JDI の先行きが不鮮明になってきている。JDI をどうするべきだろうか?
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JDI の先行きが不鮮明になってきている。出資してくれるはずの相手から逃げられたからだ。
→ JDI、中国系ファンドが支援撤退、事業継続が不透明に
→ JDI再建がスポンサー続々離脱で暗礁に、残る「打開シナリオ」は
これはいわば、結婚式の直前に花婿に逃げられた花嫁だ。どうなることか、わかったものじゃない。倒産するのだろうか? ところが JDI 自身は、妙に自信たっぷりである。
→ 「4.3億ドルの調達はほぼ硬い」 JDI菊岡新社長が自信:日経ビジネス電子版
どう考えても楽観主義の自惚れとしか思えないのだが。
いったい、事態をどう評価するべきか? また、JDI は、どうするべきか?
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常識的に言えば、こうだ。
「 JDI は業績が悪化の一途であり、赤字が累積するばかりだ。出資金は赤字を埋めるために使われるばかりで、ただの延命措置であるにすぎない。これでは赤字の垂れ流しと同じだ。だったらさっさと倒産させた方がいい。それなら、赤字はこれ以上、ふくらまない」
私としてはずっと前からこの方針を取ってきた。何度も書いたとおり。
→ JDI が身売り: Open ブログ(2019年04月04日)
その後、次の続報ふうの記事も書いた。
→ JDI が見通し不明に: Open ブログ(2019年05月19日)
→ JDI の迷走の根源: Open ブログ(2019年06月13日)
最新の記述は、コメント欄だ。
→ JDI の迷走の根源: コメント欄
いずれも「破綻する(だろう)」という方向の記事だ。
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ところが、最近になって、事情がいくら変わってきたので、新たに方向を転じた形で言及しよう。
事情がいくら変わってきたというのは、次のことだ。
「 JDI は液晶メーカーとして働いてきたが、最近、業界(特にスマホ)が、液晶から有機ELにシフトしつつある。これに応じて、 JDI も(事業活動を)液晶から有機ELにシフトしようとしている」
ここで、問題が生じる。「液晶から有機ELへ」というのは、業界の趨勢かもしれない。しかしながら現実には、有機ELを生産しているのは韓国のサムスンしかない。このままディスプレイが有機ELになるとして、供給がサムスンの1社独占になると、価格決定権をサムスンに握られることになるので、需要の側(特に Apple )にとっては非常に都合が悪い。Apple としては、何としても、供給者が複数あった方がいい。その意味で、JDI が有機ELの生産に参入するとしたら、何としても支援したい。
これで話が済むなら簡単だが、さらに事情を複雑化する動きがある。中国企業もまた有機ELの生産に参入する見込みなのだ。
→ JDIの有機EL工場建設、中国・浙江省が支援=出資予定の中台連合 - ロイター
これを Apple が支援する方向らしい。相手は中国の BOE だ。
→ 中国製有機EL採用でiPhoneは復活できるのか サムスン、JDIの命運をも揺るがす「調達先変更」
さて。こうなると、Apple としては、特に JDI を支援する必要はなくなる。JDI がなくても、BOE があれば足りるからだ。
となると、JDI がいくら楽観していようと、先行きは大いに不鮮明となる。出資者だって、いつまた逃げ去るかわかったものじゃない。実際、逃げ去った花婿が出たばかりだ。
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困った。どうする? そこで、困ったときの Openブログ。絶対的に安心できるというほどではないが、とりあえずは最悪の事態を避けるぐらいの策を示そう。こうだ。
「 JDI にはそれなりの技術があるので、技術が(あまり)なさそうな BOE に、身売りすればいい。今ならば、高値で買ってもらえるだろう」
物には売り時というものがある。赤字垂れ流しの液晶メーカーである JDI は、これまでずっと誰も買ってくれそうになかったゴミ会社だった。しかし、「液晶から有機ELへ」という変化の時期にある今現在においては、たいして大きな業務能力がなくとも、可能性や技術力という夢みたいなものを担保にして、高値で買ってもらえる可能性がある。これまでの赤字をすべて帳消しにすることができるとは思えないが、とりあえずは赤字を最小化して、倒産・破綻という最悪の状態を回避することはできそうだ。だから、今この時期において、技術力を込みにして、JDI を中国 BOE に売却すればいい。
