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まずは現場を探る。そのために、現場写真を見る。
千葉県君津市で東京電力の50メートル高圧鉄塔2本が倒壊 pic.twitter.com/rbuT7z0y83
— しろくま Hero (@skiphero) September 9, 2019
そばに渦巻きがあるのがわかる。これを手がかりに地図を探すと、一発でわかる。
この右下(南東)にある鉄塔が倒れたのだ、とわかる。
ただし、倒れた鉄塔は二つだ。もうひとつある。それはどこか?
NHK の動画を見ると、この鉄塔の右隣(東側)にある鉄塔だ、とわかる。
→ 約50mの送電線鉄塔 2基倒壊 千葉 | NHK
それを探すと、東側 300メートルにある鉄塔が見つかる。
同じ箇所を、Google マップで見る。(わかりにくいので、拡大するといい。)
その全体を、3D で表示する。上記の Google マップでも拡大表示できるが、とりあえず、下に画像を置く。(クリックして拡大。)

倒れた鉄塔のうち、左側のものは丘の上にあり、右側のものは丘の下にある、とわかる。
また、鉄塔の倒れた方向は北側だ、とわかる。
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以上の事実から、次のことが推定される。
「鉄塔が倒れるとしたら、北側か南側だ。なぜなら、東または西に倒れようとしたら、ワイヤで結びついている隣の鉄塔が支えてくれるので、倒れにくいからだ。今回は、北側に倒れたので、南からの風が吹いたと推定される」
「一方、現地は丘の上にあるので、丘の上では東から吹く風が急激に強くなる。そのせいで、丘の上の鉄塔は倒れやすい。今回は、渦巻きのそばの鉄塔が最初に倒れたのだと推定される」
「渦巻きのそばの鉄塔が最初に倒れたときには、東から吹く風が吹いていた。このとき、隣の鉄塔はワイヤで引っ張られた。そのせいで、渦巻きのそばの鉄塔に引き続いて、いっしょに倒れた。死なばもろとも、という感じで」
以上をまとめて言おう。
このときは、南東からの強い風が吹いていた。それが丘を上がることで強まって、1番目の鉄塔(渦巻きのそば)を倒した。そいつに引きずられる形で、2番目の鉄塔(東隣の鉄塔)も倒れた。
1番目の鉄塔は、ことさら強い風によって倒れた。2番目の鉄塔は、丘の下にあるので、ことさら強い風はなかったのだが、1番目の鉄塔から伝わるワイヤの力によって、共倒れの形で倒れた。(もちろん強い風の影響もあったので、それとあいまってのことだ。)
なお、風が南東だったとすれば、そのときの台風の中心の位置は、すぐ西側だったのだろう。位置関係からして、台風の中心がかなり近くにあったことになる。そのころの時刻もおおよそ推定される。(午前3時ごろか。)
以上が、本件についての私の考察だ。
[ 付記 ]
教訓としては、こうなる。
「丘の上の鉄塔は倒れやすいので、特別頑丈に作る必要がある。風速 40メートルどころか、60メートルや 70メートルでも倒れないようにすることが必要だ。そのためには、鉄塔全体を頑丈にする必要はなく、鉄塔の下部付近と基礎部分を頑丈にするだけで足りる」
ちょっと見たところ、今回は鉄塔の下部付近の鉄骨がひん曲がってしまったように見える。この部分の鉄骨が細すぎたのだろう。もっと太く頑丈にすればいいはずだ。
全国的に、鉄塔の下部の鉄骨を補強するとよさそうだ。特に、丘の上では。
という記述がありましたが、削除しました。地形的に見て、妥当ではないと思えるので。
1 何メートルの風速に耐える云々は静圧(一定の安定した風量)的に計算した値であって、実際の風は強弱があり強く吹かれ
撓んだ状態から風が弱くなったとき元に戻り再度強風になったとき、揺れ戻しと合算され折れ曲げ力は増える。
簡単に言うと「共振」が被害を増やす。これはビルでも橋でも同じ。だから風速△△まで耐えるはず。にさほど意味はない。
2 鉄塔が雪の重みでなぜ倒れるか。文字だけだと難しいが、電線が10sの雪の重みにより1m中央部が撓んだとする。
撓んだ分電線は引っ張られるので、電線取り付け部は20ミリ移動する。
1000ミリ÷20ミリ=50倍 つまりテコの原理で取り付け部の張力は雪の重みの50倍の500sになる。(粗く単純化した)
これは雪の場合だが風でも同じだ。雪は鉄塔の鉛直方向には悪さをしないが、風は鉄塔自体にも折れ曲がる力がかかる。
鉄塔の配置と風向きによっては、この50倍の電線の張力が加わり、さらに共振することで容易に折れてしまう。
この2点がTVの解説者に欠けている。
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