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リニア新幹線の工事を、静岡県が阻止している。工事によって水利権を損なわれるから、という理由だ。
(静岡県知事の)川勝氏は、静岡工区のトンネル工事によって大井川の流量が減ったり、生態系が壊されたりすることを懸念。JR東海に工事で発生する湧き水の「全量」を川に戻すよう求めてきたが、納得する回答が得られないとして現在も着工に同意していない。
背景には、水不足に苦しんできた静岡県の歴史がある。大正〜昭和初期の旧国鉄東海道線「丹那トンネル」工事で大規模な出水が起きて周辺の水田やワサビ田が干上がり、農家が業種転換を余儀なくされた。
水量減少に敏感な住民に対し、JR東海は昨年 10月、「原則として湧き水の全量を大井川に戻す」と表明したものの、最近は「全期間、全量は現実的に難しい」とトーンダウン。
( → リニア工事で静岡VS愛知 駅もできず「メリットない」:朝日新聞 )
どっちにも理があるということで、国も介入をためらっているようだ。
そこで、ネットで調べてみると、次の情報が見つかる。
→ リニア工事の湧水問題、JR東海「全量戻す」と譲歩 | 日経)
→ リニア南アルプストンネル、水資源維持に残る不安:日本経済新聞
→ リニア 大井川水量回復で対立:中日新聞
→ リニア湧水流出問題 JRと大井川流域10市町が協議:中日新聞
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まあ、いろいろとあるが、ポイントを示すと、次のことだろう。
静岡県 「大井川の水は一滴たりとも渡さない」( → 出典 )
JR東海 「水量減少をなるべく減らすが、完全に防ぐのは無理」
ここで、「完全に防ぐのは無理」というのは、「工事後はともかく、工事中には防げない」という意味だ。
JR側は、山梨工区とトンネルがつながるまでの工事期間中、最大で毎秒約 0.31トンの湧水が山梨県側に流出すると予測。防水シートやコンクリート吹きつけなどの対策をとれば流量はより抑えられるという。
同社の担当役員は「全量を戻すという前提だが、(工事期間中の)県外流出を完全に防ぐ現実的な対処はなかなか難しい」と認めた。その上で「実現可能な対処法は、できるだけ早く県境のトンネルをつないで水をポンプアップすること」と説明。連絡トンネルをなるべく県境近くに設けるなど、できる限り県外流出を減らす対策を検討していると明かした。
( → リニア工事 静岡県外への水流出「完全防止は困難」とJR東海 - 産経 )
これはわかる。工事後に水が外に漏れるのを防ぐことは可能だろうが、工事中にまで水が水が外に漏れるのを防ぐためには、やたらとたくさんの手間や金がかかる。たった数年間の工事のために、莫大な手間や金をかけるのは、あまりにも無駄というものだろう。
そもそも、静岡県にとって、水は必要か? 実は、ほとんど必要ない。八ツ場ダムでも何でも、やたらと「水が必要だ」と言われるが、その水の最大の消費者は、農家である。少数の農家が、莫大な水を消費するのだ。そして、それによって得る所得は、ごくわずかである。
したがって、静岡県内だけの損得でなく、日本全体の損得で考えるなら、次のようになる。
「静岡県は、数億円程度の農業所得を失いたくないので、数百億円規模の出費を JR東海に求める」
これはつまり、「数億円を得るために、数百億円を捨てる」ということだ。無駄の極み。ナンセンス。まったく困ったことだ。
では、どうするか? そこで、困ったときの Openブログ。名案を出そう。こうだ。
「 JR東海は、数百億円規模の工事をするかわりに、数億円規模の所得補償をする」
つまり、農家が水不足によって所得低下が起こったのならば、それに相当する金額を補填すればいい。これなら、工事をするよりも、圧倒的に小さな額で済む。
また、所得については、税務署への申告額が判明しているのだから、役所に行って「所得証明」(課税証明)などをしてもらえば、所得の証明もできる。
こうして、問題はきちんと解決できる。
結論。
農業の水不足は、お金で解決できる。意地の張り合いをして工事をストップするよりは、金で解決する方がはるかに合理的だ。意地より、金を取れ。
そもそも、問題は工事をしている数年間だけのことだ。恒久的な問題があるわけではない。こういうときには、恒久的な措置は必要ない。一時しのぎのために、金で解決するのが、最善だ。
水が足りなければ、金を出せ。