2019年09月14日

◆ 賞味期限切れの水・食品

 (災害時に)賞味期限切れの水を飲んでも大丈夫だ、という話が話題になった。当り前ふうだが。……

 ──

 これは次の記事だ。
  → 賞味期限切れの水は飲めるので台風など非常時に捨てないで!

 一部抜粋しよう。
ペットボトルの水に表示されている賞味期限は、飲めなくなる期限ではない。長期保管中に水が蒸発し、表記してある内容量を満たさなくなるため(計量法に抵触するため)、規定の内容量をきちんと満たすための期限である。
 ただでさえ水が不足する非常時には、五感で味を確かめて、飲用として使うことは十分可能だ。

 こんなことは当り前だと思ったのだが、不安視する人がけっこういる。はてなブックマークから引用しよう。
kz78  「五感で味を確かめて」なんて注意喚起で逃げるくらいならこんな記事書くな。暑くて水も不足してるところに、腹を下したら脱水で死にかねん。安全に倒すなら飲まないのが正解。

 ──

doas1999
 とはいえ、期限切れの水で腹痛になってもメーカーに責任問えないし、行政もそんなリスク負って飲用として配りたくないだろ。
( → はてなブックマーク

 「腹を下したら」「腹痛になっても」という声があるが、そんなことはありえない。ただの水は腐ることはないのだから、悪影響を及ぼすはずがないのだ。(微生物の繁殖する有機物と間違えてはいけない。)

 ただし、絶対に安全だというわけではない。次のことが起こる危険性はある。
 「紫外線を浴びたプラスチックが劣化して穴があいたり、容器を乱暴に扱って物理的に穴があいたりすると、その穴から有機物と微生物が混入する」

 こういう危険は、なくはない。だから、「絶対に安全だ」とまでは言えない。

 しかしそれは、時間から来る経年劣化ではなく、保管方法から来る容器破損である。あくまで保管方法がまずかったというだけのことだ。水そのものに問題があるわけではない。

 だから、賞味期限切れの水については、「長い時間がたったからそろそろ危険だ」と思うのはまったくの非科学的な判断であり、むしろ、「保管は大丈夫だったかな? 穴はあいていないかな?」と調べることの方が大切なのだ。 

 そして、穴があくことなくきちんと保管されていれば、賞味期限切れの食品はかなり長く利用できるのである。金属缶の缶詰ならば、(錆びない限りは)10年以上もすぎても食べられることもある。レトルト食品だと、少し期限は短くなるが、それでも5年以上でも大丈夫なこともある。
 ちなみに、私は昨日、賞味期限が5年前だったサケ缶を食べたが、何の問題もなかった。もちろん、缶は少しも錆びていなかった。

 ※ 鼻のいい人なら、腐った臭いのセンサーが発達しているから、自分のセンサーで「食べられるかどうか」を判定できる。普段から料理していない人だと、センサーが未発達かもしれない。そういう人だと、自分を信じられないので、自分よりも数字を信じたがるのだろう。



 [ 付記1 ]
 「だったら賞味期限とは別に、食べられる期限を記せ」
 と要求する人もいる。(はてなブックマーク)
 しかし、そんなものは無意味なのだ。この手の食品は、時間で品質劣化が起こるのではなく、保存方法で品質劣化が起こるからだ。時間だけに着目しても無意味であり、保管方法に着目するべきなのだ。
 そもそも、保管方法がいい加減なせいで、容器に穴があいていたとしたら、賞味期限になる前であっても安全ではない。時間ばかりを気にして、自分のセンサーを無視すると、とんでもないことになりがちだ。

 [ 付記2 ]
 「賞味期限と消費期限は違う」
 という話題もあるが、これは本項では扱わない。知りたければ、別途、調べて欲しい。

 [ 付記3 ]
 賞味期限と消費期限は、発音が似ているので、似た内容だと思われがちだ。
 「どちらも食べていい期限を示す。ただし扱う品目は違う」
 というふうに。
 しかし実は、そうではないのだ。賞味期限は「食べていい期限」ではない。どちらかというと、「保管してもいい期限の目安」であるにすぎない。だから、名前を変えた方がいいかもしれない。

 新たな名前としては、「保管期限」というのもあるが、「この期限を越えたら保管できない」というふうに誤解されそうなので、現状と大差ないだろう。
 それよりはむしろ、「目安期限」という方がよさそうだ。「ただの目安にすぎないので、多少は期限を越えても大丈夫だし、むしろ自分の鼻や舌に頼れ」という感じがある。

posted by 管理人 at 10:00 | Comment(2) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「賞味目安」でいいではないでしょうか。
Posted by 権兵衛 at 2019年09月15日 09:51
食品衛生法とJIS法の矛盾関係が解決されない限り,この手の話は水掛け論ですね。
Posted by 先生 at 2019年09月15日 10:45
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