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これは最善の策だと思う。
ただし、例によって経産省の役人がしゃしゃり出て、「国産技術を中国に売るのは駄目だ。技術流出につながる」と言って、妨害しそうだ。
彼らは夢を見ているのである。「日本企業は最先端の技術力があるが、中国企業は物真似しかできない二流技術しかない」と。
とんでもないことだ。
・ 中国のファーウェイに匹敵する技術力は、富士通やNECにはない。
・ 宇宙開発でも、最近の中国に後れを取っている。
→ 中国が宇宙軍事分野で急成長
・ 軍事技術では中国は大幅に進歩した。
→ 中国の軍事技術が冗談レベルでないことが分かる4つの兵器
→ 中国が最新兵器を公開、軍事パレードで戦闘能力誇示
全体を見れば、中国の軍事力は米国をしのぐほどではないが、部分的にはすでに米国をしのいでいるようだ。米国の足元にも及ばないような日本は、もはや中国の敵ではない、と言える。戦闘機も、オモチャみたいな心神を開発するとかしないとか言っている日本に比べて、中国は J-20 という最新型のステルス戦闘機をすでに実戦配備しており、しかも、刻々とバージョンアップ中だ。日本のはるか先を進んでいる。
こういう中国を相手に、「技術流出を恐れる」なんてゴタクを言っているくらいだったら、さっさと赤字の垂れ流しを止める策を考えるべきだろう。
そもそも、液晶や有機ELや、軍事技術というようなものではない。技術が流出したって全然問題ではないのだ。それよりは馬鹿みたいに赤字を垂れ流す現状を是正するべきだろう。
特に、「今後は急激に業績が改善します」というホラを何度も何度も言ってきた経営陣は、すべて退陣してほしいものだ。夢みたいなホラを言うこと以外には能力がないからだ。嘘つきは退場するべし。
( ※ 嘘をついて政府から多額の出資を得て、それを赤字にして捨ててしまうような連中は、ただの詐欺師も同然だ。詐欺師は去れ。)
( ※ そもそも、IT分野では、どの会社も中国や韓国にボロ負けしているという状況なのに、ひとり JDI だけがまともに対抗できると思うのが、ただの妄想であるにすぎない。夢を見るのは寝てからにしろ。寝言は寝てから言え。)
[ 付記 ]
IT分野では日本企業が中国や韓国にボロ負けしているというのは、わけがある。日本の技術者がバカだからではない。日本の経営者が馬鹿だからだ。
たとえば、IT技術者のパソコンが大昔のボロパソコンばかりだ、というような大手企業は、ざらにある。
→ 会社のPCメモリを4GB→8GBにしようとしたら、激しく抵抗する人たちが
→ 5年いた富士通を退職した理由(メモリ4GBのセレロン)
→ 会社のパソコンのメモリ4GBっておいっ。 | だらごろ日記('A`)
→ 4GBとか未だにHDDを使っているとかそんな非人道的な環境での作業を強いられている
→ 社内の厳しいIT環境を退職の理由の1つと記した退職エントリ、エンジニアから多くの賛意が寄せられる
→ 【社内SEはつらいよ】PC調達の無理難題なコストカットに挑む
ここでは、業務改善のための最低限のことさえ理解できていない経営者が多い、ということになる。経営のイロハもわからないような経営者が多いのに、まともな経営などできるはずもない。ハイスペックのマシンを支給するだけでなく、働きやすい環境を十分に用意してくれるような、中国や韓国の企業と伍して戦うなんて、夢のまた夢だろう。
経営者がどうしようもない馬鹿だらけである日本のIT企業が、中国や韓国に後れを取るのは当然なのである。
※ 中国のファーウェイや韓国のサムスンは、国内企業でもトップクラスの高給を払うことで知られている。当然、最優秀の人材が集まる。日本のIT企業は全然ダメで、給料は低めである。
※ 日本のIT企業は、たいていが日産のゴーンと同様で、コストカットすることばかりを考えている。「コストカットして、モデルチェンジをするための開発費用も出さなくしていたら、著しく旧態化した製品ばかりになって、車が売れなくなった」というのが日産だが、これと似たようなバカげたコストカット主義に陥っているのが、日本のIT企業だ。だから、会社支給のパソコンを旧スペックにして、業務を著しく停滞させる。馬鹿丸出し。全部が日産のようになっている。
2019年10月03日
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生産を行う事を良しとするかどうかですね。