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これは朝日新聞のコラム記事。大鹿靖明という経済部記者の見解。
「温和な秀才型」が多いとされる日産。評論家タイプの社員が多く、諫言(かんげん)する勇気のある人は少ない。規律の甘さという体質も抱えていた。そうした土壌がゴーン氏を育んだのだと思う。
( → (取材考記)衝撃的な逮捕、予兆はあった ゴーン氏の暴走と日産の緩さ 大鹿靖明:朝日新聞 )
体質や土壌のせいにしている。そして「諫言する勇気のある人は少ない」とも批判する。
呆れた。自分で自分の言っていることが理解できていない。その結論の少し前には、こう書いてある。
日産が貸与したクレジットカードで自宅の食材まで買うほどの公私混同。それを注意した側近は左遷された。
また、別の例も示す。
かつて日産には、「天皇」と呼ばれた労組のボス、塩路一郎氏がいた。逆らうと報復人事が待ち構えていた点においてゴーン時代に似る。
いずれにせよ、「諫言する勇気のある人」は、いたのである。ただしいずれも、左遷させられたりして、排除されてしまった。
とすれば、「諫言する勇気のある人はいなかった」という認識にはならないはずだ。「諫言する勇気のある人はいたのだが、それを排除するような独裁体制が構築されていた」というのが真相である。
そして、そうだとすれば、その責任は、どこか? 独裁者自身に責任があるのはもちろんだが、独裁者以外にも、それを止めなかった者の責任がある。それは、誰か?
それを知るには、まともなことをしていた人が誰かを考えればいい。それは、私である。何年も前から、ずっとゴーンを批判してきた。
→ 今年の最大事件(2018年): Open ブログ
社内で諫言した人は左遷させられてしまったが、社外で批判した人はいたのだ。(私だ。)
そして、それを読んだ読者もいた。
このように、私もいたし、本サイトの読者もいた。かなり多くの人が、ゴーン独裁に気づいていたのである。
にもかかわらず、朝日の経済部記者は、まったく気づかなかった。それどころか、「名経営者だ」と思っていたようだ。そのせいで、ゴーンの問題が発覚したときには、寝耳に水とばかり驚いたらしい。記事にはこうある。
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の逮捕は衝撃的だった。倒産寸前の日産を立て直し、名経営者とたたえられてきた人なのに、逮捕後は耳を疑う醜聞が続々伝えられている。英雄が暴君に変じたのか。あまりの落差に戸惑う。
間抜けぶりにもほどがある。日産の真実を伝えるのが仕事であるにもかかわらず、日産の真実にまったく気づいていなかった。
これじゃ、給料泥棒みたいなものだ。仕事をサボっていたも同然だ。いや、給料泥棒なら、まだマシだ。自分が給料泥棒であることを自覚しているからだ。ところが、この記者は、自分の間抜けぶりをさらして、恥じるところがない。少しはおのれの間抜けぶるを恥じればいいのに、恥じることがない。それどころか、「日産の土壌と体質のせいだ」と、見当違いのことを言う。
これを政治で比喩的に言えば、モリカケ問題で安倍首相が嘘つきの独裁ぶりを発揮しているときに、「日本という国家の体質と土壌のせいだ」と述べるようなものだ。「ひどい見当違い」としか言いようがない。(「真犯人隠し」みたいなものだ。)
一方、別の朝日記者は、モリカケ問題でスクープを連発した。安倍首相がいかに独裁者として勝手なことをしているかを、赤裸々に報道した。つまり、真実を報道した。……こういうふうに「真実の報道」をすることこそが、マスコミの役割だ。そして、それをやるには、日頃から勉強して、アンテナの感度を高めておくことが必要だ。
なのに、冒頭の朝日記者は、それができない。自分がサボってばかりいて、Openブログのゴーン批判も読みはしない。読めばわかることなのに、アンテナ感度が鈍いから、ネットでググることさえしていなかったのだろう。(ググれば本サイトが引っかかったはずだ。)
まったく、朝日にもひどい記者がいるものだ。
【 関連サイト 】
ゴーン経営についての興味深い記事。
(1) 本項の補足となる情報。
→ ゴーン氏、仏凱旋で暴走加速 「多国籍の自我」どこに [ゴーン前会長][【連載】素顔のビシャラ]:朝日新聞
(2) 志賀・日産元COOへのインタビュー。
→ 仏政府の圧力、壁になり苦悩していた 志賀・日産元COO、ゴーン前会長を語る:朝日新聞
→ 統合圧力にゴーン前会長苦悩か 元側近「愚痴聞いた」 [ゴーン前会長]:朝日新聞
※ これは良記事。朝日にもまともな記者はいる。

ゴーンさんにとってはルノーからも日産からも三菱からも合弁会社からも報酬をもらえた方がうれしかったわけで、合併して1社からの報酬しかもらえないのは望ましくなかったのかも。
で、それをもたらしたのが圧倒的な独裁体制。この独裁体制について、私は前から指摘してきた。朝日の記者は、気づきもしなかった。