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台風で停電したことが問題となっている。停電そのものの問題もあるが、それに付随する問題もいくつかある。
給水については、給水車による対応ができたこともあって、とりあえずの応急処理ふうの対処はできたようだ。
一方、信号の問題もある。これについては、部分的には小型の発電機によって解決した例もあるが、何しろ数が多いので、なかなか解決ができないでいるようだ。そのせいで、交通事故も発生している。
市原市。停電で信号が消え、9日夜は暗闇に包まれた。
( → 停電いまだ60万戸超す 暗闇の街、エアコンのない夜:朝日新聞 )
房総半島南端の千葉県館山市では11日も、交差点の信号機がほとんど作動していない。夜は暗闇のなか、車がライトの有無を確認して最徐行で通る。
( → 動かぬ信号、イオンに殺到、給油制限…停電続く千葉の今:朝日新聞 )
千葉市の中心を抜けると、ところどころで信号が消えていて、渋滞が発生していた。
( → NHKスペシャルも予測できなかった長時間停電 - 論座 )
信号の停電も3カ所ありました。そのうちの1カ所は、かなり交通量の激しい交差点です。
( → 千葉の小児科医が台風15号と大停電から考えた事 - 論座 )
千葉・南房総市。台風上陸から6日目の14日も、信号は消えたまま。
( → 初の週末 多くのボランティア参加 信号消え - FNN )
君津市では正午過ぎ、停電中の交差点で軽乗用車2台の接触事故が発生。75歳と65歳の男性が怪我をして、病院に搬送された。
事故現場となった交差点では、事故発生から1時間余り経った午後1時20分、臨時の発電機をつなぐことによって、交差点内の信号が仮復旧した。
( → 台風で“大停電”の千葉を猛暑が襲う! - FNN )
このような問題は、千葉の田舎ならばまだ問題は少なめだが、東京などの大都会で起こったとしたら、非常に大きな問題となるだろう。交通量が非常に多大であるがゆえに、信号がなければ交通が麻痺してしまうからだ。道路交通が死んでしまうのも同然となる。バスの通勤・通学ができなくなるし、物流もストップする。コンビニやスーパーなどへの配送もできなくなる。
とすれば、次の大震災で都市部に多大な停電が起こったら、そのときには今回の千葉や神奈川南部の規模とは比較にならないほどの、大規模な混乱が起こるのだ。
そして、そうわかっているからには、今のうちに何とかして(予防的に)対処しておくべきだ。
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では、対処とは?
すぐに思い浮かぶのは、(記事にもあるような)発電機を多数用意しておくことだ。そして、停電が起こったら、それぞれの信号機に発電機を接続する。
しかし、これは容易ではない。発電機を購入するコストもかかるし、発電機の操作もそう簡単ではないし、常に大量のガソリンを用意・保管しておくことも現実的でない。そもそも、どこかの保管場所からあちこちに配送することだけでも、かなりの時間と手間がかかるので、停電後に発電機を取り付けるまでのライムラグがある。かといって、発電機を交差点にあらかじめ設置しておくのも現実的でない。
結局、「発電機」という案は、少数の大きな交差点だけに絞るのならばまだしも、あらゆる信号機にすべて対処するのは難しそうだ。
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困った。どうする? そこで困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「それぞれの信号には、安価な自動車用のバッテリーを設置する。場合によっては、複数台を設置する。
いざ停電が起こったら、それぞれの交差点で、交流電源から、バッテリーへと、電源を自動切り替えする。
これで2〜3日ぐらいはもつだろう。その後、バッテリーが空になりかけたら、ときどき発電機を持ち込んで、発電機でバッテリーに充電する」
これなら、信号機におけるメンテナンスは簡単だ。発電機からバッテリーに充電する手間はかかるが、それは、少数の担当者がやれば足りる。また、その充電は、時間をかけてかわるがわる処理すればいいから、処理能力が足りなくなることもない。(いっぺんに大量処理する必要はない、ということ。)
また、この方法だと、少数の発電機だけがガソリンを使うから、あちこちで大量のガソリンを使うこともない。その意味でも、安全性は高い。
ついでに言えば、コストはこうだ。
・ 自動車用バッテリーは 5,000〜15,000円前後。
・ 小型の発電機は 50,000〜150,000円前後。
ざっと 10倍の差がある。それゆえ、発電機よりもバッテリーの方が、コスト的にも有利である。
【 追記 】
コメントで疑問が寄せられた。このコメントは予想していたのだが、説明していなかったので、説明しよう。
Q バッテリーの 12ボルトでは、信号機の 100ボルトに対応しないのでは? 昇圧器が必要だろう。
A 信号機は 100ボルトの電力を使っているわけではない。100ボルトをいったん減圧して、12ボルトぐらいにまで下げてから、直流の形で LED に通す。LED (端子)は、1.5〜6ボルトぐらいで動作するような設計になっている。
Q 自動車のバッテリーは、数時間も持たないだろう。
A 最近の信号機は LED だから、電力をあまり消費しません。ちなみに、単三乾電池を使う自転車用の LED でさえ、数十時間の連続使用が可能です。まして、自動車用バッテリーなら、かなり長期間にわたって持続します。それでもどうしても心配ならば、バッテリーを複数使ってもいい。
停電は一斉におきるんだから、充電が必要な時期も同時期に一斉に来るでしょ。大量処理する必要がないってどういうことですか?
空っぽになる前に充電できる、ということ。別に、空っぽになってから充電する必要はない。早めに充電すれば、時期をずらせる。
それぞれの交差点で充電を行うと、
充電開始時と、充電終了+発電機回収時の2回、手間がかかり、
また充電の時間(人がはりつく必要はありませんが)もかかります。
市役所や警察署あたりに充電センターを作って、
充電済みの充電池を交差点に配送するのが良いのではないでしょうか。
充電センターの発電機を、余裕があるときは、信号機以外にも使用できますし。
充電済み充電器を配送する経路を、
あらかじめ数パターン用意しておき(災害によって通行不可となる道もあるでしょう)、
定期的に交換して回るのはどうでしょうか。
なんとなくゴミ収集車みたいですね。
配送する配達車の上で、走りながら充電する、という手もある。電池を 20台ぐらい搭載して、いっぺんにたくさん充電しながら、かわるがわる交換する、という方法。
なお、充電にかかる時間は
50%まで 20分
70%まで 3時間
100%まで 6時間
→ https://8971.info/news/battery/chargetime
ならば、70%まで充電するのが現実的だ。場合によっては、50%まででもいい。
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《 訂正 》
あらかじめ大容量のバッテリーを設置して、あとで充電するときは 20分で 50%まで、というのが、最もコスパがいいですね。
バッテリーの費用はわずかだが、再充電のための人件費や運用費は多大にかかるので、バッテリーを大きくして、時間を減らす方がいい。
普通は数日以内に復旧することが見込めますので。
> これで2〜3日ぐらいはもつだろう。その後、バッテリーが空になりかけたら、
「空になりかけたら」という仮定の場合。
その仮定が成立しない場合には、すでに復旧しているので、何もしないでいいことになる。
信号機のために警察が設置した非常用発電機 盗難相次ぐ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190918/k10012087171000.html
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※ この点、バッテリーならば盗まれない。どうせ盗むなら、警察のものを盗むより、路上の民間車のものを盗むだろう。
※ それでも念のために、固定して、施錠しておくといい。