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サウジアラビアの石油施設を、ドローンが攻撃した。
この件は、前にも述べたとおり。
→ ドローンを撃墜するには?: Open ブログ
ここでは、イランの飛行機型のドローンが使われたと紹介した。
→ 中東で台頭 イラン製ドローンの脅威 | NHK
→ CNN : イラン、新型国産ドローン披露 米撃墜機の技術を「複製」
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その後、新たにわかったこともある。
このドローンは、Al-Quds または Sammad 3 と呼ばれるタイプらしい。
→ Al-Quds
→ sammad
攻撃した場所は、下記だ。
ここがその場であることは、次のページの画像からもわかる。
→ サウジ石油施設攻撃、国家防衛の見直し迫るドローンの脅威:AFPBB
→ Satellite photos show extent of damage to Saudi Aramco plants
似た動画もある。
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不明な点もある。「どこから発射されたか?」ということだ。これについては、米国は「イランから」と主張して、イランは「違う」と否定した。一方で、フーシ派は「自分たちだ」と主張した。そのどれが正しいのか、不明であるようだ。
→ (時時刻刻)米イラン、遠のく対話 サウジに攻撃:朝日新聞
米国は、「施設の北側または北西側が破壊されているから、南部にいるフーシ派ではない。ゆえにイランだ」というふうに見なしている。
一方で、「ドローンは方向を転じることができるから、米国の主張は成立しない」という批判もあるそうだ。また、「ドローンがイランからペルシア湾を渡ってくれば、米軍の監視網に引っかからないはずがない」という批判もあるそうだ。(上記記事)
さて。ここで私が名探偵ふうに推理すれば、こう言える。
「ドローンがイランからペルシア湾を渡るならば、発見されるかどうかにかかわらず、発見される危険がある。そして、もし発見されたなら、イランが攻撃をしたという明白な証拠を握られる。そうなったら、圧倒的に不利な立場に立たされる。場合によっては、武力行使の対象にされかねない」
つまり、イランにとってはあまりにも危険があり、デメリットが大きすぎる。
その一方で、メリットが何もない。サウジを攻撃しても、イランにとっては何の利益にもならないからだ。(戦争中ではないのだから。)
他方、サウジを攻撃することで、明らかに利益を得る集団がある。それはフーシ派だ。彼らはまさしくサウジと交戦中なのだから、攻撃することのメリットは大いにある。
以上からして、ドローンを飛ばしたのはフーシ派だ、と断言していいだろう。ただしその機材は、イランから仕入れたものだろう。イラン以外には提供できる出所がないからだ。
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さて。謎は解決したが、それとは別に、重要なことがある。こうだ。
《 サウジの石油施設を破壊した「軍事用ドローン」がスゴすぎ! たった160万円でレーダー無力化 》
時速は240キロ、新幹線よりやや遅いぐらいで、ミサイルの4分の1。飛行距離は1500キロ、これまで100〜150キロとされていた状態から一気にのびた。推定160万円でできるため「世界的に拡散傾向」(竹内さん)にある。
青木理(ジャーナリスト)「これが一般化すると、何千億円もかけてイージス・アショアを作ろうなんていっても、ミサイル防衛は無力化される。ある種、軍事的革命だ」
野上慎平アナウンサー「軍事ドローンは事前に緯度経度をプログラムし、先端カメラで目標を決め、ドローンごと突っ込む」
司会の羽鳥慎一「それで実際に大きな被害が出ました」
( → J-CASTテレビウォッチ )
こうなると、従来の軍事常識が一変する。
(1) 迎撃システムの無効化
陸上イージスなんかを用意している日本は、完全に時代遅れとなる。北朝鮮がドローンで攻撃してきたら、手も足も出なくなる。
理由は下記。
→ CNN : 2万円の市販ドローン、4億円のパトリオットで撃墜
2万円というのはホラ気味で、そいつはローター型の市販品。今回の飛行機型の軍事用品は、先の記事に示したように、160万円程度であるようだ。それでも、160万円のドローンを4億円のパトリオットで撃墜するのでは、割に合わない。そもそも、飽和攻撃に対して無力である。ドローンが 100以上も来たら、20ぐらいしかないパトリオットでは対処できない。
(2) 新たな迎撃システム
そうであれば、ドローンを撃墜するために、新たな迎撃システムを開発するべきだろう。
既存のレーダーでは、低空を飛ぶ小型のドローンは発見しにくい。そこで、低空専用のレーダーや赤外線カメラで、あちこちで分散的に検出する装置が必要となる。
それと連動させて、撃墜するためのシステムも必要だろう。具体的には、
・ AI で自動照準する高射砲
が有効だろう。だから開発するべきだ。
(3) 戦闘機型のドローン
