには、一つ手前の駅で降りて、ホームを走ってから、中央の車両に移動すればいい。中央の車両ならば、奇数番でも偶数番でも、どちらの駅でもドアは開くからだ。
……というふうに、理論上は解決ができるのだが、これはちょっと無理っぽいかもね。ただし、ラッシュ時限定ならば、慣れている通勤・通学の乗客ばかりだから、大丈夫かもしれない。(でもやっぱりまずいかも。)
なお、昼間の時間帯には、前の車両と後の車両は、利用しないことにするといい。ドアと連絡通路を閉じて、車両を利用不可にするわけだ。この場合は、人のいない無人車両を運行するので、ちょっと無駄に思えるが、トラブルを招くよりはマシだろう。
[ 付記2 ]
混乱を避けることを最優先とするならば、次の方式もある。
「前の2両の追加はやめて、後の2両の追加だけにする。これならば、いちいち後の2両に移った人だけが、空いている席や空間を利用するだけで、たいていの人は無関係となるから、混乱が生じる恐れは少ない」
ま、これはこれで一案だ。
[ 付記3 ]
渋谷駅の改修(ホームを延伸する)という案を示した。だが、これについては、次の心配がありそうだ。
「ホームの大きさは限られているので、これ以上以上は延伸できない。つまり、多くの車両を横付けすることはできない」
この心配はごもっとも。下図を見ればわかる。

ホームの先端は幅が狭くなっている。これ以上、さらにホームを伸ばそうとしても、先すぼまり になっているので、ホームを伸ばすことはできない。(幅が1メートルしかないようなホームなんて、危険すぎて、無理だ。)
困った。どうする? そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「ホームの先では、2本の路線の内側ではなく、外側にホームを付ける」
図で言えば、「13a」や「16b」と書いてある場所だ。その地下5階の位置で、線路の外側に新規ホームを作ればいいのだ。そのあとは、エスカレーターで地下4階まで上がってもらって、そこで他のフロアと接続すればいい。(地下5階では他のホームとは接続しない。)
なお、既存のビルの地下にある柱と干渉するかもしれない。その場合は、その位置でだけドアを開かないようにすればいいだろう。それだけのことだ。
[ 付記4 ]
本項の方式は、田園都市線では、とても効果を発揮する。その理由は下記だ。
田園都市線用の車両(乗り入れする他社車両も含む)はすべて10両編成で運転されているが、大井町線直通各駅停車は5両編成、大井町線直通急行は7両編成で運転されている。
( → 東急田園都市線 - Wikipedia )
大井町線直通では、5両編成と7両編成がある。そこで、これらをすべて9両編成で走らせればいい。(前後に2両または4両を連結する。)
こうして9両編成で走る車両は、大井町線では前後の車両が「ドアなし車両」となるが、田園都市線を走っている限りは、普通の(ドアあり)車両として機能する。つまり、何の問題もなく、車両数を5および7から、9にまで増やすことができる。(田園都市線を走っているときは)
こうして、輸送力の向上が実現する。
※ 大井町線は田園都市線から分岐する路線。田園都市線のうち、大井町線直通が占める割合は、3分の1ぐらい。( → 二子新地駅のダイヤ )
※ 大井町線直通の発着は、鷺沼駅・長津田駅・中央林間駅だ。( → Wikipedia )
[ 付記5 ]
既存車両の前後にドアなし車両を連結する……と述べたが、前後でなく、前だけにした方がいいかもしれない。たとえば、前だけに4両連結する。
なぜか? この4両は、終着駅では有利になるからだ。そこでドアが開くと、すぐにホームに出られるから、時間の節約になる。
一方、中間の車両は、途中駅ではドアが開くが、終着駅ではドアが開かないのが普通だ。終着駅にたどりついたら、前にあるドアなし車両まで延々と車両内を移動する必要がある。それだけ時間がかかる。その分、不利である。だから少しでも急ぐ人々は、前にあるドアなし車両に移動するようになる。こうして人々には、ドアなし車両に入りたがる動機が生じるので、中央車両における過密状態が解消される。
なお、昔の東横線では、似た現象が発生していた。改札口がホームの端にあるので、最も前側の列車に乗ると、(改札口に到達するまでの)時間が節約できる。だから列車では、前側の車両ほど混雑度が高かった。前側の車両に移る動機が発生していたのである。
[ あとがき ]
以上のようにすれば、うまく混雑を解消できそうだ。
ただし、実現可能性という点で言うと、かなり難しそうだ。
「複雑なので理解できませーん」
という人が多かったら、アイデアはボツとなる。
ま、思考実験としては、ちょっとは楽しめたかも。
追加のアイディアとして、ドアが開く駅・開かない駅を予め決めておくと混雑が更に緩和されるような気がします。
例えばこんなルール。
・駅番号が偶数の駅では列車の前方2両はドアが開かない
・駅番号が奇数の駅では列車の後方2両はドアが開かない
昇降客が纏まっていたほうが効率良さそうに思いました。
各停のみ1両増結する。退避線と通過待ち時間を利用して、前のn両のドアを開閉した後、1両分動かして最後の車両のドアを開閉する。待避線の無い駅は今の九品仏駅と同様、前後1両分は交互に閉めたままにする。九品仏で苦情出ていないので慣れるはず。肝心の急行では適用難しいが、全体の輸送力アップには寄与できる。
・ホームが短くてはみ出る
・速度を必要としない
・本数が少なくても良いので運搬効率をよくした
これを首都圏で採用できないかなぁ
タイムスタンプは 下記 ↓
タイムスタンプは 下記 ↓
桜木町事故では、ドアが物理的に開かなかったけど、本項の方式はドアが物理的に開かないわけじゃない。単に、開くスイッチを入れていないだけです。開くスイッチを入れれば、何も問題ない。
さらに言えば、事故のときは乗客が手動でドアを開くことができるようになりました。桜木町事故を教訓に。したがって、再現・再来は、原理的にありえません。
ついでに言えば、隣の車両に逃げることもできます。これも桜木町事故との違い。
桜木町事故は、大昔のポンコツ車両における特殊な事例であって、現代には影響しません。
前の車両に歩く人が多かったけど今はどうなんだろ
非常時には非常コックでドアは開くんだろうけど
男しか乗らない車両になるだろうと思うと気分的に嫌だな
車両内の移動を通じて乗降するとなると、
各駅での乗降時間がかかるので、今みたいに2分に1本という過密ダイヤが組まなくなるのでは?と思ってしまいました。
(途中駅では)降りるのは無理です。短い停車時間の間に移動しようとすると、取り残されて、置いてけぼりを食らわされるので、降りられません。降りるのは、終点だけです。終点まで降りない人だけが、ドアなし車両に乗る。
一方、乗るのは容易です。どの駅で中間車両に乗ったとしても、端の車両に到達するまでには、終点までの時間( 20分ぐらい?)という長い時間の余裕があります。
タイムスタンプは 下記 ↓