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現制度では結婚すると、夫婦が同姓になる。たいていは女の側が改姓するが、それだと女の側ばかり負担が大きくて困る……という記事が話題になった。
→ 思ったよりも夫婦同姓に抵抗があった話(増田)
いろいろと改姓の事務手続きをするのも大変だったが、大きな問題は別にある。旧姓を使わないことで、旧姓を使っていた自分というもののアイデンティティをなくすような気がする……という話。
これに対して、夫はこう反応する。
夫に一日の苦労を愚痴ったら、「でも俺が苗字変えたらなんか疚しいことあるのかって思われちゃうからね」と姓を決定した時の理由を繰り返した。
結婚の前には、次のように述べていた。
養子でもないのに妻の姓を名乗るということになると、夫側に何か名前を変えたいような疚しい背景があるのではとかあれやこれや勘繰られるからと。
へえ。そうなんだ。
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そこで、困ったときの Openブログ。夫のために、(改姓の)うまい釈明の方法を教えよう。こうだ。
「妻の方が収入が多いので」
こう語れば、「あっ。察し」という感じで、納得してもらえる。「それじゃ仕方ないね」という感じで、同情もしてもらえる。
このことは、特に同じ会社の人に有効だ。なぜなら、上の釈明は、
「夫の方が給料は安いから」
ということであり、夫の同僚にとっては、
「うちの会社は給料が安いからね」
ということを意味するからだ。
かくて、安月給同士で、「同病相憐れむ」という形になるので、「改姓やむなし」というふうに理解してもらえる。
( ※ あとでいっしょに酒を飲みながら、「うちの会社は給料が安すぎるよなあ」とクダを巻けばいい。)
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なお、「妻の方が収入が多いので」というのは、本当である必要はない。ほぼ同じぐらいの給料であってもいい。大事なのは、嘘だとバレないことだ。
次のような場合には、バレやすい。
・ (民間より安い)公務員
・ 保育士や介護職など
・ パートタイマー
こういう職業だと、安月給だと広く知られているので、嘘がすぐにバレる。
一方、普通のサラリーマンぐらいだったら、収入は不明だから、「妻の方が収入が多いので」と嘘をついても、バレはしない。
また、妻が弁護士や医師や看護師や Web デザイナーなどをやっていて、本当に収入が多い場合もあるだろう。それならそれで、堂々と本当のことを言えばいい。
ともあれ、「妻の方が収入が多いので」というのは、魔法の言葉だ。これで、改姓の名分になる。「改姓したのは、やましいことをしたからだろう。身バレしたくないからだろう」なんていう憶測を封じることができる。
[ 付記1 ]
夫の側が改姓することには、合理的な理由がある。
「女には出産という、多大な負担がのしかかる」
ということだ。この出産という負担があるのだから、女の負担の方が大きい。とすれば、男の側が、改姓の負担を引き受けるのは、それなりに合理的である。
( ※ ただし、女が専業主婦または低所得である場合を除く。)
[ 付記2 ]
なお、根源的には、「夫婦別姓制度が導入されない」ということが問題だ。
国民の大多数は、「希望者のみ」という条件で、「夫婦別姓制度を導入するべし」と望んでいる。(世論調査で判明。)
なのに、自民党が強硬に反対しているので、国民の望みが実現しない。
これはまあ、日本が香港みたいに、非民主的であることが原因だ。香港との違いは、「日本人では国民自身が、非民主的な政権を望む」ということだ。情けないね。
かくて日本では、国民が自分で自分の首を絞めるような形で、「夫婦別姓制度が導入されない」というふうになっている。恨むなら、自分自身を恨むしかないね。
( ※ この前の選挙では、投票しなかった人が大半だろう。そういう人には、現在の「夫婦同姓」という制度に文句を言う資格はないね。[消極的ながらも]自分でそれを選んだのだから。無為無策・投票棄権という形で。)
『選択的夫婦「別姓」』までしか主張できない野党って中途半端だなぁ、と思ってしまいます。常に物事の本質を穿たれて論考されている管理人さんならこの問題をどのようにジャッジされますでしょうか。
また、儒教の家制度の流れからきている(と思うのですが)夫婦別姓を、相対的に左派の野党が主張し右派の与党が否定するというのも皮肉に思えます。