敵のドローンは爆撃機型であるから、これを迎撃するための、戦闘機型のドローンを開発するといい。爆撃機と戦闘機が戦えば、戦闘機が圧勝するに決まっているからだ。
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以上の (2)(3) は、AI 技術が必要なので、日本でもうまく開発できるだろう。アメリカほどではなくとも、アラブ諸国や北朝鮮なんかよりは上手に開発できるはずだ。だからそれを開発して、配備するといい。
そのための費用は? 陸上イージスを解約すればいいだろう。それで数千億円もの金が浮く。
[ 付記1 ]
「発射した場所はイランの南西部だ」という見解もある。
→ 米、サウジ攻撃は「イラン南西部から」 月内供給復旧で原油下落 - ロイター
米CNNテレビは17日、米国とサウジの当局が、攻撃はイラク国境に近いイラン国内の基地から行われた可能性が「極めて高い」と判断したと伝えた。無人機(ドローン)と巡航ミサイルが使われ、米国とサウジのレーダー網が厳重なペルシャ湾を避け、イラク南部とクウェート上空を通過した可能性があるという。 米
( → ペンス氏「臨戦態勢」 イラン牽制:朝日新聞 )
「イラク南部とクウェート上空を通過した」ということは、「発射した場所はイランの南西部だ」ということになる。下図からわかる。(南西部というより、西部の南端。)
※ サウジの石油施設は、リヤドの東側にある。
では、本当にそうか? いや、これは事実というよりは、米国の願望だろう。何としてもイランのせいにしたいだけだ。
現実には、もしそうだとしたら、イラクやクウェートの領空を侵害することになるから、両国を敵に回すことになる。ただでさえサウジと敵対していて大変であるのに、周辺の国をみんな敵に回すようなことをするはずがない。
また、イラクやクウェートの監視網に引っかかる危険も十分にある。このあたりは(レーダーのある)空港が多いのだから、なおさらだ。
こんなところで、あえてドローンを飛ばすはずがない。イエメンからなら(フーシ派に頼んで)いくらでも攻撃できるのに、わざわざイランから攻撃するはずがない。
米国の言っていることは、ご都合主義のこじつけとしか思えない。
[ 付記2 ]
イエメンから 1000km もドローンが飛んだとは思えない、という見解もある。
→ 油田攻撃:はてな匿名ダイアリー
しかし、(有人でない)無人機だし、高さも低空飛行なので、直線的に飛ぶことは問題あるまい。サウジだって、ドローンを撃墜する兵器を用意していなくて、対抗するすべがないのだから、直線的に飛ぶことは可能だ。
また、搭載する爆弾を軽くすれば、航続距離を伸ばすことも可能だ。
なお、発射した場所は、朝日の地図では「イエメン西部」とされているが、私は「サウジアラビア内部の砂漠地帯」だと思う。このあたりに無人地帯はいくらでもある。
[ 付記3 ]
被弾した場所は、施設の北西である、と言われる。ただし、写真を Google マップと照合して確認したところでは、北西でなく、ちょうど西側だと思える。これはどうしてか?
私の推測は、こうだ。
当日は9月14日で、満月だ。月は零時に真南にある。( → 出典 )
ドローンが攻撃した時刻は、14日の未明だ。この時期には、月は西側に傾いている。ならば、月光を浴びた物体がよく見えるように、ドローンは西側から近づく必要がある。だからドローンは西側からぶつかったのだ。
( ※ ドローンはカメラで対象を見つけてぶつかる。)
日本や韓国の原発施設がドローンの標的になったら日本にとっては大変だよ
しかも、比較的ローリスクで。
「数千億円かけたサウジ防空システムに欠陥 わずか数万円のドローン攻撃に無防備」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/09/post-13027.php
日本の陸上イージスもまた同様。
そうであれば、ドローンを撃墜するために、新たな迎撃システムを開発するべきだろう。
既存のレーダーでは、低空を飛ぶ小型のドローンは発見しにくい。そこで、低空専用のレーダーや赤外線カメラで、あちこちで分散的に検出する装置が必要となる。
軍用の高出力のレーダーは設置できる場所が限られます。
>>それと連動させて、撃墜するためのシステムも必要だろう。具体的には、
・ AI で自動照準する高射砲
が有効だろう。だから開発するべきだ。
何を想定しているかわかりませんが、艦艇に搭載された火砲から、地上配備の対空戦車に至るまで、先進国が保有するのは第2次世界大戦後すぐからレーダー連携の自動照準に対応済みです。(なんならレーダーとの連携は大戦中からあった)
(3) 戦闘機型のドローン
敵のドローンは爆撃機型であるから、これを迎撃するための、戦闘機型のドローンを開発するといい。爆撃機と戦闘機が戦えば、戦闘機が圧勝するに決まっているからだ。
大型のドローンを爆撃機型と想定しているとして、戦闘機型が圧勝するという根拠は?今時の航空戦は地上レーダーもしくは早期警戒管制機で相手を先に発見し、データリンクで情報提供、遠距離からミサイルを発射し退散する、というのが基本なので、別に機体がどうかとかあまり関係がない。先に相手を見つけて、先に攻撃したほうが勝ち。