2019年07月27日

◆ 子宮頸がんワクチンの現状

 子宮頸がんワクチンの接種を再開せよ、という声が強まっている。これをどう評価するか?

 ──

 子宮頸がんワクチン( HPVワクチン)については、これまで二つの立場が対立していた。副反応(副作用)の有無をどう評価するかだ。
  ・ 副反応があるので、接種を推進するべきでない。
  ・ 副反応はないので、接種を推進するべきだ。


 厳密には、どちらが正しいかははっきりとしないまま、「怪しいから一応やめておけ」という否定論と、「ちょっと怪しいぐらいであっても、メリットが大きいから実施すべきだ」という肯定論があって、対立していた。
 政府は前者の立場に立って、ここ数年、「接種を推奨しない」という方針を取ってきた。
 一方、医学界では、「中止した接種を再開するべきだ」という声が強かった。

 ところが、近年になって、情勢が変化した。ワクチン肯定派にとって有利な調査結果が出たのだ。これを受けて、肯定派の勢力が強まった。

 最近では、ホリエモンが肯定派の立場に立って、反対派の共産党を批判したので、話題になった。


 共産党は HPVワクチンの接種に反対しているので、若い人が HPV に感染して死ぬ可能性を高めている。だから共産党は若い人を殺す殺人者集団だ……という趣旨。
 例によってホリエモンらしい。過激な口調なのはいいとしても、事実認識がデタラメすぎる。
 
 第1に、ワクチン接種を中止しているのは、それを公約に掲げている日本共産党ではなくて、それを政府の方針としている自民党だ。日本政府の方針を決めているのは、共産党ではなくて自民党である。批判するのならば、(政権をもつ)自民党を批判するべきだろう。まったく、どっち向いて批判しているんだ。呆れるばかり。
 第2に、ワクチン接種を中止していることで死ぬのは、若い人ではなくて、主に高齢者だ。たしかに、かなり若くして死ぬ人もいるが、それでも 30歳ぐらいである。しかも、その数はとても小さい。死ぬ大部分は、高齢者である。「若い人が続々と死ぬ」というような主張は、事実認識を間違っている。

 ただ、ホリエモンの悪口や論理はメチャクチャであっても、「ワクチン接種を再開するべきだ」という点は、合理的である。この件を論じよう。

 ──

 最近になって、新たな出来事が起こった。
 副反応の有無について、大規模調査がなされたのだ。その結果、「副反応なし」という結果が判明したのだ。
 しかし、それを調査したのが「ワクチン否定派」であったために、その大規模調査をお蔵入りにしてしまった。それをワクチン肯定派が批判した。それでホリエモンのような騒動が起こったわけだ。

 さて。本サイトではこれまで、「ワクチン否定派」の立場を取った。つまり、「副反応あり」である。しかるに、大規模調査の結果は、「副反応なし」だったのである。
 これをどう評価するか? 本サイトの見解は間違いだったのだろうか? 

 ──

 そこで、まずは大規模調査というのを見る。これは 2018年2月に報告が出たものだ。名古屋市での調査。
  → 【速報】HPVワクチンと「副反応」に関係がなかったことが明らかに!〜「名古屋スタディ」の成果
  → 【速報】HPVワクチンと「副反応」に関係がなかったことが明らかに!〜「名古屋スタディ」の成果
  → 「名古屋スタディ」調査結果の解説とHPVワクチンへの疫学的評価
  → 子宮頸がんと副反応、埋もれた調査「名古屋スタディ」監修教授に聞く

 私もデータを見たが、たしかに「副反応なし」というデータが出ている。では、これで長年の問題に決着が付いたのか? 「ワクチン肯定派の勝利、ワクチン否定派の敗北」ということになったのか? ワクチン否定派である本サイトは間違いを犯したのか? 
 そう思って、じっくりデータを見ているうちに、奇妙なことに気づいた。
 このデータでは、「副反応なし」という結果が、あまりにもあからさまに(はっきり)と出ているのである。そして、これが事実だとすれば、長年にわたって「副反応あり」と騒いでいた事実と矛盾する。
 仮に、「副反応はあるが、少しあるだけであって、たいした比率ではない」というのであれば、「肯定派の言う通り」と言えるだろう。しかるに、「副反応の増加はまったく見られない」というのであれば、これまでの騒動と矛盾してしまう。

 その視点で考え直すと、別の事実に気づく。この調査では「副反応あり」というデータが出なかったのだから、「(原因は不明だが)副反応らしい大規模な後遺症が発生した」という事例がろくに見つからなかったことになる。これは、従前の結果とは異なる。急に副反応の報告が消えてしまったことになるからだ。
 これは謎である。

 ──

 謎が生じた。困った。どうする? そこで、困ったときの Openブログ。回答を与えよう。
 以上のことのすべてを説明する論理は、ただ一つ。こうだ。
 「以前は副反応があったが、名古屋スタディのなされた 2015年以降では副反応がなくなった」


 これはつまり、次のことを意味する。
 「子宮頸がんワクチンは、以前は副反応をもたらす危険性があったが、2015年以降では危険性がなくなった」


 これが最も妥当な解釈だろう。
 では、そのような解釈が成立するとしたら、理由は何か? はっきりとは言えないが、たとえば、次のようなことは、十分な理由となる。
 「子宮頸がんワクチンには、製造過程に問題があった。アジュバントであるアルミニウムの混入が、たまたま異常に増えてしまうことが散発的にあった。一種の製造ミスだ。で、そういう製品を接種された人で、体質的に脳内関門が不完全である人だと、アルミニウムが脳に入ってしまうので、脳が破壊されて、重篤な副反応が生じた」

 こういうことであれば、低頻度で重篤な症状が出たということも、納得できる。また、近年になって、製造技術の向上にともなって、重篤なのも軽いのも、副反応がほとんどなくなった、というのも、納得できる。

 ──

 以上で、説明は付く。
 ただしこれは、仮説である。過去の出来事の歴史的な事象についての推理である。したがって、実証することなどはできない。過去の時点にタイムマシンで戻ることはできないからだ。

 とはいえ、それで説明が付くのだから、「現時点では HPVワクチンの接種を再開していい」と結論することができるだろう。
 ただ、そのことは、「過去の時点でも HPVワクチンの接種を再開するべきだった」ということを意味しない。過去については、不明なままである。どちらであるとも断定はできない。
 それでも、現時点では「接種を再開していい」というふうになったのだから、そのことで合意を得るといいだろう。
 反対者についても、「過去と現在とでは事情が異なる」というふうに説明すれば、反対者の合意も得られやすいだろう。

 私としては、以上のように判断する。

( ※ 結論を一言で書くことはできないので、ここにまとめを書くことはしない。)



 【 関連サイト 】

 → HPVワクチン 厚労省はいつ積極的勧奨を再開するのですか?

 厚労省がインタビューに答えているが、「方針を変えない理由」を述べているだけだ。ここでは、「近年になって事情が変わったこと」については認識すらなされていない。昔ながらの発想を維持しているだけだ。
 世の中の変化に政府が追いつけない、という出来事にひとつかもね。ま、ここを強調しているのは、本サイトだけだから、仕方ないかもしれない。ワクチン反対派も、肯定派も、昔ながらに自説を主張するだけであって、「事情が変化した」ということには着目しないのだ。


posted by 管理人 at 15:09| Comment(0) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
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