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社説は下記。
→ (社説)プラごみ対策 安易な焼却は許されぬ:朝日新聞
一部抜粋しよう。
日本では廃プラの86%が有効利用されており、プラごみ対策が進んでいるといわれる。だがこの数字には、サーマルリサイクルと称して焼却されているものがたくさん含まれる。そのとき生まれる熱エネルギーを発電や給湯などに「有効利用」している、という理屈だ。
忘れてならないのは、熱を有効利用しようがしまいが、廃プラを燃やせば必ず二酸化炭素が発生するということだ。地球温暖化防止のためのパリ協定により、温室効果ガスの大幅な削減が求められるいま、大量の廃プラを燃やし続ける行為が許されるはずがない。
( → (社説)プラごみ対策 安易な焼却は許されぬ:朝日新聞 )
この記事で明らかなことは、こうだ。
「朝日の社説担当者は、引き算ができない」
引き算なら小学校で習うはずだ。小学生の中級以上ならば誰でもできるはずだ。ところが、朝日には引き算ができない人がいる。具体的には、次の箇所だ。
熱を有効利用しようがしまいが、廃プラを燃やせば必ず二酸化炭素が発生する。
ここで、引き算ができるなら、次のことがわかる。
「廃プラを燃やせば必ず二酸化炭素が発生する。だが、熱を有効利用することで、他の発電所では二酸化炭素の発生量が減る。差し引きすれば、全体では二酸化炭素の発生量が減る」
ゴミ発電で発電すれば、火力発電所の炭酸ガス排出量は減る。(石油・石炭・LNG などの消費量が減るからだ。)
ゴミ発電所だけを見れば、そこでは炭酸ガスが発生するが、国全体を見れば、他の発電所で炭酸ガス発生量が減るから、全体では炭酸ガス発生量が減る。
こんなことは、引き算ができる人ならば、誰でもわかることだ。なのに、朝日新聞は引き算ができないのだ! 呆れるしかない。
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さらに、別の問題もある。記事の後半にはこうある。
徹底すべきはリデュース(削減)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)だ。この「3R」に努め、それでも残ってしまうものだけを燃やして熱を利用する。焼却は最後の手段だと考えるようにしたい。
「リデュース(削減)、リユース(再使用)」はともかく、「リサイクル(再生利用)」が問題だ。再生利用の場合、再生するときに「精製」のために多大なエネルギーが消費される。そのせいで炭酸ガス発生量が増えてしまうのだ。
たとえば、さまざまなプラスチック破片を
・ 運搬する
・ 分別する
・ 洗浄する
・ 化学的に溶かす
・ 化学的に分離・精製する
・ 化学的に純度を高める
こういうことのためには、多大なエネルギーが消費される。うまく行っても、元のプラスチックエネルギーの10%〜20%ぐらいしか有効に再利用できない。下手をすると、値はマイナスになる。つまり、100のエネルギーを得るために、120ぐらいのエネルギーを投入しなくてはならない。これでは、リサイクルをすればするほど、炭酸ガス発生量がかえって増えてしまう。(リサイクル自体が環境汚染行為となる。本末転倒。逆効果。)
なのに、こういうバカげたことをやろうとしているのが、朝日新聞だ。そして、その理由は、科学音痴である。呆れるしかない。
【 関連項目 】
同じテーマで、同趣旨のことを前に述べたことがある。
→ プラごみを再生するな: Open ブログ
→ 汚れたプラスチックの処理: Open ブログ
本項は、その二番煎じふうだ。ただし、面白い話題だから、重ねて項目にしておいた。利口ぶった馬鹿を嘲笑うのは面白い。
( 性格の悪い人がよくやるやつ。 (^^); )
なお、上記の二項目には「エントロピー」という概念が示してある。汚れたものをきれいに精製するには、エントロピーを減少させるためのエネルギーが必要だ、ということ。こういう物理学的な知識なしに、エネルギーを論じるべきではないのだ。
朝日の社説は、科学ではなくムードだけでエネルギーを論じている。素人の与太にすぎない。恥を知って、記事を全面的に撤回するべきだ。