2019年09月18日

◆ 児童虐待で、児相と警察は?

 児童虐待に対して、児相と警察はどういう関係であるべきか、という問題がある。

 ──

 児童虐待の事件で母親に懲役刑の判決が出た。
  → 目黒虐待死、母に懲役8年 地裁判決「夫の暴行を容認」 心理的DV影響「否定できぬ」:朝日新聞
  → 結愛ちゃんの母、「夫に隷属関係」 浮かんだ児相の課題:朝日新聞

 後者の記事では、児相の問題が示されている。「どう対処するべきか?」という問題を示している。その上で、「職員の力量を上げる必要がある」というふうに児相の側が対処するべきだ、という見解が紹介されている。(いかにも表面的で人任せの方針だ。情けない。何の解決にもなっていない。)

 ── 

 さて。この件については、前に別の記事もあった。
 全国の児童相談所(児相)で、児童虐待の疑いがある家族の情報を警察とどう共有するかをめぐり、対応が割れている。重大な虐待を見逃さないよう情報をすべて提供して共有するか、保護者との信頼関係を重視して警察には伝えないケースを設けるか――。ジレンマを抱えている。
 6月に成立した改正児童福祉法などの検討過程では、児相への警察関係者の配置を法制化することも案に挙がったが、児童福祉の現場に警察がどの程度関与すべきか与党内でも意見が割れ、見送られた。代わりに政府は威圧的・暴力的な保護者に対応するため、児相への警察OBの常勤的な配置や警察職員の出向を、運用面での連携強化として進める方針だ。 
( → 虐待情報、警察とどう共有? 親は警戒、児相のジレンマ:朝日新聞

 大きな被害を未然に防ぐには、警察への情報提供が必要だ。しかし、警察への情報提供が全面的になされると、親が非協力的になるので、児相の仕事がやりづらくなる。そういう二律背反がある。
 そこで、「児相への警察OBの常勤的な配置や警察職員の出向」という形が取られた。原則としては児相のままだが、そこに警察出身者が入ることで、対応力を高める、ということだ。一種の折衷策である。とりあえずは、双方の「いいとこ取り」をしている形だ。
 なるほど、と思った。これで問題は解決しそうだ、と見えた。

 ──

 ところが、である。実はそうではない、と判明した。冒頭の記事にはこうある。
 品川児相の職員は昨年2月9日に自宅アパートを訪問したが、優里被告から「児相の関与はもう終わっている」と断られた。当時1歳の弟は足元にまとわりついていたが、結愛ちゃんの姿は確認できなかった。どこにいるか聞くと「児相が関わると不安定になる」などと言われた。
 職員は5分ほど説得を続けたが、結愛ちゃんと会わせることに強い抵抗を見せたため、「強い対応で関係を損ねるより、母親との関係を大事にすることが効果的な支援につながる。少しずつ関係を築いたほうがよさそうだ」と判断。法改正で08年から、訪問を拒んだり、虐待が予想されたりする場合、児相は裁判所の許可を受けて強制的に家に立ち入れるようになっているが、「信頼関係の構築」を重視した結果、結愛ちゃんを救うことができなかった。

 親が強い態度に出れば、児相の介入を拒める。これはつまり、「親が(善人でなくて)犯罪者であれば、児相は対応できない」ということだ。
 その場合も、法律上は、「裁判所の許可を受けて強制的に家に立ち入れる」となっている。建前では、解決策はある。しかし、それは犯罪者に対する「家宅捜索」も同様であるから、警察の仕事である。児相にとってはちょっと手に負えそうにないことなのだ。
 つまり、「殺人をするような犯罪者に対応せよ」というのを、児相に求めるのは、無理難題というものだ。(たとえ担当者が警察OBであっても、だ。どうせ上司だって決裁してくれないだろうし。)
 つまり、すごくひどい相手に対しては、先に述べた方法(折衷策)では解決できないわけだ。

 ──

 困った。そこで、困ったときの Openブログ。うまい策を示そう。こうだ。
 「この問題は、論理的に考えるだけで、簡単に解決できる。つまり、場合分けして考えればいい。
 原則的には児相で対応できる。だが、例外的に犯罪的な相手には児相では対応できなくて、警察が必要となる。ならば、どちらか一方に任せるのをやめて、双方で分担すればいい」


 この方針の下で、次のように分担を決める。
 「原則的には児相で対応するが、例外的には児相では対応できない特別な相手(犯罪的な相手)がいる。こういう場合には、バトンタッチの形で、警察に対応を委ねる」


 上記は、(一律でなく)可変的な方針だ。
 これまでは「児相か、警察か」という二者択一だったから、どっちにしてもうまく行かなかった。そこで、「児相から警察へ」というバトンタッチする方針(可変的な方針)を取れば解決できるのだ。
 そして、そのことは、物事を論理的に考えるだけで、自動的に導き出されるのである。

( ※ 逆に言えば、この問題が今なお論議されているのは、人々が物事を論理的に考えることができないからだ。記事によれば、「児童福祉の現場に警察がどの程度関与すべきか与党内でも意見が割れ」とのことだから、与党内の人々は非論理的な発想しかできないのだろう。場合分けして考えるということすらできないのだろう。これではいくら論議しても無駄だ。無駄な議論ばかりを繰り返している。船頭多くして舟陸に上がる。かくて今後も、殺される児童は絶えないのだろう。かわいそうに。)



 [ 付記 ]
 「児相から警察へバトンタッチ」という解決策を示した。ではどんな場合に、バトンタッチすればいいか? そのための具体的な基準は、どんなものか?
 答えよう。たとえば、次のような基準を示せばいい。
  ・ 児童の生命に危険がある可能性がある。
  ・ 親の態度が非協力的である。

 これらを(点数付けなどで)総合的に評価すればいい。
 先の目黒の家庭の例で言えば、この二点ではいずれも満点を取るだろうから、満点という判定で、警察送りとなる。

 その後は、警察が強制調査に踏み込む。あくまで犯罪の疑いがあるとのことだから、家宅捜索や証拠押収などをする。虐待の証拠があれば、対象者を逮捕して、留置所にぶち込む。

 それほどひどくはなくとも(虐待の証拠がなくとも)、任意同行のあとで事情調査をする形で、警察で扱うことになる。当の親はビビるので、警告を受けた形になる。
 ただ、親が頑強に拒否する場合には、すでに明白な暴行がなされているのが普通だから、あっさりと暴行の証拠が見つかって、あっさりと逮捕に至るのが普通だろう。同時に、被害児童は養護施設に送られるはずだ。児童は養護施設へ。親は刑務所へ。
 
posted by 管理人 at 21:00| Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
消防や各省庁は普段から警察と同じ現場で仕事をしています。話し合う時間などなく,初動からすべてが同時進行です。
互いに統率と訓練が行き届いている組織であり,縄張りを分けるガイドラインもしっかりと決められているから円滑にできる行動です。それでも現場で揉めてしまうことがあります。

こう考えると,
いまの児童相談所に足りないものと,警察機関に足りないものが見えてきます。
Posted by 先生 at 2019年09月19日 08:34
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