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地震で水道管が壊れて断水するのなら、わけがわかる。しかし、台風で水道管が壊れたわけでもないのに、どうして断水が起こるのか?
「浄水場が停電で動かないせいかな? しかしまさか、自家発電装置を備えていないわけがないから、そんなはずはあるまい」
と思ったのだが、……
あにはからんや。まさしくそうであった。親亀こけたら、皆こけた。電力こけたら、水もこけた。
この日、給水元の浄水場が停電した影響で午後3時ごろから断水が発生。
( → <台風15号>15市町7400戸で断水 東金では給水車に長蛇の列 | 千葉日報 )
今回の断水の原因は停電だ。停電によって浄水場が作動しなくなる、ポンプが動かなくなり、水が汲めなくなったり送れなくなったりする。
マンションなどの集合住宅の場合、水道の給水管から屋上などにある貯水槽に水をポンプアップするが、それが停電で止まっている。
( → 断水時に水をいかに確保するか、いかに利用するか(橋本淳司) )
台風15号 の影響で、 #停電 に伴う送水ポンプの停止により、10日午後4時時点で、県内19市町の8万3913戸が #断水 に見舞われています。水道管など設備面の故障はなく、停電が解消し次第、各地域とも給水が再開される見通しです。
( → 千葉日報 / Twitter )
なお、念のため千葉県水道局のサイトに行ってみたら、次の記述があった。
地震、落雷等の自然災害や人為的な事故などにより、水道水の断水・減水や赤水及び濁り水等が発生する恐れがある場合や発生した際、また、その他緊急事態が発生した際に、お客様に速やかに情報提供いたします。
( → 緊急情報/千葉県 )
ほう。それで、どんな情報があるのかな……と思って調べたら、何も情報がなかった。皆無である。「速やかに情報提供いたします」という文言があるだけで、何も情報提供していない。
何だこれ。漫才でもやっているのか?
一つ上の URL に行くと、これだ。
→ 千葉県営水道/千葉県
そこには「新着情報」として、9月11日の発表文書が三つあるが、断水とは何の関係もない話だけ。何やっているんだか。
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ともあれ、原因はわかった。停電の影響だ。そして、これは次の大震災でも必ず起こることだ。
ただ、東日本大震災のときには、断水のことはあまり話題にならなかった。
いちおう調べてみると、次の記事が見つかった。
東日本大震災やその余震の影響で断水した水道は19都道県の257万戸に及ぶことが4日、厚生労働省の調査でわかった。最も多いのは茨城県の80万戸で、断水率は81%だった。浄水場や水道管の液状化被害が目立ったという。
自治体からの報告をもとに今年1月から東北や関東甲信越で被害状況を調べ、同日開かれた審議会に報告した。全体の3割程度は停電が原因とみられる。
全体の断水率は15%で、38万戸は余震で再び断水していた。津波の被害を受けた4万5千戸以外は全て復旧している。
( → 東日本大震災の断水、257万戸 厚労省調査 - 東日本大震災:朝日新聞 2012年12月4日 )
あのときは関東では計画停電があったが、断水という騒ぎはほとんどなかったように記憶している。当時は本サイトでも、断水については何も言及しなかった。(サイト内検索で確認済み。)
結局、東日本大震災では、関東は停電被害も少なかったし、断水被害もほとんどなかった。しかし、次に大震災が起こったら、そのときは停電にともなって、断水も起こるのだ。そのせいで、水不足のせいで、人々は悲惨な目に遭う。特に、そのときが夏であれば、(水不足による)熱中症のせいで、死者が出そうだ。前項のように。
→ 千葉で(熱中症)死者2名: Open ブログ
というわけで、「停電による断水」には、今のうちに対処しておくべきなのだ。できれば、ゴミ発電をそばに併設して、その電力で発電することにすればいい。これなら、一石二鳥となる。
ま、それができなくとも、少なくともディーゼル発電機による自家発電ぐらいは用意しておいてもらいたいものだ。水の供給は人の生命に関わる最重要事項なのだから。
[ 付記 ]
「自家発電機がないせいで、豚 100頭が大量死」
という事件があった。熱中症のせいらしい。
台風15号による停電で、養豚業が盛んな千葉県旭市では、豚舎に風を送る設備が動かなくなり豚が死ぬ被害が相次いでいて、暑さが原因とみられています。
清和甲地区の養豚業者では、8棟の豚舎でおよそ3000頭を飼育していますが、一時、風を送るファンがすべて止まりました。
発電機を手配して一部のファンは動かせるようになりましたが、これまでにおよそ100頭が死んでしまったということで、暑さが原因とみられています。
( → 豚舎で豚100頭死ぬ 停電による暑さ原因か 千葉 旭 | NHK )
送風の非常用発電なら、たいして規模も大きくないから、5万円ぐらいの小型発電機でも足りるだろう。その5万円を惜しんだせいで、豚 100頭を死なせてしまったわけだ。1文惜しみの 100失い、を地で行く。
しかしこれは、豚だからまだマシだった。次の大震災では、豚のかわり人間が死ぬのである。断水のせいで。
※ 根源的には、「断水になるのに対処せずに放置していたせいで」となる。具体的には、「非常用電源を設置しなかったせいで」となる。
※ 福島原発では、「非常用電源の位置が低かったので、完遂して、作動しなかった」となった。次に大震災が起こるときには、「そもそも(浄水場に)非常用電源そのものがなかった」という理由で、人が死ぬのである。
※ 「困ったときの Openブログ」ではなくて、「困ったことになるのを予告する Openブログ」である。(被害が)起こってから対策するのでなく、起こる前に警告する。
[ 余談 ]
「停電で冷蔵庫の中身を腐らせてしまったので、みんな捨てた」
という人が多い。 twitter でたくさん見つかる。案の定というか。……
対策は? こうだ。
・ 冷蔵庫にある生物は出して、すべて火を通す。(肉など)
できれば塩味などをつけて、腐りにくくする。
・ 冷凍庫にあるものは、扉を開けなければ、数日間は持つ。
もし解凍されたら、その時点で加熱・調理する。
(溶けかけた状態では、まだ鮮度は安全である。)
以上のようにすれば、無駄になる量は大幅に減らせるだろう。全部を食べきるかどうかは、内容量しだいだが。
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十二日には市原市の一部なども復旧する見込みで、停電戸数は三十万戸前後になる見通し。
同日午前の千葉県の発表では、停電のほか約三万戸が断水したまま
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019091202000281.html
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停電は 30万だが、断水は 3万。これはどうしてかというと、浄水場のある都市部を優先して、停電を復旧させたからだろう。一方で、山間地は車も届きにくいので、なおしばらく停電が続いているのだろう。
ともあれ、命に関わる断水の世帯が激減したことは、良かった。あとは給水車で十分にまかなえるだろう。
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朝日の記事によると、鉄塔が倒れたことの影響は、迂回ルートを取ることで解決したが、末端の電柱や電線が復旧しない例が大量にあるそうだ。
→ http://j.mp/2Aflwtm