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東京新聞の記事から。
台風15号の直撃で大きな被害を受けた首都圏では、十日も千葉県を中心に停電や断水などライフラインへの影響が続いた。同県によると、同日午後に南房総市で女性(93)、市原市で男性(65)がいずれも自宅で倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。二人とも熱中症の疑いがあり、自宅は停電していたという。
( → 東京新聞:千葉、台風被害続く 猛暑の停電で疲弊 熱中症?2人死亡 )
停電と断水のせいで死者が出たわけだ。熱中症ということだが、クーラーの疑いも強いものの、私としては断水の影響の方が強いと考える。
水不足だと、血液がドロドロになり、血のめぐりが悪くなって、人は死にやすいのだ。
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はてなブックマークでは批判がある。
akikonian 千葉は大変なことになってるのに政府は内閣改造て。後回しにしろよ。頭わいてんのか。
securecat そらそうよ。こんな気温が続いてクーラー使えないとか夜中でも尋常じゃない温度だからな。それでいて政府と報道は組閣がどうのこうの。ふざけんなよとしか言いようがない。
bosatsumiroku 千葉が大変なことになってる中、政府とメディアは進次郎でワチャワチャとお祭りです。日本は平和やね。
( → はてなブックマーク )
しかし、私としては、「そもそも政府に担当部局がないことが問題だ」と考えている。ここでは首相が陣頭指揮なんかを執るより、専門の防災組織が必要なのだ。
このことは「防災庁を設置せよ」という趣旨で、前に何度か述べた。
→ 防災庁を設置せよ: Open ブログ
→ 防災庁を設置せよ 2: Open ブログ
このような意見は他でも出ているが、政府はこの構想を否定した。
→ 防災庁を政府が否定: Open ブログ
否定した理由はこうだ。
菅義偉官房長官は17日の記者会見で、設置の必要はないとの認識を示した。
菅氏は、2015年3月に取りまとめた危機管理のあり方に関する報告で、「初動対応は内閣官房が一元的に総合調整を行うなど省庁横断的な対応がなされており、平時から大きな組織を設ける積極的な必要性はただちに見いだしがたい」と結論付けていると指摘した。
しかしそれがまったく機能していないことは、今回、政府が無為無策も同然であることから判明した。
《 断水の千葉6市町に自衛隊が給水車 熱中症患者も搬送へ 》
自衛隊は10日、台風15号の影響で断水が続く千葉県の森田健作知事から災害派遣要請を受け、給水支援を実施した。
10日午後8時現在、東金市、匝瑳市、富里市、佐倉市、市原市、山武市、大網白里市、長南町、横芝光町、九十九里町の10市町に、自衛官約120人、給水トレーラー27台を出し、住民向けの給水支援を実施。東千葉メディカルセンター(東金市)には約30人、給水タンク車7台を派遣した。このほか、空自のヘリコプターによる熱中症患者らの搬送も実施した。
( → 朝日新聞 )
たしかに対応はなされたのだが、あまりにも遅れていたのである。知事の要請を受けてようやく実施する。その間、グズグズしていたせいで、死者2名が発生した。死んでから救助しても、手遅れなんだが。
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次の報道もある。
《 千葉 君津市長「電源車 給水車 食料も不足 非常に深刻」 》
君津市の石井市長は市内の状況について、「停電がまだおよそ2万6000戸で続いており、復旧の見通しもまだ聞けていません。10日、県に電源車を要請し、1台来ていただきましたが、まだ足りていない状況です。高齢者施設では断水も続いていて、給水車を要請していますがこちらもまだ足りず、食料も不足してきています。市内の病院では自家発電で対応していますが、燃料が足りなくなっているところもあります。気温が高く非常に深刻な状態です。一刻も早く通電し、地域に水や食料を届けるため全国の皆様に応援をいただけるとありがたいです」と訴えています。
( → NHKニュース )
いやいや。あんたのやるべきことは、「全国の皆様に応援をいただける」ことじゃない。避難所の被災者を、近隣地域の避難所に送ることだ。そのために、近隣地域の市長に要請することだ。
やるべきことを間違えてはいけない。そんなことだから、あちこちで死者が出るのだ。
[ 付記 ]
安倍政権を皮肉る人もいる。
山梨で豪雪
— 大神弘 (@ppsh41_1945) September 10, 2019
→高級料亭で天ぷら
熊本大地震
→酒を飲んだ後の赤ら顔で登場
大阪地震
→赤坂の料亭で高級しゃぶしゃぶ
西日本豪雨
→自民党内部で懇親会
台風15号
→災害対応に動いている形跡無し
安倍首相にとって災害は、緊急事態条項を憲法に盛り込む口実でしかない。https://t.co/8su7QIvckq
grdgs 東日本大震災のときに安倍政権でなくて本当によかった。
( → はてなブックマーク )
[ 余談 ]
進次郎の登場は、死者2名をもって歓迎された。
さらに今後は、「災害時には、政府の大臣は育休を取って休むこと」が推奨されるかもしれない。
→ 小泉進次郎議員が入閣しても育休をとるべき理由(中川 まろみ)
【 追記1 】
死者が出た状況の詳細が判明した。やはり、気温もさることながら、水がなかったことが決定的に悪影響を及ぼしたらしい。
昼すぎ、自宅2階の自室のベッドで横になった。窓を開け、うちわで暑さをしのいだが、室内は「蒸し風呂状態だった」。
翌10日朝、芳満さんは真っ赤な顔で「氷水が飲みたい」と訴えた。だが、水は出ず、コンビニの飲み物は完売。知人にもらった飲み水もすぐに尽きた。エアコンがきいた場所に行くよう促したが、周辺のホテルなどはどこも満室だった。
( → 部屋は30度超、水なし 「蒸し風呂」で夫は亡くなった:朝日新聞 )
このあと、給水車が出動したあとでは、死者は発生していない。気温は同様に高かったが、最低限の水は確保されたので、死者は出なくなった。
水不足への対策がいかに重要であるかを物語る。
【 追記2 】
水不足を解決する案もある。
「移動用電源車(4,000kVA)を、浄水場に派遣して、浄水場の電力を供給する」
これで水不足は解決するはずだ。(その地域では。)
※ 電源車は、足りなければ、1箇所に複数台を派遣してもいい。
※ 電源車の規格については、下記。
→ 移動電源車 | 発電システム | 明電舎
※ いざというときに電源車がないと困るので、あらかじめたくさんの電源車を発注しておこう。
※ ただし本筋は、浄水場に非常用発電機(固定式)を設置することだ。